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津軽藩以前 (1568-1576)  作者: かんから
鹿角合戦 永禄十二年(1569)秋
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第二章 第一話 他国者とは   +種里城絵図

 梅が咲く。その薄い花弁は、潮風でひらりと舞い落ちる。池の水に浮かび、鯉が餌だと勘違いをして口を開ける。この有り様はなんと平和なことか。


 ここは鯵ヶ沢、津軽きっての港町。大浦家が種里城に本拠を置いていたころより、重点的に保護してきた。種里より赤石川を下れば、かの地につながる。……港から得られる利益は多い。

 南部氏は代々大陸的な統治志向で、海には目を向いていない。そんな中でも大浦家は、海洋的な性格も持ち合わせていた。かつてこのあたりは安東領であったためだろうか。


 ……船問屋、長谷川理右衛門の屋敷。為信は礼をいいに彼の元へ訪ねていた。新たなる家来と会うためでもあった。三人はござに座りながら話す。

 

 家来は言う。


 「……小笠原と申す。」

 

 この恰幅のいい男。万次はこやつがいいだろうと、理右衛門に預けた。為信は小笠原に問う。


 「出身はどこだ。」



 「……信州深志です。」


 小笠原は愛想がないというか、……表情がない。


 理右衛門は微笑みながら言葉を加えた。


 「寡黙ですが、真面目な男と伺っております。小笠原殿に加えて、(とが)(しり)(くげ)(ぬま)と申す者も小笠原殿に付けてほしいと仰せでした。」


 「では、その二人も信州か。」


 「はい。武田から逃げてきた者同士だそうです。」


 武田のう……。日の本で一番強い大名だ。はるばるこちらに逃げてきたか。


 「よし、小笠原。下がってよいぞ。」


 小笠原は一礼をし、襖を閉めて去る。為信は息をついた。彼のことを哀れだとも思えたが、偽一揆での出来事……簡単に感情を入れることはできなくなっていた。


 「なあ……理右衛門よ……。」


 お主は、他国者をどう思う。



種里城絵図

https://18782.mitemin.net/i290573/

挿絵(By みてみん)


2018/02/15  挿絵に関して


出典元:特集 津軽古城址

http://www.town.ajigasawa.lg.jp/mitsunobu/castle.html

鰺ヶ沢町教育委員会 教育課 中田様のご厚意こういに与あずかりまして掲載が許されております。小説家になろうの運営様にも、本文以外でのURL明記の許可を得ております。


光信公の館

〒038-2725

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字種里町字大柳90

http://www.town.ajigasawa.lg.jp/mitsunobu/

TEL 0173-79-2535


鰺ヶ沢町教育委員会 教育課

〒038-2792

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字本町209-2

TEL 0173-72-2111(内線431・433)

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