華の友達
今日、真奈美は元々仕事が休みであった。
昨日あんなに真奈美の前で泣いたのは初めてだったが、真奈美も泣いていた。
私は心配になり、朝仕事場に着いてから
大丈夫?とメールを送った。
すぐには返ってくるとは思ってなかったので私はそのまま電源を切りロッカーへとしまった。
休憩時間になって携帯を見に行くと
真奈美から返事が来ていた。
“ありがとう。大丈夫。今日、華が仕事終わったら一緒にご飯食べない?”
と書いてあった。
久しぶりに真奈美からご飯に誘われた。
私はホッとした。
もちろんご飯に行くことになり、
仕事終わりに近くのコーヒー店の前で真奈美と待ち合わせした。
コーヒー店の前に着くと
真奈美がお店の中から出てきた。
「少し早く着いたからコーヒー飲んでた。」
「そっか。お待たせ」
「行ってみたかったレストランがあるんだけどそこでいい?」
真奈美が言ったので私は頷いた。
前までは真奈美が行きたいと言う場所はクラブであったり、ナンパ目的な男が集まりそうなバーばかりだったが、
今の真奈美からはそんな気配がなかった。
着いたレストランは、個人店で静かで温かい雰囲気のお店だった。
私たちは中に入り、レモンサワーを頼み一息ついた。
私はさっきから気になっていた真奈美の左手に巻かれた包帯に目を向けた。
「それ、大丈夫?」
真奈美も自分の手を見た。
「大丈夫。これが最後の傷。」
「最後って。ちゃんと別れた?」
「うん。」
「そっか。よかった。」
「最後の最後で、私のことブスとか言われて、私が捨てられたみたいだったな」
少し寂しそうな顔で真奈美が呟いた。
「そんな、そんな男、真奈美には似合わないよ」
「うん。昨日は別人の最低な男に見えた。私おかしかったんだなって目覚めたよ」
「でも辛かったよね。沢山泣いたんでしょ?」
私は真奈美の腫れた目を見て言った。
「まぁね。本当は昨日の夜から今日家出るまでずっと泣いてた。こんな泣いたの初めてだよ」
真奈美は軽く笑った。
ご飯が運ばれてきて、私たちは
仕事の話をしながら食べた。
運ばれてきたご飯がなくなった頃には
真奈美はいつもの真奈美に戻っていた。
お酒も入ったせいか
「だから華は彼氏できないんだよ!」
と言ったと思えば
「華には彼氏できてほしくない!どっか行っちゃわないで!」
と泣き顔を見せる。
私は笑いながら聞いていた。
以前の真奈美に戻ったのだが、
その以前の真奈美より、ずっと優しくて温かい人になっていた。
人は傷ついた分だけ優しくなれる。
そう実感した。
真奈美は紛れもなく
私の数少ない友達の中にカウントされていた。




