飯塚と小宮さん
私は家に帰るため駅に向かった。
すると後ろから声をかけられた。
「飯塚さん。お疲れ様」
「あ、小宮さん。お疲れ様です。」
私は少し驚いた顔で挨拶をした。
「飯塚さんとは電車の路線が同じなのに、この一ヶ月間、全然会わなかったですね。」
小宮さんがニコニコして言った。
「そうですね。」
本当は私は小宮さんを見かけることは何度かあったのだが、それは言わなかった。
「小宮さんってお洒落ですよね。」
私はこの一言でも言うのをためらうほど、緊張したが、言ってみた。
すると、小宮さんは慌てて手を左右に振りながら
「そんなことないよ。でも洋服は凄い好きだから、そういわれると嬉しいな。」
少し照れた様に言った。
なんだか、見た目は私と真逆なのに話しやすく感じた。
「私とは大違いです。こんなダサい人、小宮さんの周りにはいないですよね。」
ついネガティブな言葉を発してしまった。
「そんなことないよ!友達とか私凄い少ないし、めんどくさいの嫌いだから。一人でいるのとか楽で好きだったりするし。」
小宮さんは苦笑いをしながら続けた
「それに、見た目なんていくらでも変えられるけど、性格はすぐに変えることなんてできないしね。」
「え、そうなんですか?小宮さんって友達凄い多そうです。性格も私なんかとは違って好かれそうですよ。」
「ちょっと、飯塚さん自分に自信なさすぎですよ!私みたい。」
小宮さんが最後に小さく言った「私みたい。」
という言葉が私にはよく分からなかったが、
駅に着き方向が逆だった為
改札で別れた。
ほんの少しだったが小宮さんのことを知れた気がして嬉しかった。
それに、やはり小宮さんは他のスタッフとは違った。
私は今日、小宮さんが言ったことは
上辺だけの作り話だとは思えなかった。
友達など今まで一人もいない私で、
そんなもの要らないと思っていたのが、
小宮さんと仲良くなりたいと思ってしまった。
次、見かけたら私から話してみよう。




