奈々の状況
華は真奈美が言った言葉が頭から離れなかった。
"彼氏に怒られる"
この言葉が真奈美の小さな声で何度も繰り返される。
真奈美は冗談だと言っていたが、どうも私には冗談に聞こえなかったのだ。
そんなことを考えていたら、あっという間に家に着いていた。
私は携帯をチェックする。
あれから奈々からは連絡もなければ、あえて私からもしていない。
携帯には誰からも連絡はきていなかった。
奈々が心配ではあるが、倉本くんに言ったのなら、すぐに連絡がくるものだと私は思っていたのだ。
まだこないということは、きっとまだ言い出せずにいるのだと思っていた。
しかし、その時私はもう一つ連絡がこない理由を思いついた。
もしかしたら、倉本くんに話したのだけど、倉本くんになにか辛いことを言われて一人悩みこんでしまってるのではないかと。
嫌な予感がした私は、奈々に電話をした。
時計は夜の9時だった。奈々の仕事は終わっているはずだ。
しかし奈々はなかなか電話にでない。
どんどん不安は募っていった。
一度電話は留守電になったので、再びかけなおした。
すると奈々が電話にでた。
「奈々?大丈夫?」
私は慌てて切り出した。
「華。連絡なかなか出来なくてごめんね。」
奈々の声はどことなく元気がなかった。
「倉本くんには話せた?」
「ううん。まだ何にも言えてない。それに最近は全然会ってないんだ。」
「そっか。でも、やっぱり早く話すべきだと思うよ。倉本くん仕事忙しいの?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど、私が会う気しなくて。」
「でも、」
奈々は私の話をさえぎる様に言った。
「明日、会える?ちゃんと会って話したい。」
私は分かったと言い電話を切った。
奈々の声には元気がなかったが、やけに冷静で落ち着いてる様にも聞こえた。
次の日、奈々と待ち合わせをしたレストランに行った。
奈々より先に着いた私は、先にお店に入った。
初めて来るレストランであったが若い女性が集まる様なお洒落な店内で、主に個室が用意されていて、落ち着く雰囲気であった。
私は、アイスティーだけ頼み、奈々を待った。
20分ほどたった時、奈々が現れた。
「ごめん。お待たせ。」
そういうと奈々はメニューを開き、このレストランおすすめのオムライスでいいかと私に確認し、それを二つ注文した。
オムライスが来るまで、私たちはどちらからも話を切り出さなかった。
オムライスが届くと、
「いただきます」と言って奈々は食べだした。
私も「いただきます」と小さく言い一口食べた。
すると奈々から話を切り出した。
「あれからすぐに連絡できなくてごめんね。心配させちゃったよね。ごめん。」
「心配した。でも私から連絡するのは、何か違うかなと思ったんだ。でも昨日、慌てて電話しちゃった。」
「うん。ありがとう。」
奈々は少し微笑んで私を見た。
「でもあれから状況変わったんだ。」
奈々は俯きながら言った。
「変わったってなにが?」
私は、何がどう変わったのか分からずに、問いかけた。




