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天馬康成の性分(掌編)

 

 天馬康成は悩んでいた。卓上に広がっているのは、スーパーのチラシたち。


 腕を組んで睨めっこをする事、五分。

 スーパーAは千円の会計につき、卵十個パックが八十八円。スーパーBは千円の会計につき卵十個パックが九十八円。スーパーAは食用油が安く、スーパーBは野菜が安い。


 『どちらのスーパーにも行く』という選択肢は康成には無い。何故なら、このふたつのスーパーは五キロメートル以上離れているからだ。車で行けば大した距離ではないが、移動時間に加え、店内を回り、レジに並ぶことを考えると、店のハシゴは論外だ。

 例えば、三十分で済む買い物が、店を移動することにより一時間かかるとする。時給を低く見積もっても九百円と考え、その内の三十分を無駄に使うことになるのだ。三十分あれば、家に帰っておかずが二品作れる。特売の値引き分程度では割に合わない時間と労力を消費することになる。


 時は金なり。


 今、こうして考えている時間すらも勿体ない。


 康成はゆっくりと目を閉じ、携帯電話を取り出した。


「もしもし、倫さん? 僕はスーパーAへ行くので、倫さんはBへ行ってください。買う物は後で写真を送ります」


 チラシの写真を撮り、送信。


「卵が大量に手に入るので、今日はオムライスにしましょう!」


 夕食の献立も決まった。付け合わせなどは、買い物をしながら店で考えることにする。

 財布とエコバッグを持ち、康成は晴れやかな顔で家を出た。



◇◆◇◆



 一方その頃、天井裏。


「僕の都合は考えないんだよな、あの人」


 不服に口を尖らせた倫が、二つ折りの携帯電話を折り畳みながら不満を暗がりに落としたとか、どうとか。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 効率厨(笑)。
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