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覚醒

タエさんのお陰で色々悩んでいたことが吹っ切れた気がした。


ずっと貞操概念逆転世界だけど、思っていたのは違うと思っていた。

だけど、やっぱり世界はシンプルに概念が逆転していて、女子の意識は逆転していたんだ。


だから、ユウナは二人きりの部屋の中で発情して襲おうと思った。


それは俺が悪くて、ユウナの態度の方が普通とは言わないが理性を失ってしまったに過ぎない。


今まで俺がしようとしていたことを我慢しないで気になる女性にしていけばいい。

もっと自信を持ってもいいんだ。


ユウナは俺をキモイとは思っていない。

むしろ、押し倒したいと思える男に俺はなったんだ。



「ふぇ?ヨル君?」



屋上から降りてくるとテルミ先輩と出くわした。

体育祭の準備に追われているのか、体操服に荷物を抱えている。



「テルミ先輩。重そうですねお手伝いしましょうか?」



親切のつもりで声をかけたが、テルミ先輩が後ずさる。



「いっいえ!男性に荷物を持たせるなど!あっ」



後ろの階段に落ちそうになるテルミ先輩。


俺は彼女の腰に腕を回して荷物もテルミ先輩も抱きかかえる。


凄く軽くて、体操服という薄い生地越しにテルミ先輩の体温が感じられる。



「大丈夫ですか?」



抱き締めたことで、テルミ先輩の顔が俺の胸の中に納まる。



「ふぇ?ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」



テルミ先輩は顔を真っ赤に染めてジタバタを暴れ始める。



「アブッ!」



落ちそうになった階段付近で暴れられてはたまらないので、俺は強引に壁際へとテルミ先輩を押し付けた。



「コラッ!階段で暴れたら危ないでしょ!」



壁に手を突いて、テルミ先輩を叱るために顎を掴んで顔を上げさせる。



「ふぇ!はっはい。ごめんなさい……」



じっと瞳を見つめるとテルミ先輩の瞳が潤み始める。



「荷物は……手伝うと気を使わせるので、頑張ってください。でも、危ないので暴れるのはダメですよ」



俺はテルミ先輩のオデコを指でつついて解放した。



「はっはい」



テルミ先輩はオデコに片手を当てて返事をしてくれる。



「よし。いつでも手伝うので必要なときはいってください」



テルミ先輩と分かれた俺は男子応援団の部室に向かって歩き出した。

タエさんはなかなか降りてこない。



「おはよう!」


「うわっ!えっヨル?」



挨拶しながら部室に入ると、セイヤが驚いた声を出す。



「うん?どうかしたのか?セイヤ」


「あっいや。うん。今日はなんだかあれだね」


「うん?おはよう。ヨル?何?黒い羽根が舞ってるぞ。幻覚?」



ヨウヘーがベッドから起き上がって挨拶をしてくれているが、まだ寝ぼけているようだ。



「どうした、ヨル。今日はやけにあれだ……あの……エロいというか……」



ムッツリスケベのハヤトからエロいと言われた。



「お前ら意味がわからん」


「いや~無自覚なの?いつもはなんか無口で綺麗な大人雰囲気って感じだけど。今日はなんだろ黒い羽根が生えているとっていうか、いつもの大人雰囲気に妖艶さ?もう僕も何を言っているのかわからなくなってきたよ。とにかく、いつもよりなんか凄い」



セイヤが説明してくれようとしているが、結局わからん。



「あれだな。ビッチだっけ?たくさんの女子と付き合ってるハーレムイケオジみたいな雰囲気だ」



ハーレムイケオジ?まぁ気持ちは間違っていないからヨウヘーの言いたいことはなんとなくわかる。

ただ、気持ちを切り替えただけでイケオジに雰囲気に慣れるならいいけどな。



「はいはい。もうこの話はいいだろ。今日は最終日だ。最後まで気合入れていこうぜ」


「もちろんだよ。昨日は、応援がなくて体を休めることが出来たからね」

「おう、俺もいっぱい寝たぞ」

「ああ、ヨルこそ三日間動き続けているけど大丈夫なのか?」



三人の顔色も昨日の疲労感が滲み出る感じはない。



「もちろん。色々吹っ切れたからな」


「それは見れば分かる」

「ああ。めっちゃ分かる」

「ヤバいぐらい分かる」



三人が何やら頷いている中で、今日の衣装へと袖を通していく。



「うわ~今日の服……なんか凄いな」


「いや、今日のヨルには凄く似合っているよ」

「そうだな。これ以上ないほどピッタリだ」

「同じ服を着たくない」



今日の衣装はレオタード?ピッチりとした服にそれぞれの衣装に合わせた羽がついていた。



「ハヤト、最後なんだ頑張っていこうぜ」



白いレオタードに羽を生やしたセイヤは正に天使のようだった。

赤いレオタードに真っ赤な羽が生えたハヤトはドラゴン?のイメージ。

紫のレオタードに黒い羽根が生えた俺は何故色違いなんだろう?



「今日は運動会競技で、全てグラウンドで行われるから午前はこれで行くぞ。

気合を入れろ。男子応援団いくぞ!!!」


「「「押忍!!!」」」


部室を出ると、イチカが俺たちの案内のために待っていてくれた。



「イチカ、今日も案内頼むな」



だが、俺たちの衣装に驚いたからか石化したように固まる。



「イチカ?イチカ大丈夫か?」



俺がイチカの肩に手を置いて揺すると、イチカが意識を取り戻す。

どうやら立ったまま意識を失っていたようだ。



「じゃ」


「じゃ?」


「【邪神様】降臨!!!!!!」



イチカは訳の分からないことを言って走り去ってしまった。



「どうしよ?」


「場所はわかるからいいんじゃない。護衛はボディーガードの人たちに頼めばいいし」



セイヤはドライだった。

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