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side幼馴染 ー 6

【青柳悠奈】




夏の終わり……「私は許されないの?」



ヨルに強く抱きしめられた。



「許される努力をしてよ」



ヨルは許してくれた?私たちに未来はあるの?


私はヨルに自分が変わったことを見せたくて、高校に行くようにした。

部活にも戻って水泳の練習も出ている。

長く休んでいたから部長からは怒られたけど。



「青柳、お前には才能がある。無駄にするな」



そう言って水無瀬先輩は私を抱きしめてくれた。



夏休みから私は変わるための努力を続けている。

ヨルに好かれるために髪を伸ばすことにした。

ずっと運動をしていたから、短い髪をキープしていた。

ヨルに女の子として見てほしい。



体育祭……ヨルはだれよりもカッコ良くてキラキラしてた。


一日目は私を好きだって言ってくれて。

二日目はカッコよく活躍していた。



「すっ凄かった!!!」

「ありがとう」



私が声をかけると、ヨルは片手をあげてお礼を言ってくれる。



「あっあのね。また毎日メッセージを送ってもいい?」



図々しいかな?また前見たいな二人に戻りたい。


お願い断らないで……



「別にいいけど。最近は疲れてるから返信が遅れるかもしれないぞ」

「全然いい。全然いいよ。私待ってる。待ってるから!ありがとう!」



やった!やった~ヨルが私とメッセージしてくれる。

また前にみたいに毎日お話が出来るように戻れるんだ。


ヨルが去っていく姿をずっと見つめていたい。



「ねぇ、君は誰?」



私がヨルを見送っていると、後ろから男子に声をかけられた。

振り返って顔を見れば、黄色い髪に私と変わらない身長。

女の子と見間違うほど綺麗な顔をしているけど。

男性としての魅力は、ヨルには到底及ばない。



私は無視して立ち去ろうとしたけど、肩を掴まれる。



「おい!何無視してんだよ。俺は黄島豊キジマユタカだぞ!お前が黒瀬夜とどういう関係かって聞いてんだ!」



肩を掴んだ力は痛くもなんともない。

ただ、ヨルの名前が出たから男子を睨みつける。


「お前には関係ない」



私は掴まれていた肩から手を突き放して歩き出そうとしたけど。

今度は髪を掴まれる。



「はっ!無視してんじゃねぇよ!どうせ、お前も黒瀬夜に群がる烏合の衆なんだろ。何が男子応援団だよ。女子の人気とりばっかりしやがって。俺様が目立たねぇじゃねぇか!お前らみたいな女は俺様みたい男に従ってればいいんだよ」



私はヨルのために伸ばした髪をヨル以外の男が掴んだことに腹が立った。



「離せよ!」



少し強く手を弾いて髪から手を離させる。



「キモイんだよ!お前みたいな奴に興味もない!」



尻餅をついて唖然としている男子を放置して私は帰路についた。

途中で、友人の鬼ちゃんが心配しくれたけど大丈夫だと受け流した。



「えっ?ヨルから夕食のお誘い?」



ムシャクシャしていたけど。

自宅に帰ってお風呂に入って、あの男が触ったところを念入りに洗ってから出てくるとヨルから夕食の誘いを知らせるメッセージが届いてた。


私はすぐに支度して向かうことを伝え、急いで髪を乾かして可愛く見えるワンピースを着てヨルの部屋に向かった。



「いらっしゃい」


「お邪魔しまう。ひっ久しぶりね。一緒にご飯食べるの」



ヨルから夕食に誘ってくれるなんて、中学生以来だ。

それもヨルの手作りをツキちゃんもいないのに二人きりで、これってやっぱりそういうことだよね。いいんだよね?



「うわ~綺麗」


「ちょっと母さんと食べたカプレーゼを試したくてな」



夕食はとても綺麗だった。

これをヨルが作ったなんて凄い!

私のためにありがとう。



「さぁ食べよう」

「昔よりも、料理の腕が上がったんだね」



ヨルが作ったらなんだって美味しい。



「覚えてたのか?」

「まぁね。昔は、卵焼きは焦げ焦げで、インスタントラーメンも伸びてたね」



もちろん覚えてるよ。ヨルとの大切な思い出だもん



「他にもお母さんたちの帰りが遅くて、みんなでご飯をいっぱい失敗したね。

ツキちゃんはあの頃から凄くて、年下なのにすぐに料理が出来るようになっちゃたよね」


「そうだな。中学まではずっとツキがご飯を作ってくれたから助かったよ」



ツキちゃんとヨルは凄く仲がいい。妬けちゃうぐらい。



「美味しかった~ご馳走様」


「お粗末様でした」



私はご馳走になった代わりに食器を洗うことを申し出た。

ヨルはソファーに座ると無防備に眠りについた。

可愛い寝顔……私はヨルの部屋に勝手に入っていっぱいヨルの匂いを体に吸い込んでからタオルケットをヨルにかけてあげた。


秋に差し掛かり、夜は少しだけ肌寒い。



「帰らなかったのか?」


「それほど長い時間じゃないわ」



帰るはずがないじゃない。

だって、女と男が二人きりで夜遅くに一緒にいるってそういうことでしょ?



「客人を招いたのに寝てしまってすまない」


「別に良いわよ。昔のヨルもすぐに寝る子だったからツキちゃんとお話をして過ごしていたもの」


「昔の俺?」



そう、いつもヨルは体力がなくてすぐに寝てしまって、ツキちゃんと色々イタズラをしたものだ。



「私ね。凄くバカなんだ」



本当にバカ、こんなにも近くでヨルを求められる位置にいるのに遠回りしてきた。



「だから、人の気持ちも考えられないし、ヨルのことも考えてなかったってわかったんだ」



二人はこんなにも思い合っているのに……あんな男が言った烏合の衆とは全然違う。

私は特別な幼馴染なんだ。



「でもね……やっぱり、ヨルは私を好きなんだよね」



ヨルは私が好き。ヨルは私が好き。ヨルは私が好き。



「だって、無防備に私の前で眠るって私を信用して、私が好きだからそんなことが出来るんだよ。じゃないと、無防備にそんなことしないもの……ねぇヨル。ヨルは私を好きなんだよね?ふふ、ずっとわかってたよ」



ヨルが起き上がる。



「なぁ「ヨルは何も言わなくていいの!


私は全部わかってるから。



ヨルのこと考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて



ず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~と考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて」



やっと……やっとこのときがきた。



「ねぇヨル。ヨルは私の体を見るの好きだったよね」



男が二人きりになっていいってことはそういうことでしょ。

わかってるよ。私はずっとヨルのことを考えてきたんだから。



「ねぇヨル。もっと見ていいんだよ。ヨルが触りたいなら触ってもいい」



ヨルが私の体を好きなのは知ってるよ。

だって、ずっと視線を感じていたんだもん。



「ユウナ、確かに俺はスケベでユウナの肌を見るのも好きだった」


「やっぱり、ヨルは私を好き」


「だけど、今のユウナは普通じゃないように思う。

ちゃんと好きだって告白し合って、付き合ってお互いに相手を求めてたいって心から思いたい。今のユウナは俺の知っているユウナじゃない。今のユウナとそういうことをしたいとは思わない」



ヨルが私の体に触ってくれた!!!!


そっか……まだ全てをするのは恥ずかしいんだね。


仕方ないなぁ~私は分かってるよ。



我慢できなくて、私は家を飛び出した。



自宅に帰ってヨルが触ってくれた肩に手を置く。



「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」



幸せ……ヨルが触れてくれた。

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