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side生徒会 ー 4

【生徒会メンバー】



照明が消され、カーテンも閉められる。

真っ暗な生徒会室には、それぞれの席に着いた生徒会メンバーが唾を飲み込む。



「今回、超重要案件が我々に飛び込んでまいりましたわ」



会長である藤堂麗華は、テーブルに肘をついて腕を組みながら生徒会メンバーを見渡す。



「なんと、男子応援団より合宿場所の提供を求められました。

わたくしはこの機会を逃してはいけないと思っています」



生徒会メンバーは深々と頷いて、会長の意見に賛同する。



「我が生徒会は、二学期を終えた時点で私とキヨエさんは引退します。次期会長には最上さん。お願いしますね」


「はっはい!」



最上照美は名を呼ばれて慌てて返事をする。



「そう固くならないで。生徒会を引退しても相談には応じるわ。

でもね……黒瀬君、白金君との交流を持つ機会を私達二人は失います。

3年、2年の男子に期待できない以上。

彼ら男子応援団は我々にとって最後のオアシスと言えるでしょう」



本来、生徒会のメリットは



男子の情報を誰よりも早く手に入れられること。

空き教室などを優先的に使えること。



そして、生徒会権限で男子から相談を受ける機会を増やして仲良くなり、男子とのアバンチュールを楽しむ権利。


それこそが生徒会最大の特権と言える。



「私は3年間、アバンチュールを発動する機会はありませんでした。

ですが、今回……私は黒瀬君にアバンチュールを発動したいと思っています」



アバンチュール……男子生徒との危険な恋愛行為。



「もちろん黒瀬君が応じてくれなければ、即時撤退も考えております。

ですが、成功させるために万全なシチュエーションを用意するつもりです。

もちろん生徒会員であるあなた方にも、シチュエーションを利用する権利があります。ですので、私だけに限定するつもりはありません」



暗闇の中で、それぞれの瞳が輝きを放っている。



「誰が誰と良い感じになろうと、全て生徒会でバックアップします」



会長の声と共にカーテンが開かれる。



「生徒会メンバー極秘任務。【男子応援団とアバンチュールを楽しめ】決行します!」


「「「はい!!!」」」



それぞれが覚悟を持った顔をしていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【藤堂麗華】




「お嬢様、全ての準備が整ってございます」



私は鏡の前でパジャマ姿になり、執事であるセリーヌからの報告を受けていた。



「そう、明日から4日間よろしくお願いいたしますね」


「はっ!お嬢様のアバンチュール。必ずや成功させてみせましょう」


「ふふ、本当はいけないことなのにね。こんなにも心躍ることが学生時代に味わえるとは思っていなかったわ」



自分でも憂いを帯びた顔をしていると思う。

浮かぶのは婚約者である伊集院是人様の平凡な顔。

悪い人ではない。紳士であり、他の男性と違って傲慢でもない。



ただ黒瀬夜から感じるのは、危険で、ミステリアスで、妖艶な魅力。



抱きしめられたときに感じた熱は忘れようとしても、ふとしたときに思い出してしまう。



「卒業後は、国立大学に進学して伊集院様との結婚ですからね」


「そうね。だからこれは結婚前に行う最後の……火遊び」



黒瀬夜が自分の夫になったなら、私は狂おしいほど彼を求めてしまうことだろう。


この育ち過ぎた身体は男性を圧倒してしまうばかりだ。

他の方々とは違って、彼ならば獣のように大きな手で私の胸を鷲掴みにしてくるのだろう。



あの抱きしめられたときに感じた感覚は、私の心臓をとらえて放さない。



「お嬢様……此度、黒瀬様とはどこまで?」



セリーヌは私の母よりも年上な女性で、これまで多くの相談事を聞いてもらってきた。

これから東堂家を背負うにあたってキヨエが補佐につくことは決まっている。


だが、セリーヌには全てのことを相談したいと思っている。



「行けるならばどこまでも……セリーヌ。男性に抱かれるとはいったいどれほど幸せなことなのでしょうね」



あの太く大きな腕が自分を抱きしめたとき……それまで男性とは組み伏せるだけの存在だと思っていた。



「そう……ですね。私が生まれた頃は、まだ男女比はそこまで酷くはありませんでした。お嬢様の苦悩を本当の意味で理解できはしません。

ですが、今の世に生きる女性ならば狂おしいほどに求めるものだと言うことは伝えできます」



セリーヌはそれだけを告げると退出していった。



「明日は黒瀬君とどこまで仲良くなれるでしょうか?彼はどんな人なのでしょう?」



映し出される動画には応援団が歌って踊っていた。


中央で踊る黒瀬は他の男子よりも輝いていて、自然にレイカの手は胸へと添えられる。



「ハァ~。彼にこの胸を触ってほしい。強く……強く……」



そのままベッドに倒れ込んだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【生徒会メンバー】



リムジンに乗り込んでくる黒瀬夜を見て、藤堂麗華は胸が高鳴るのを感じた。

それと同時に横に座る最上照美が自分と同じ反応をしていることに気付いた。


それはレイカだけでなく、テルミも気付くことになり互いに顔を見合わせる。



「お邪魔します」


「まぁまぁまぁまぁ。久しぶりですね。黒瀬君」


「お久しぶりです。黒瀬君」



互いの気持ちに気付いたとしても、遠慮する必要などない。

黒瀬夜君に二人とも相手してもらえばいいのだ。



「お久しぶりです。今回は応援団の合宿に会長の別荘を貸していただけるそうで。ありがとうございます」


「ふふふ、全然良いのよ。皆さんがレベルアップすることで、青葉高校がますます発展できることはすでに証明されていますからね」


「そっそうですね。皆さんの動画の再生回数が、それはもう凄いことになっています。トップnewtubebarのヒデブンさんも注目しているって言ってましたよ」



テルミが興奮気味に話し出したことにレイカは唖然としてしまう



「ヒデブンさんって誰だべ?」


「私も存じ上げませんね」


「えっと、ネットの動画投稿サイトで凄く有名な方です。僕も拝見させてもらっています」



黒瀬君は知ってるの?じゃあ見て見ようかしら?ネット動画と言えば男子応援団よね。



「そうなのね。私も応援団の動画を拝見させてもらっています。水泳部にバレー部。次はどこに行くのかいつも楽しみですよ」


「いやいや、僕らはまだまだ練習不足なので、今回の合宿でレベルアップ出来ればと思っているんです」


「黒瀬君は、男性であっても努力を怠らないのね。素敵だわ」



褒めると照れる黒瀬君は凄く新鮮で可愛かった。



「そっそんことよりも今回はどこまで合宿に行くんですか?」


「千葉にとてもいいところがあるのよ。皆さんのレッスンに使える宿も手配しているわ。それに私たち生徒会は夏の慰労会もかねているの」


「慰労会ですか?」


「ええ、私も三年で今年が青葉高校最後の学園生活です。ですから、後輩の子達に思い出をプレゼントしたいと思ってね」


「そうだったんですね。優しいんですね」



嘘じゃない。これから始まるのは生徒会にとって重大任務なのだから……



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