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貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?  作者: イコ
時は流れる
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救援

 爆発事件が起きた後から、俺はランと共に東堂家に保護されることになった。

 ランは駅伝の練習などもあったのだが、今回の事件により一時的に練習を停止しているそうだ。


 さらに、青葉高校は一時休校となり。


 ツキ、タエ、ユウナ、テルミ、ツユちゃんも合流して、東堂家が保有する家で共同生活をしている。

 彼女たちのご家族にも何かあってはいけないと東堂家の護衛がつくことになり、今回の事件に大した迅速な処置が取られた。


 また、不思議なことに被害を受けてケガをしたものは居たが、《《日本人》》に被害は出ていないと言う。


 被害が出た施設も早急な復旧を見せており、一ヶ月が経つ頃にはほとんど普通の平穏が戻ろうとしていた。


 彼女たちと一つ屋根の下で暮らす日々にも慣れつつあったので寂しさを感じながらも、それぞれの家へと帰路に着いた。


 テルミやラン、タエの母などは俺との対面の際に緊張していたが。


「お義母さん、娘さんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いています」


 と告げると3人とも喜んでくれたのは印象的だった。


「彼氏がいるのは聞いていましたが!こんな素敵な人だったなんて!」


 そう言って何故か足をモジモジと動かして太ももを擦り合わせるテルミのお母さん。


「ラン!よかったじゃん!これで私も安心だよ!」


 見た目はランさんがそのまま歳を重ねたようなお母さんが豪快に祝福してくれ。


「あんれま!ワタスの娘がすっごいことして待ったんだな!ワタスもこんなミステリアスイケメン初めて見たよ!」


 タエのお母さんは口を大きく開けて驚いていた。


 三者三様でありながらも祝福してくれたことは嬉しい。


 しばらく保護という名目で、生活を共にしてお互いの事を知る時間はこれからの人生でよかったと思う。


 ツユちゃんのお母さんだけは、自分の身は自分で守れると言うことで一緒に住むことはなかった。


 それでも挨拶をしに行ったときは、正装として着物を着こなす和風美女が深々と畳をつけて。


「娘をよろしゅうお頼もうします」


 そう言って許してくれた。


 今回のテロには驚いたが、彼女たちを大切に思う気持ちは強くなり将来の話ができたように思う。


 そして、今回の功労者であり共に生活する際に護衛として生活をしたシャドー。

 彼女には家族がいなかった。


「私に家族はいない。もう誰も……」


 感情を表に出さない無ではあったが、それでもその話を聞いた俺が無でいたわけじゃない。


「なぁ、シャドー。確認して起きたことがあるんだ」

「なに?」

「お前は【邪神様】をファンなんだよな?」

「ファンじゃない。下僕。【邪神様】は私の神」


 よくわからないこだわりに苦笑いを浮かべてしまう。


「なぁ、シャドー。これからも俺の側にいる気はあるか?」

「一生!あなたの側にいます」


 俺の質問に対して、シャドーは感情を表し、食い気味に一生と口する。


「そうか……」


 レイカが容易してくれた家は庭も広く。

 秋の景色が庭全体に広がっている。

 赤いと茶の色合いが物悲しさを伝えながらも冬を告げる年越しの準備にも思えた。


「なぁ、今すぐじゃないが……もしも、俺がお前を求めたら答えてくれるか?」


 シャドーは美しい。

 無表情で無感情に見えるが、たまに表す感情は好ましく。

 それが笑顔なのか、必死な思いなのか、それとも悲しみなのか……それは表現されるまでわからない。


「……それは依頼?誰を殺すの?」


 心から分かっていない顔に俺は自らの頬を掻く。


「依頼じゃない……誰も殺さない」

「???」


 息を大きく吸い込んで、覚悟を決める。


「シャドー。俺の嫁に来ないか?」

「嫁?」

「俺のワイフになってくれないか?」

「ワイフ!!!」


 シャドーはやっと意味を理解してくれて口元を隠して驚く。


「俺とファミリーになろう」


 しばらく意味が分からなかったようで、シャドーが固まっている。


「【邪神様】じゃない俺は嫌か?」


 シャドーは首を横に振る。


「私……ヒットマン……あなたは私を恐いのでしょ?」

「ああ。恐い。だけどな、お前には助けられた。それに今日までお前と過ごした日々はお前という人間を知ることが出来た。お前にウソはない」


 この一ヶ月、シャドーは甲斐甲斐しく俺に尽くしてくれた。

 それは何かを求めるものじゃなく。

 ただ、俺に何かをすることを幸せにするような、彼女の態度が可愛いと思っちまった。


「シャドー!俺の手を取れよ。俺と」


 俺はそう言って手を伸ばした。


 シャドーは戸惑い。


 ためらい。


 ……手を弱々しく握った。


「いいんだな?」


 コクリと小さく首を縦にふった。


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