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貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?  作者: イコ
時は流れる
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たまにはデートも

 今日は久しぶりにランとデートの約束をして、ショッピングモールへやってきた。

 最近は音楽活動やお互いの生活もあるので、ランとはなかなか時間を合わすことが出来ない。


 今日はイベント事以外では珍しくランと休みを合わすことが出来たので、最近お互い出来ていないことを考えた結果。


 最近できた大型シュッピングモールに行くことが決まった。


「凄いわね。人が多い」


 モデル業も忙しいランと、音楽業が忙しい俺は、本日お忍びであることもあり、お揃いの変装で歩いている。


 と言うか、今日はどっちも高身長女子に見えるように変装している。


 スカートを履いているわけじゃないけど。

 ランがコーディネートしてくれた女子に流行りの男装ファッションに身を包んでいる。


「これ男性に見えない?」


「大丈夫よ。ヨルは元々綺麗な顔をしているし、最近は背が高い女の子も増えているもの」


 女子に見えるように化粧もしてもらって、あまり大きくはないが胸もあるように見える。

 人込みに行くと言うことで、ボディーガードたちも控えてはくれているが、今回は距離を取るためにこの変装をすることになった。


「それにヨルが私のためにここまでしてくれて嬉しいわよ」


 ランが喜んでくれるなら女装するのも悪くない。


「それじゃあ、今日は女友達と楽しいショッピングよ」


 ランに手を引かれて服や食事。

 珍しい雑貨屋などを巡っていく。


 こうして何も気にしないで買い物をするのは貞操概念逆転世界に来てから初めての事なので案外楽しい。

 でも、女子の買い物は長くて退屈だと聞いていたけど。

 ランは、俺がつまらなくならないように話をしてくれて興味を持たせてくれる。


「ねぇヨル。最近の活躍は凄いけど。将来的には何かしたいことでもあるの?」

「将来?それは夢ってこと?」

「う~ん。夢でもいいんだけど。目標かな?ヨルがしていることって普通の男性はしないでしょ?だから、高校を卒業した後に何をするのかなって疑問に思って」


 ランから質問されるまで考えたことがなかった。


「目標か……俺にはさ。何もないなって」

「何もない?ヨルが?」


 ランは不思議そうな顔をする。


「ああ。男はさ。女性に庇護してもらっているだろ?」

「男性保護法のこと?」

「それもあるけど。男性は社会に出て働いている人はきわめて少ない。アイドル……アドバイザー……娼婦……社会に貢献している男性は女性に守られている」


 俺はホットコーヒーを飲み、息を吐く。


「ランたち女性は強くて、美しくて、生き生きとしている。そんな君たちと並んで立つために俺に何か出来ないかと考えた結果が歌だったんだ」


 ランの質問に答えているのかわからない。

 だけど、男の少ない世界。

 そこで女性に守られているだけじゃなく。

 女性と並び立てる男性で居たい。

 それだけが今の思いに間違いない。


「……ヨルはやっぱりヨルなのね」

「やっぱり?」

「ヨルはいつも他の人とは違う景色を見てるんだって思ってるの」

「買いかぶり過ぎだよ。俺はただガムシャラにやってきただけだよ」

「それでもあなたは大勢の心を動かした」

「そんな大げさな」

「大げさじゃないと思うわよ」


 彼女は誇らしげに笑って俺を褒め称える。

 ランと過ごす時間は、どこかオシャレで他の彼女たちとは違う。

 彼氏彼女という空気が一番感じられる。


 こんな時間がいつまでも続けばいいと思えるほど楽しい。


「ラン。次は?」

「ねぇヨル。そろそろ暗くなってきたし……」


 ランと二人で静かに過ごせる場所へ。


 そんな会話を始めようとしていた……



 ただ、その瞬間に轟音と爆風が巻き上がり……ショッピングルームは突然の出来事に包まれた。



「ラン!」



 何が起きたのかわからない。


 ただ、いきなり起きた出来事に俺はランを抱き寄せた。



「何っ!何が起きているの?」



 慌てるランを抱き寄せ、当りを見渡せばショッピングモールの高い場所で爆発が起きていた。

 火柱を上げるショッピングモール。崩れ落ち始めた建物から逃げ惑う人々。



「ここから離れるぞ」



 タエたちボディーガードがどこにいるのかわからない。


 ただ、この場にいてはいけない。


 その判断だけで俺はランの手を引いて走り出した。



「ヨル?何が起きてるの?」


「わからない」


 ただ、一瞬……シャドーの顔が浮かぶ。


 シャドーは言っていた裏社会の危険な者立ちが何をするのかわからないと……もしも、これが【邪神様】と関係していて……もしも、この原因が俺にあるとしたら……


 様々な思いがギュッと胸を締め付ける。


「こっち」


 そんな俺たちにシャドーが現われて誘導してくれる。


「シャドー!」


「みんな無事。大丈夫。だから、今は逃げることを考えて」


 俺が思っていることが分かるのか、シャドーの言葉に気持ちが軽くなる。


 シャドーに導かれるまま俺は現場を離れた。


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