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貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?  作者: イコ
歪な世界編
169/223

撮影

【邪神様】仕様?で着飾った俺が鏡の前に映し出される。



 黒を基調とした衣装にロングヘアーのエクステを付けて化粧をすれば自分でもイケメン?だと思える【邪神様】の完成である。



「【邪神様】スタジオ入られま~す!!!」



 扉が開かれて、撮影スタジオに入っていくと、禍々しい雰囲気のスタジオに案内される。


 墓場のようなセットに骸骨の椅子。

 PVで座っていたような椅子なので、【邪神様】のイメージされやすいんだろうな。



「こっここここここちらへお願いします!」



 カメラスタッフさんが盛大にドモりながら案内してくれる。



「ありがとう」



 俺はスタッフさんに礼を述べて椅子へと腰を降ろす。


【邪神様】ポーズなる、深く腰を降ろして、片肘をついて顔を乗せ、足を組む。



 SNSでは【邪神様】ポーズとしてコスプレして真似ている人が出ているそうだ。



「撮影していきます!!!」



 カメラマンさんの声で照明が代わり、俺だけにライトが当てられる。

 ライトの熱を感じる。



「は~い。ポーズを変更お願いします」



 前のめりに体を倒して顎に手を置く。



「(´Д`)ハァ~!!!!」



 カメラマンさんが倒れた。



「カメラマン代わります。本日は10名カメラマン待機しております」



 何故10名も?



「さぁいくわよ!【邪神様】」



 俺はそれから何度かポーズを変えていく。


 その都度倒れるカメラマンさんが代わりながら、一時間が経ったところで前半戦が終了を告げた。



「休憩入ります!」



 衣装を変えるために、退室したのだが、スタジオ内は何故か失神者続出状態でこのまま撮影はできるのだろうか?



「次はどんな衣装なんだ?」


「【邪神様】の次の曲に合わせた衣装になります」



 衣裳部屋に戻ると、専属スタイリストとしてプロと同じように、天宮樹里が俺のスタイリスト助手をしてくれている。



「新曲だよな」


「はい」



 何故か、タイトスカートのスーツに眼鏡をかけたマネージャースタイルなのは、ジュリのこだわりだそうだ。



「どんなイメージなんだ?」


「セリフが多くて、なんでもイヤホンから【邪神様】の声が聞こえてくると脳が溶けてしまう曲だとか?」


「……なんだそれ?」



 そう言いながら渡された衣装へ身を包んでいく。


 ヘッドフォンに目を隠す仮面。

 髪型はマッシュヘアーで顔が隠れるようにセットされる。

 服装はフード付きのパーカーにダボっとしたパンツで、なんだか【邪神様】のイメージとは違うように感じる。



「いったいどんなイメージだ?」


「さぁ?」



 ジュリとスタジオ入りすると、そこはラジオパーソナリティが座っていそうな場所が用意されていた。


 スタジオに座ってマイクに向かって何か語りかけるように口を開ける。



「OKです!!!撮影入ります」



 どうやら声を発している雰囲気が大切なようで、顔はあまり映らないようだ。


 少しだらしない姿を見せても問題なさそうなので、気を抜いてダラダラと机に持たれて姿勢を取ると……



「ハウッ!!!」



 何故かカメラマンが倒れた。



「休憩入りま~す」



 何故か、10名とも同時に倒れたので、休憩時間になった。



「どうしたんだろうな?」


「あれはねぇ~まぁ無理もないと思うよ」


「どういうことだ?」


「いや~うん。男子が無防備な姿見せてるとか普通の人は見たことないから……私も普段からヨル君のこと見てなかったらヤバかったよ」


 何がヤバいのか理解できない。


「とりあえず、お腹空いたから何か食べる?」


「そだね」


 今日はランチ用にバイキングが用意されているので、好きな物が食べ放題だ。


「ヨル君は何が好きなの?」


「う~ん。結構なんでも好きだけど。やっぱりチャーハンとか中華かな?」


「へぇ~意外ね」


 俺は唐揚げとチャーハンをよそって軽く食事をする。



「ウマッ!」


「ここのシュウマイ有名らしいよ」


「あっ知ってる。有名店のシュウマイ弁当」



 俺はシュリが食べるシュウマイを一つもらう。



「ウマッ!」


「うわっ!イケメンの笑顔ヤバっ!」



 シュリとランチを食べると、カメラマンが復活したということなので午後の撮影を再開する。


 他にも季節衣装替えをしながら一日撮影を終える頃には日が暮れていた。



「今日は付き合わせて悪いな」


「全然、めっちゃ勉強になってこちらこそありがとう」



 シュリには今後も専属スタイリストとして付き従ってもらうので、勉強して育ってもらえるのはありがたい。



「これからも頼むな」


「おうともよ!このシュリちゃんにまかせなさい。それにしても今日の撮影は凄かったけど大丈夫かな?」


「うん?何か心配ごとでもあるのか?」


「いやいや、この写真集が発売されたときのことを考えるとね」


「ああ。確かにな。こんな何でもない写真で大丈夫かな?」


「あ~自覚ないならいいと思うよ。結果が楽しみだね」



 なんだか疲れた様子でシュリが帰り始めたので、タエを呼んで車で送っていく。



「ヨル君。送ってくれてありがと」


「ああ。またな」


「ねぇ、ヨル君」


「うん?ヨル君は何を目指してるの?」


「目指す?う~ん……出来れば、みんなが幸せになってほしい。そう思ってるだけかな?」



 俺の応えにシュリは納得したように何度も頷いた。



「私はビジネスパートナーとしてヨル君の側にいる。それは私にとっての幸せだと思う。ヨル君がそれを願うなら、近くに居る人たちのことを見てあげてね」


「どういうことだ?」


「それは私の口から言うことじゃないと思う。だけど、ヨル君に見てほしい子はたくさんいるから頑張って」


「おう!今日はありがとな」


「うん。また」



 車を降りて家に入っていくシュリを見送って車が走り出す。



「俺に見てほしい子……か……難しいな。自分のことでも精一杯だからな。まぁ心がけてみるか」



 疲れて車の中で眠りに落ちた。

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