side名無し ー とある噂
【名無し】
「ねぇ知ってる?」
「何々?エロ話?メッチャ歓迎なんだけど」
「バカ。まぁエロ話なんだけど」
「あんたが話しかけてくるなんてエロ話って思ったわ」
二人のJKは放課後に教室に残ってバカな話をしていた。
「そんで?今回はどんなネタを仕入れてきたの?」
友人の話を楽しそうに聞いている彼女も花の女子高校生として、エロ話を聞き逃すわけにはいかない。
それほどまでに男に飢えており、ワンチャンを狙っているのだ。
「メッチャ興味深々じゃん」
「まぁ……そりゃね」
「そりゃね」
二人で納得し合うように頷き合う。
「まぁ、噂だよ。本当かウソかは知らないけど。男性用住宅って聞いたことある?」
「もちろんじゃん。何度か見に行ったこともあるよ。ここに男がいるんだって眺めるようね」
「そうそう。まぁ男性用住宅に住んでるのは、だいたい年老いた男性が多いなんだけど。たまに若い男子も住むことがあるんだって」
「マジ?」
友人がもってきた情報は都市伝説級にありえない。
「だって、そんな伝説があったら、私が養うって」
「だよね~だけどね。だけどね!なんでもたまに若い男子が市役所来ることがあるんだって。親がいないので養ってほしいって」
「マジ?」
「うん。都市伝説級に少なくはあるそうだけど。ありよりのあり」
友人が唾を飲み込む。
いったいどんな妄想をしているのか、自分もわかってしまうので妄想が止まらない。
「マジか~私市役所に勤めようかな?」
「いや、市役所務めたからって男性用住宅担当に成れるは限らんでしょ!」
「それもそうか~そんで、その話の何がエロいの?確かに男性が見れるのは嬉しいし。若い男性は貴重だけど……エロさなは今ところないぞ~」
友人の煽りに私はとっておきの情報をぶち込む。
「青葉高校の男子生徒が男性用住宅住みでいるみたいだよ」
「えっ?青葉?あの青葉?この辺じゃ唯一男子が通う。倍率1000%とか言われてる青葉高校?マジ?青葉に通う男子ってボディーガードがついてて近づいたらダメって噂だけど……男性用住宅なら合法であり?ってこと?」
「簡潔に言うなら……ありってこと」
「「キャァァァァァッァァッァアァァッァァァッァ!!!!!!」」
二人で悲鳴を上げながら教室中をしばらく走り回って息切れを起こす。
「ハァハァハァ……マジであたしらじゃ無理だけどね」
「それな。青葉に通えるほど学力ないし……美人でもない」
「ハァ~現実厳しすぎ」
「最近のトレンドはやっぱ【邪神様】だよね」
「マジでそれ。【邪神様】はマジで神。いつも暗いからもっと明るいところで見たくて仕方ないのに……」
「写真集とか出たらいったいどれだけ売れるんだろうね?」
【邪神様】公式ホームページには毎日アクセス数は100万アクセス超える勢いで伸びている。
最新情報や、newtube投稿されているPVなどの配信が確認することが出来る。
そこに記載されている表示には……
【近日写真集発売】
「あの告知みたとき、鼻血出たわ」
「わかる!あたしもいつ!って立ち上がってお母さんに予約してって言いに行ったもん」
「あ~やるよね。だけど近日発売で、あれ予約できないもんね」
「そうなのよ~電子でもいいから販売してほしい。スマホ保存して、一生それだけにために使う」
今日も見知らぬ女子たちの猥談は弾んでいく。
これは貞操概念逆転世界では当たり前の光景であり、誰もは一度は通る道である。
ただ、二人だけの世界に入っているつもりで、教室を飛び出し道路を歩いていると見知らぬ人とすれ違ってしまうこともあるものだ。
「うわ~凄い話しているね。タエもしてた?」
「……ヨル君。そういうことを女子に聞いてはいけません。みんな……黒歴史はあるものです」
通り過ぎる男女に女子高生たちは気付くことはない。