side幼馴染 ー 2
中学三年間、私はツキちゃんと協力してヨルを守り切った。
最初は私にヨルを紹介してと言っていた子たちも、ツキちゃんが生徒会を掌握してからは言わなくなった。
ヨルは引っ込み思案な性格をしているから、女子に話しかけることはない。
ツキちゃんからキモイと言われるようになって、ヨルはさらに人を遠ざけるようになった。
ヨルと話をするのは私だけ。
毎日のように話をして、ヨルの悩みや思っていることを聞いてあげる。
ヨルのことを一番知っているのは私。
そう、ヨルには私しかいない。
その状況に変化が訪れた。
中学三年生の冬。
受験も終わり、ヨルは青葉高校の進学科に。
私は青葉高校のスポーツ科に合格した。
それからヨルは学校に来なくなった。
私は日々のトレーニングを欠かすわけにはいかなかったので、中学のプールを借りて練習を重ねていた。
夜はいつも通り話をするのだけど。
ツキちゃんからヨルの様子が少しおかしいと聞いていた。
家族が居る間には部屋に引きこもり、家族がいない間に食事や外出をしているという。
私はそれとなく話を聞くことにした。
「ヨル君。最近学校来てないよね。どうしたの?もうすぐ卒業式だよ。卒業式は出るのかな?出るなら、帰りはお母さんたちがご飯行こうって言ってたよ」
話題は中学最後の卒業式について……その前に最近何をしてるのか聞きたい。
「もう卒業式なんだね。卒業式は出るよ。ご飯。了解」
いつもなら聞いてもいないのに、何をしていたのか話すのに。
いつもとは違う端的なメッセージ。私は違和感を覚えた。
いつもはもっと私に依存するように、縋るようなメッセージなのに素っ気ない。
「ねぇ、ユウナ。俺ってキモイのかな?」
ヨルから送られてきたメッセージを見て私は硬直と安堵した。
やっぱりヨルは私に依存している。
ツキちゃんからは、私にもキモイと言ってほしいと言われていた。
本当は言いたくない。私はそんなこと思ってない。
だけど、今の私に依存しているヨルが、別の人に取られるぐらいなら……
「うん。キモイよ!」
私は震える手で短く要件だけを送る。
しばらく待ってもヨルから返信がないので不安になった。
私は続けてメッセージを送る。
「いきなり、そんな当たり前のこと聞いてきてどうしたの?」
二度目のメッセージに既読が付いた
「……いや、ほら、もうすぐ高校生活が始まるからさ。上手くやれるかな〜て不安になるあれだよ」
ヨルが不安に思っているのはいつものことだ。
どうやら私の考えすぎだったのかもしれない。
「ああ、そういうことか。それなら、高校なんて行かない方がいいくらいキモイと思うよ。目つきは悪いし、老け顔だし、話すの苦手だし、総合的にキモイから家から出ない方がいいんじゃないかな?宿題とか勉強は僕が教えてあげるよ。仕方なくだよ。幼馴染だからね」
自分でも調子にのったと思う。
だけど、ヨルを他の女子に取られたくない。
いっそ高校なんて行かないで、ずっと私が養ってあげたい。
私は幼馴染という建前を前面に押し出してヨルを繋ぎ止めたかった。
「あっありがとな。俺の唯一の友人はユウナだけだよ」
帰ってきた返信を見て、私は自然に口元が緩んでしまう。
やっぱりヨルはヨルだ。
今日は少しだけサービスしてあげようかな。
「はいはい。そろそろ私ストレッチして寝るねぇ~おやすみ~」
私はmainを消すフリをしてテレビ電話のボタンを押す。
中学生になったぐらいから、ヨルが女子の体に興味を持ちだしたことを私は知っている。
恥ずかしいけど。
上着を脱いで背中を向ける。
ベッドが見える角度は十分に知っている。
ストレッチを始めると、私の動きに気付いたヨルからの視線を感じる。
ヨルの視線を感じるだけで、私の体は熱く火照ってくる。
唾を飲み込む音。
気持ちいい。大好きな人が私の体を見て興奮してる。
ヨルは私のモノだ。ツキちゃんにも絶対渡さない。
ちょっとぐらい貸してあげることはしてあげても、ヨルの一番は私以外にありえない。
しばらく続けてmainのアプリを閉じた。
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