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貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?  作者: イコ
二学期編

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113/223

青葉祭は派手に ー 後夜祭

完全に日が沈んで、グラウンドではキャンプファイヤーが開催されている。


ツキとタエさんが共にグラウンドを見下ろしている。


扉が開かれてテルミ先輩がやってきた。



「テルミ先輩。ようこそ」


「はい。昨日の返事を聞かせてくれるんですよね?」


「はい。その前に隣にいるのは俺の妹で黒瀬月と言います」


「ツキです」


「あっはい。最上照美です。お兄さんにはお世話になっています」


「テルミさんですね。よろしくお願いします」



タエさんは生徒会メンバーであれば知っているので説明する必要もない。

続いてツユちゃん、レイカさんがやってきた。

それぞれツキがいることに疑問を持ったので説明を兼ねて自己紹介をしていく。



ユウナが来て大勢の女性がいることに驚いているようだ。



最後にランさんが姿を見せる。



「ヨル。久しぶりね。それにしても大勢の女の子が集まったわね」



ランさんの言葉通りここには、ランさんを除いて6人の女性がいる。



他にも好意を寄せてくれている子もいるのかもしれないが、青葉祭の中で告白してくれた人たちは彼女たちだけだ。



「はい」


「それじゃあ、私が最後かな?ヨル。私はあなたが好きよ」



ランさんは卒業生として青葉祭の伝統を知っていたようだ。


他の女子たちがしてくれたように告白をしてくれる。



「ありがとうございます」


「ヨルの返事を聞かせてくれるのでしょ?」


「はい」



俺はゆっくりと全員が見渡せる位置に立つ。



「改めて、こんな俺を好きになってくれてありがとうございます。告白の答えを言う前に皆さんに話しておきたいことがあるので聞いてください」



俺は事前にツキと話した内容を伝えてもいいかと問いかけると、ツキは「問題ない」と言ってくれた。



「まず、俺は黒瀬夜であって黒瀬夜ではありません」



俺の言葉の意味がわからないと怪訝な表情を見せる。



「俺は異世界で病気で死んだ記憶を持っています。


そのとき読んでいた貞操概念逆転世界と言われる物語に憧れていました。

もし自分が死んだらその世界に転生したい。


そう思って死んだ俺は、黒瀬夜として生を受けました」



俺の告白にユウナだけが驚いた顔を見せる。


他の女性は真実なのか疑うような顔になっている。



「黒瀬夜の心は……貞操概念逆転世界の弱気な黒瀬夜は中学生までで精神が死んでしまいました。その空いた席に俺は座ったんです」



死んだと言ったところでユウナは泣き崩れ。


他の女性たちも驚いた顔をする。



「今の俺は黒瀬夜の記憶を持ち。転生する前に病気で死んだ記憶を持つ。別の誰かです。


俺にとってこの高校生活は新たな人生であり、みんなと過ごした時間も俺のものだと思っています。


ですが、この事実を隠したまま告白を受けることはできない」



事実を公表して、オカルトチックな話に君がられるかもしれない。


戯言を言っているとバカにされるかもしれない。


それでもこれが事実であり、知ってもらいたいことだ。



「そういうことだったのですね」



声を出したのはレイカさんだった。



「レイカさん?」


「いえ、あまりにもヨル君は無防備というか、警戒心が無さ過ぎたので」



レイカさんの言葉に続くように……



「ああ、確かに街で囲まれているのに、のんきに鏡を見てた」



ランさんとデートしたときかな?



「だから一度も嫌悪感を持つような態度や視線を向けなかったんですね」



モガミ先輩に嫌な視線を向ける人はいないと思うけど。



「そういうこと。だからヨルに惹かれる。他の男子とは違うから。やっぱりヨルは特別」



ツユちゃんは何故か誇らしげだった。



「よくわかりませんが、凄いのですね!」



タエさんはとにかく俺を肯定してくれる。



「ヨルは?ヨルはもういないの?私がずっと好きだったヨルは……」



ユウナだけは涙を流しながら問いかけてくる。



「さっき……本当にさっきいなくなったんだと思う。心残りを解決して」



俺はツキを見る。ツキは優しく頷いてくれた。



「私は……私はどうすればいいの?ヨルだと思って、ヨルが好きで……」


「ユウナがヨルを大切に思っていてくれたこと嬉しく思う。だけど、もう俺はヨルだけどヨルじゃないんだ。今の俺が黒瀬夜だから」



呆然とするユウナの頭をポンポンと撫でて立ち上がる。



「今の話を聞いて、告白を取り下げる人は言ってください」



俺の問いかけに告白を取り下げる人はいなかった。

それは泣きながらも項垂れるユウナも含めて。



「ありがとう。それでは伝えます。俺は二年間皆さんと交際したいです」



ずっと考えていたことを告げると、全員が疑問を浮かべる。



「二年間?」


「どういうこと?」



代表して、レイカさんとランさんに問いかけられる。



「二年間はお試し期間だと思ってもらえれば……まだ高校生で誰とも付き合ったことがない俺です。


俺のことを好きじゃなくなったり、

他に好きな人ができたり、

やりたいことがあって一緒に居られなく人もいると思います。


だから、それでも変わらず、二年後まで好きでいてもらえるなら、そのときは俺と結婚してください!」



俺は言いたいことを言いきった。



告白の答えも、

俺自身の正体も、

ハーレムを作りたいクソ野郎と言われても……


全て俺の気持ちを曝け出した。



そして、右手を差し出す。



その手を取ってくれる子がいるなら、絶対に大切にすると決めて……


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