side名無し ー 【邪神様】が通る
【名無し】
私は青葉高校普通科1年……名前はまだない。
本当はあるけど。
自分の日記なのでちょっとカッコよくしてみた。
ここに記す言葉は、私の日々の日常。つまり日記である。
ただ、少しばかり趣向を凝らせて、言葉や言い回しは工夫したいと思う。
その方が長く続けられると思うから……
さて、入学式から早いもので半年が過ぎようとしている。
青葉高校に入学したことは私にとって幸福以外の何者でない。
青葉高校は、進学校でありスポーツ校でもある二面性を持ち。
また、スーパースターになるプロの養成所とも言われている。
そのため、進学クラスやスポーツクラスの子と仲良くなれると、将来自分では体験できないような出来事を聞けることがある。
だけど、一番の喜ばしいことは男子が存在していることだ。
年々、若い男性が減少傾向にあり、世界でも問題視されているが青葉高校には200名ほどの男子が同学年にいるのだ。
全国で19歳以下は1万人いるかいないかと言うほど少なくなった。
そんな貴重な若い男性が200名。
これは快挙だと青葉高校経営陣に拍手喝采を送りたい。
男性が生きて見れているだけでも、幸せなことなのになんと今年の男子はレベルが高い。
その中でもトップの五人は、見た目、性格、活動、勉強……全てのレベルが異常なのだ。
男性保護法が設立されたことで、
男性は働かなくても衣食住の安定供給。
保護されるべき身の安全の確保。
望まぬ強要の拒否。
と言った三原則で法律が成立している。
そんな働かなくても、我儘にしていてもいいのに……
MCT5
男子応援団の五人組は、もう完璧なのだ。
担当教師である
神崎薫先生は、歳を取らない童顔年上男子として、ショタ好き女子から絶大な人気を誇る。ショタは一定数から安定需要があり、合法ショタとなればもうたまらない。
副団長の【王子】様
白金聖也様は、銀髪薄幸美少年。白い肌にスラっとした身長。誰にでも優しく笑いかけてくれることから【王子】様に二つ名を持つ。たぶん団長がいなければ絶対推してた。
特攻隊長
赤井隼人君、赤髪眼鏡男子。鋭い瞳と本を読む近寄り難いオーラを持つが、男子応援団に入ってからは、頑張り屋さんな一面と他に二人に負けない気概を持つ努力家男子。男子応援団の中では人気は最下位ではあるが、それでも根強いファンがついている。
オシャレ番長
緑埜洋平君。天才系音楽男子。いつもダルそうにヘッドフォンから流れている音楽を聴いている。男子応援団に入ってからは音楽活動に力を入れるようになり、自身の音楽をnewtubeでも上げるようになった。私も登録している。
団長=【邪神様】
黒瀬夜様、神!他の男子にはない。失われた男らしさ?を持つ奇跡の存在。
無口で多くを語らないところが、ミステリアスな雰囲気を作り出す。
ダンスを踊れば豪快で目を惹きつけ。
歌を歌えば、低い低音ボイスが心臓を鷲掴みにしてくる。
お顔は大人っぽく落ち着いた印象を与え。
勉強も実は、首席で合格していたと聞いたことがある。
何よりも、私は見たことがある。
廊下で重い荷物を持つ、女子生徒に「荷物持とうか?」と優しく声をかけていたのを!!!
男子応援団は、神集団である。
五人とも見た目よし。
五人とも活動良し。
勉強も出来る男子は、会話をしていてもどんな話でもついてきてくれる。
性格も、横柄で冷たい態度をとることなく。
ハヤト君は戸惑いながらも恥ずかしそうに聞いてくれ。
ヨウヘー君は、ダルそうにしながらもアドバイス言ってくれ。
セイヤ君は、笑顔で応じてくれる。
ヨル様は、ヨル様……あ~踏んでほしい。
もうどうでもいいから、私のこと踏んで、蔑んで、罵ってほしい。
私はMだ。
それもドの付くMだ。
そんな私が今もっとも望むことは、【邪神様】にこの身を蹂躙されたい。
あの力強い身体、太い腕、鋭い瞳で蔑むように私を見て罵ってほしい。
そんな願いを持ちながら、日々学校へ通っている。
学校では、文化祭である青葉祭の演目決めや、屋台やクラスでの出し物など決める会議が行われ始めて私も日々準備のために走り回る日々が続いている。
「キャッ!」
前が見えないぐらい荷物を持っていた私は誰かにぶつかってしまった。
「あっごめん。大丈夫?」
ぶつかった相手から心配される。
心配されたことよりも、私はその声にお驚きで反応できない。
「あれ?どこか打った?」
「ヨルはデカいからなぁ~」
「今のはこいつがぶつかってきただろ。ヨルは関係ない」
「まぁでも、ヨルはビクともしないね」
男子応援団の四人が私の前に立っている。
手を差し出してくれる【邪神様】、ああなんて幸福が私の身に……
「うわっ!ヨルが女子を泣かせた!」
「えっ?俺のせい?」
「う~ん。この女が勝手に泣いたように見えるぞ」
「君、大丈夫?とにかく荷物を拾って運ぼうか。どこまで運ぶの?」
私がもっていた荷物を男子応援団がもってくれて、私の教室に運んでくれる。
普通科に男子が来ることなんてないから、クラスメイト達が興奮して、男子が去った後も「よくやった」「感謝だよ」とお礼を言われた。
彼らの優しさが嬉しくて、私は泣いてしまった。
ただ、惜しむは、ヨル様が差し出してくれた手を取れなかったことだ。
一生に一度あるかないかのチャンスを私は逃したのだ。
男子に触れるという最大のチャンスを……




