雨の秘密
雨の日に悲しい思いをしていたら、耳をすませてみてください。
ぽとん。
泣いていたあなたのお顔に ひとしずくの雨。
「雨はだれの涙なの?」
あなたは、空をみて私にたずねる。
だれだっけ?雨を神様の涙だと言ったのは。
ほら、耳をすませてごらんなさい。
ぱらっぱらっ。ぱららんらん♪
あなたのお気に入りの傘の上で、ソプラノを。
とん。ととん。とんとんとん♪
あなたのブリキのバケツの裏でアルトを。
ぴちっ。ぴちゃっ。ぴちゃっちゃっちゃっ♪
あなたの道であなたの長くつとバックコーラスを。
雨はね、秘密にしていましたが
実はね……
あなたを楽しくさせる神様の歌声なんですよ。
声を出せない神様は 雨を降らすことで あなたを励ましているのです。
赤い傘をくるくる回して、あなたは笑った。
「雨の日はみんな歌っているね」
私も笑って、好きな歌をそっとくちずさんだ。
雨音との小さな小さなハーモニーを。
雨って神様の涙なのかな?だってわたしもこんなに悲しいのだもの。
そう思うのと
神様の歌声だと思うのとでは、雨の日の印象が変わってきます。
あなたの涙が、早く乾きますように……。
そして、雨の日のハーモーニーを早く楽しめるようになりますように……。
お読みくださり、ありがとうございました。
ご感想などいただけましたら子供のように喜びますので、
宜しくお願いいたします。