幼馴染キャラに「アンタ、やっぱりバカね」って言わせたいが為に書いた小説だがなんか文句あるかゴルァ!?
地の文が空気だがなんか文句あるかゴルァ!?
「ういーっす」
聞き慣れた声が爽やかな風とともに部屋に流れ込む。
「軽いノリで窓から侵入するな」
俺は体も起こさずベッドの上で漫画を読みながら思ってもない指摘をする。
「じゃあなんなら良いのよ。おごそかか? おごそかに侵入すればいいんですか?」
「ビックリするほどの逆ギレじゃん。正規の手続きを踏んで入室してこいよ」
「ならちゃんと窓の鍵を締めとけばいいじゃない」
「ぐうの音も出ん返しをするな。喉元がヴッてなるわ」
「ほえー」
空返事をしながらヤツは勝手に俺の私物であるポータブルゲーム機を起動した。
「いや会話に興味なさすぎにも程がある」
「レスポンスし辛い発言するアンタにも非がある」
「ぐうの音も出ん返しをするな。三日三晩ガチで引きこもりながら落ち込むぞ? 落ちこもりキングになるぞ?」
「あ、その間も窓の鍵は開けといてね。ゲームの続きしたいから」
「鬼か貴様? その髪の毛にガチガチにワックス塗って立派な角を成形してやろうか?」
「おー、アンタとオソロじゃない」
「どんな目してるの? 俺髪の毛結べないぐらい短いバリバリの爽やか系男子よ? イケメンではないけど爽やかさなら町の誰にも負けんと自負してるよ?」
「いや、私が一位ね。アンタはその下の下」
「二位は誰!? 里中君か!? あの『格好いいは格好いいけど彼氏にするにはちょっと……ランキング』堂々の一位の里中君か!?」
「んー、敵強いな……この面どうやるの?」
「小ボケ無視されて悲しいやら恥ずかしいやら……貸してみ?」
ゲーム機を受け取った俺は華麗にゲームのキャラを操作し見事死んだ。
「いや今のは出来るところだと思いませんか幼馴染さん!」
「いやこっちのセリフよ? 何カッコつけて『貸してみ?』とか言ってるのよ」
「自分でもビックリしたわ……全クリした筈なのに凄い呆気なく死んだわ……」
「最後の方なんか自分から当たりに行ってたからね。フザケてやってるかと思ったわ」
「俺はもう出来る気がしない……独力で頑張ってくれ……」
「一回死んだだけでヘコ垂れるんじゃないわよ全く。返して」
「はいよ」
俺はゲーム機を渡し、再び漫画を読む作業に勤しむこととした。
「……ていうかさー」
「何よ」
「俺、お前の事好きなんだけど?」
「知ってる」
【幼馴染キャラに「アンタ、やっぱりバカね」って言わせたいが為に書いた小説だがなんか文句あるかゴルァ!?】
「俺振られたよね?」
「振ってるわね。割と何回か」
「なんで未だに俺の部屋に入り浸ってるの!? え、怖い怖い怖い! 普通こういうのって気まずくなって距離感離れてくもんじゃないの!?」
「え、離れた方がいいの? 明日から疎遠になる?」
「ならないで下さいっ!」
そんなフランクな感じで疎遠になられるのヤダッ! どうせならもっとドラマチックに別れたり気持ちの整理が付く様な綺麗な終わり方にしたいっ!
「ビックリするほど綺麗な土下座ね……私が美術館建てることになったら展示したいぐらいには綺麗だわ」
「もう少し哀れな男に対しての慈悲というものはないのでござるか?」
「ないわね」
無慈悲。これが惚れた弱みってやつか……(多分違う)
「というか、振られたのにまた告白してくるアンタもアンタだからね?」
「いや、振った癖に全く警戒もせずに同じ距離感で接してくる女の子がいたらそりゃ勘違いもするでしょうよ男ってそういうもんでしょうよ好きです付き合ってください!!!!」
「ごめんなさい」
「何なんだよコイツもう帰ってくれ!」
「待って、説明をさせて頂戴。私としてもアンタと付き合う事を真ッ剣に頭の中でシミュレートしてみたの」
「お、おう。それで……?」
「どうしても離婚する結末しか見えないのよね……」
「結婚まではいくのに!? そこまでいったら避けられる未来ではないの離婚は!?」
「まず学生時代には可もなく不可もない恋愛模様を楽しむことになるでしょ?」
「可はあって! 恋愛なんだから可はないと自然消滅しちゃうよ!?」
やだ、指を折られながらそんな話しされたらこの先どう酷くなっていくのか怖い!
「卒業して直ぐに結婚……とはいかないだろうから社会人三年目ぐらいの生活が落ち着いてからそろそろ結婚しないと別れるなと思い始めるでしょ?」
「ほらマンネリ始まっちゃったよ!? 何だこの割とリアルで精神に来る想像!」
「結婚の話するけど不景気で給料もあまり良くないし結婚式は挙げずに籍だけ入れるでしょ?」
「妄想なんだからもっと夢見させてそこは!? 小さいとこで家族だけでやるぐらいでもいいんじゃない!?」
「結婚してからは何かいつもより距離間近くなって嫌になってくるでしょ?」
「幼馴染で毎日家に入り浸ってるヤツの嫌になり方じゃないのよそれは! 俺の情けない姿見まくっておいてこれ以上嫌いになることある!?」
「そんな時私は街角でバッタリ年収二千万のエリートイケメンに会うわけ」
「『会うわけ』じゃないが!? 俺とは式も挙げなかったのにどっから引っ張ってきたのエリートイケメン!」
「こんなのもう離婚よ離婚。やってらんないわアンタとは」
「何だコイツは!? 俺は悲しい! 泣く! 泣いて寝る! 泣いて寝て朝起きてまた泣く!」
「まあそれは冗談として」
「話を聞こう」
「復帰早いわね」
「俺は復帰の速さと心の折れやすさには自身があるからな」
「自慢する程のことじゃないわよ」
そう言って彼女は俺の頭をグシグシと弄り倒す。ワオ、さり気ないボディタッチに惚れそう。惚れたわ。
「正直、最初にアンタに告白された時はドン引きしたわ」
「……おう」
「そもそも家族みたいに思ってるやつから告白されるのは恐怖でしかないわけ。普通何の戦略もなくバカみたいに直球勝負してきたら断るわよ」
「……はい」
「でも、私としてはアンタは大切な幼馴染なわけ。別にアンタの事が嫌いなわけじゃないし、アンタの付き合いたいっていうバカみたいな願望一つで一方的に縁を切られるのも癪なのよ」
「……」
「よくよく考えればアンタは前々から私の事が好きだったわけで、それを私に伝えただけの話なんだから状況は何も変わってないわけでしょ? アンタが私のことを好きじゃなくなるか、私がアンタを好きになる、もしくは嫌いになるまでは今まで通りでいいんじゃない?」
「いや、その理屈はおかしい気はするけど俺にとっては滅茶苦茶ありがたい状況には変わりはないのでそんな感じでこれからもよろしくお願いします」
「……え、本当にそういう感じでいいの?」
「そっちから提案してきたんでしょうが!?」
俺の発言に幼馴染氏はそれはそれは深い溜め息を吐く。
「わかってないわねアンタ。こういう時は『俺が惚れさせるぞアピール』みたいなのをして私の乙女ゲージを稼いどかないといけないのよ」
乙女ゲージとは何ぞや。
「いやもう最悪幼馴染というポジションに甘んじてもいいかなと思ってきた」
「とかいって、アンタ私が他の手頃な男と付き合ったら泣くでしょ」
「泣くね。間違いなく泣くね……でも俺より手頃な男はいないと思うぞ! 手頃さ百パーセント。国産。後、家から徒歩0分」
「わかってないわね……私はそこそこ顔が良くて外面だけは良いから、アンタより少し上のスペックの男は落とせる自身があるわ!」
「くそぅっ! 惚れた手前否定し辛い事実ッ!!」
恨むべきは己の顔面偏差値か、高みを目指さぬその精神か。
所で俺は何で意中の相手に恋愛指南されてるんですかね? 泣きたい。
「そして私は外面だけは良いから、彼氏が出来たらアンタと関わる時間を極端に減らすわ!」
「なんだってーーー!? あばばばばばば」
ど、どうすればいいんだ……こうなったら俺がアイツの彼氏になって今以上に深い絆で結ばれるしかない!
「ということで付き合ってくれ!」
「断るわ! アナタ、スペックが可もなく不可もなくだもの!」
「ハッキリいうなよぉおおおお!?」
死んだ。俺の人生は終了だ……これから先、コイツはちょっと年上の何か金髪で金髪の金髪な金髪と付き合って俺との関係を無かったことにするんだ……
「アナタ、スペックが可もなく不可もなくだもの!」
「追い打ち!?」
「だから、自分磨きをしなさい。勉強でも運動でも察しの良さでもいいから、私が惚れそうな男になったら付き合うわ」
「…………マ?」
「嘘だと思うならしなくていいわよ」
「します! させていただきます! この命に替えても惚れさせます」
「未亡人は嫌だから命には替えないで」
「はい……ん、やっぱ結婚してね?」
「何、したくないの?」
「したいッ! 猛烈にしたい! 好きです!!」
「……アンタ、やっぱりバカね」
そういうと栗毛の天使はクスリと笑った。
「あー、オホン。つきましてはー、お付き合いを前提に勉強を教えて下さい」
そして次の瞬間ビックリするほど呆れた目になった。やだ、正直に頭下げて今出来そうな事から頑張ろうと思ったのに俺泣きそう。
「アンタね……ま、いいわ。ビシバシ行くから気絶するんじゃないわよ?」
「よろしゃーす」
「はいよろしゃーす」
END
「そういや、アンタ私の何処に惚れたの?」
「……ここの問題難しいっすね、先生教えて下さい」
「無視すんな」
「いや、今勉強中なんで」
「言わないと付き合わないわよ」
「お前それ無敵すぎない? 泣きそうなんだが」
「言いなさい」
「…………なところがだな」
「……へぇー?」
「ほら後でからかうやつじゃないですか! この手のやつは二度と言わないからね!?」
「もう一生弄り倒してやるわ。喜びなさい」
どうも皆さんおはこんばんちわバラレットラ! 全自動駄文生産ラインこと残機1LIFE0です。
私はラブコメが好きで好きで仕方ないのですが、可愛いヒロインを書くと可愛げのないヒロインが出来る病気を患っています。医師を訪ねて三千歩したところ、保って七行の可愛さだと診断されました。
なので今回、逆転の発想で可愛げのないヒロインを書けば可愛くなるのでは? と思ったら可愛げのない可愛いヒロインが出来ました(錯乱)
私の書いた幼馴染が一番可愛いのでもっとこういう幼馴染が増えればいいと思います。後幼馴染が噛ませ役に使われる作品には容赦なく誤字脱字を仕込みたいと思います(過激派)
いや、冗談ですよ? うん、半分はね?
というわけで久々に執筆したリハビリ作品は如何だったでしょうか? 面白くないと言われたら容赦なく泣きます! 面白いと言われたらその七倍は泣きます! 反応がなかったらそれはそれで誰も見てない所で泣きますのでそれ相応の覚悟をしておいて下さい!!!!!!!!!(何の)
ではでは、また何処かで皆様の貴重な時間をほんの少しばかりでも頂ければ光栄で御座います。サラダバー