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蜂蜜色の恋物語  作者: 夕鈴


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7/12

研究者の娘7 

朝食はレティとクロードとレオの三人で食べる。

食事を終えたレオは両親の部屋に走っていき、クロードは庭園に行く。

レティは食器を片付け終わり、庭に向かう。

朝食後のクロードの日課は庭の野菜の世話である。


「クロード、手伝うよ」

「レオは?」

「今日は父さんと一緒がいいって。昨日は外に連れ出したから今日はお部屋で許してあげる」


クロードはうまくレティから逃げたレオに笑い手提げカゴを渡す。


「そうか。そろそろ食べ頃だ。ジャムにしようか」

「美味しそうだね。クロードもおじさんも美味しいものを作り出す天才だね」


不器用でぼんやりする癖が治らないレティをクロードはからかう。


「レティは鍋をいつも焦がすよね」

「ごめんね。でもクロード達のおかげでご飯は作れるよ」


赤い実をつけた苺に手を伸ばしてクロードとレティは収穫していく。

大きな苺を手に持ちレティは笑う。村で見る苺よりもクロードの育てたものは大きかった。


「苺はこんなに大きく育つんだね」

「新種って言わないの?」

「言わないよ。意地悪言わないで」


レティにとって知らない物は全て新種と騒いでいたのは黒歴史である。自分が常識知らずだったのでレオに苦労させないようにきちんと育てようと決めていた。

頬を膨らますレティにクロードはもぎたての苺を口の中に入れるとニコッと笑う。


「美味しい」

「良かった。レオにもあとで持っていこうか」

「ありがとう。村に行くけど買い物ある?」

「特にないよ。気をつけて」

「うん。行ってきます」


苺の収穫を終えたレティは元気に手を振って村を目指して歩いていく。

レティは村の図書館に本を返し、新しいレオのための絵本と料理の本を借りる。

図書館を出て市を目指していると転んでいる少年をみつけて駆け寄る。立ち上がった膝から血が流れているのを見て、座らせる。傷口を水で洗って薬草を貼る。


「気をつけてね。じゃあね」


レティは手を振り少年と別れて市を目指す。

村では助け合い精神が大事と教わり、困っている人を見かけたら助けることが体に染みついていた。

市に着き時々しか店を出さない旅商人を見つけてレティの目が輝き商人に笑顔で近づく。


「おじさん、これ!!」


レティはいつも旅商人に魔石を売ってお金を手に入れる。


「レティ、何を探すんだ?」

「大きいチーズが欲しいの。バターはうちで作れるんだけど」

「仕入れておくよ」

「ありがとう。あとね、この本にある、これも!!おじさん、できれば明後日に欲しいの」


旅商人は上質な魔石を売ってくれる美少女の願いに頷く。

上質な魔石がなくても美少女の満面の笑みを受ければ答えたくなるものである。

レティは明後日にまた来ることを伝えて元気に帰路につく。




レティは約束の日に市に向かっていると少年に声を掛けられ足を止める。


「待って。こないだありがとう」

「こないだ?」

「怪我の手当てを」

「おまじないだよ。気にしないで。じゃあね」

「お礼するよ」

「いらないよ。困った時はお互いさま」


レティの心はすでに市である。

少年を気にせず歩き出す。

素っ気ないレティに少年はめげずに話しかける。

市に着きレティは嬉しそうに笑い商人に手を振る。


「レティ、今日は友達も一緒か」

「ううん。知らない子だよ。おじさん」

「ほら、これでいいか?」


わくわくしているレティに旅商人は大きいチーズを見せる。


「凄い!!本と一緒だ!!」

「このチーズの食べ方は―――」


レティはチーズの食べ方を真剣に聞く。

そして自分でも用意できそうなのでニッコリ笑う。


「ケーキはこれでいいか?」

「凄い!!本物だ。綺麗!!おじさん、ありがとう!!代金は魔石でいい?それとも水鳥の涙?」

「両方換金しよう。レティのものは質がいいからな」

「ありがとう!!」

「他に欲しいものはあるか?」

「これ!!この果物は森にないの」

「今度はパイを仕入れてやろう。その果物はパイにするとうまい。来週またくるよ。レティ、水魚の真珠も取り引きに応じるよ」

「そうなんだ。お魚さんにお願いするね。教えてくれてありがと」


商人は稀少価値の高いな素材を集める上客を笑顔で見送る。レティは商人の憧れる人によく似ているため、欲はかかずに良好な関係を目指している。

無邪気に慕う美少女は癒しでもある。


少年は真っ赤な顔でレティを追いかけていた。

レティはバッグの中にチーズを入れて、ケーキを慎重に持ってパン屋を目指す。


「レティ、いらっしゃい。もうすぐ焼けるけど待ってる?」

「うん。待ってる。焼き立てのパンが一番美味しいもの。冷めても美味しいけど焼き立ては」

「サービスするからいつでもどうぞ。レティ、ローブ以外の洋服は着ないの?」

「母さんお手製のこれが一番好き」

「残念ね」

「今日はいつものパンと木の実がたくさん入っているパンとチーズに合うパンが欲しいけどどれがいい?」

「木の実のパンが好きなら今度用意してあげるよ。あんまり木の実が取れないのよ」

「これあげるよ。森の恵」


レティは袋の中かは木の実のたくさん詰まった小袋を渡す。


「あら?これを使って焼いてあげるよ。次はいつ来るの?」

「本当!?ありがとう。明後日のお昼の前に」

「待ってるよ。パンが焼けたね。気をつけて帰るんだよ」

「うん。ありがとう」


レティはお代を払って、受け取ったパンを袋に入れて帰路につく。隣を歩く少年のことは頭にない。

この後のことを思い浮かべニコニコと笑いながら足を進める。

庭で野菜の世話をしているクロードを見つけ、満面の笑顔を浮かべて近づく。


「クロード!!お誕生日おめでとう。プレゼント」

「へ?」

「王都で流行のケーキとチーズ。商人さんに頼んで仕入れてもらったの。私は作れないから」


クロードは去年の誕生日にお菓子を焼こうとして丸焦げにして落ち込んだ姿を思い出し笑う。


「ありがとう。レオを呼んで食べようか」

「取っておきの食べ方を聞いたの!!今日は私が用意するね」


パチンとウインクをしたレティはテーブルの上に茹でた野菜と温かいパンと焼きたての肉を並べる。

温めて溶けたチーズを豪快に掛け、8歳のクロードの誕生日をお祝いする。


「おばさんの代わりに私が祝うよ。8歳、おめでとう!!」

「ありがとう。レティ、熱そうだから気をつけて」

「これはアツアツで食べる料理なんだよ。あつっ!!」


クロードは冷たい水をレティに渡して笑う。身長を抜かされても幼馴染は年上には見えない。


「クロードのお祝いじゃなくて姉さんが食べたかっただけなんじゃ」

「レオ、気をつけて食べてね。デザートもあるよ。美味しいね。父さんに頼んだらチーズ作れないかな・・?家の庭で牛を飼いたいな」

「動物は父さんが捌くから無駄だよ」

「そうよね。動物を美しく捌くのも趣味だもの。チーズはどうすれば」

「森の小屋で試してみようか。そうか!!姉さん、森で飼えばいいんだよ。結界で覆って」

「商人さんに美味しいミルクの出る牛を今度仕入れてもらうね。お世話は」

「魔道具を使えばいいよ。鳥と一緒でしょ?」


レティとレオは自給自足の生活に慣れているため、自分で作り出す方法を考える。

クロードは研究一家の血かと穏やかな顔で眺める。

クロードの母親はほとんど帰ってこない。

きっと来年も笑顔でお祝いしてくれるだろう二人に笑みを深めて料理を堪能する。

話に夢中で手が止まっている二人に声をかけながら。

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