表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

集合2

 沢山の者たちを見送った。沢山の者たちと出会っても、みんないつかは…居なくなってしまった…。それが辛くて『関わらない』ことにした。それでも、自分に関わらそうとする者は少なからずいた。


 でも、そんな奴ほど、私は深く傷つけた。ハイルもその一人だった。あいつと初めて会った時、あれは私に願った。〝病の家族を救って欲しい〟と。


 親、恋人、子供…一人も救わなかった。方法はいくらでもあった。でも、救わなかった。


 そんな私は、同情からルークを救った。


 ハイルの怒りは相当だったろう。それでも、あれは何も言わなかった。




─────「そろそろ、潮時ですね」


 今日は嫌になるくらい、雲ひとつない晴天です。心地の良い風に任せて、とある魔術道具を使い、ふたつの手紙を送りました。


 セシオラとハイルに向けた手紙。届くといいのですが。


「どうか、間に合って…」


 そして山を下り、ディーナと落ち合うと、セシオラがいる場所へ向かいました。






─────さてさて、姉妹でそんなに喧嘩しなくてもいいでしょうに。というか、何ですか?その話題…。


「是が非でも、レイラ様を殺そうと言うんですの?罪のない子供たちを犠牲にして?…セシィ、あなたは勘違いしていますわ。レイラ様を殺したって」


「黙って!ねぇさまを守るためでもあるのよ。お願いよ、邪魔しないで」


 ルークの喉に剣を突き立て、セシオラが怒っています。どんな状況でも、ディーナは妹を捨てられないようですね。相変わらずの、姉妹想いの、強い家族愛ですね。


 本当に、羨ましい。


「…いつか、〝白い人〟は来てしまうわ。そうなれば、レイラ様を殺したって、意味無いでしょう?」


 目の前で、セシオラとディーナが言い合っています。おやおや、あの方についても知っていたとは思いませんでした。だとしても、何ですか?その話に内容は…。


「ちょっと、黙ってはいただけませんか?」


 2人の言い合いに割り込むと、2人は言い合いをやめて、私の方を見ました。表情が険しすぎて、怖いんですが…。


「お二人とも落ち着いてください。とりあえず、きちんと話し合いをしましょう。やっと、全員揃ったようですから。…遅かったですね、お二人さん」


 そう言うと、ディーナ、セシオラ、ルークが不思議そうな顔でこちらを見つめています。私の視線は、私の背後に向かっています。


「お久しぶりです。魔女様」


 そこには、()にとって見覚えがあるであろう顔があります。


「ゲート!?」「ゲートねぇさま!?」


 ディーナもセシオラも随分と驚いた様子です。ですが、それは彼女たちだけではなく、ルークもです。


「は!?…さっきの話に出てた?…あの人が!?」


「?…私たちの姉を知っていますの?」


「知ってるも何も…」


 ディーナの質問に、ルークはまともに答えられないほど動揺しているようです。無理もないでしょうが。ルークにとっては、意外な状況でしょうからね。


 そう、ルークは彼女に会った事があります。8年も前に。


「…お久しぶりです…魔女様。あれからもう、8年ですか」


 ゲートの後ろに立つ男も、挨拶してきました。


「え?…」

「ハイル…先生…?」


「お久しぶりです、ハイル」


 ディーナとセシオラの口から漏れた声だけが、教会に響いていました。死んだと思っていた男が、尊敬する師が、目の前にいるのですから当然と言えば当然でしょう。


 セシオラの話で、唯一の間違いがあるとすれば、この件だけです。…ハイルは死んでいなかった…という一点だけ。


 弟子が悪に走ったことを知りながらも、ずっと沈黙を続けていた男が、やっと表に出てくる気になったとは。随分と、時間がかかりましたね。


「聞きたいこともあるでしょう?言いたいこともあるでしょう。それは、皆同じことです。…話し合いの場を設けたいのです。来ていただけますね?ハイルの弟子たちよ」


 これから、私は語らなくてはいけません。

 ハイル、ゲート、あなたがたも同様に。


 そして決断を求められるでしょう。未来を担う子供たち、あなた方は何を思い、どんな選択をするのか、私は楽しみで仕方がありません。私には、選択することすら出来ないのですから。


 …もうすぐ、もうすぐです。…あと少しで、傍観者としての私の役目も終わります。そしたら、私は…。


「それでは、ここではなんです。…私の家に行きましょう」


 返事をする者は居ませんでしたが、全員了承したのか、黙って集まりました。後はそのまま、魔道具を使って、私の家まで飛びます。


「さぁ、話し合いを始めましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ