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出会い

 初めまして、私の名前はレイラです。周りからは、レイと呼ばれています。私は魔女を生業としている者で、今日は魔術の材料を買いに闇市に来ています。


「あれとこれと…。よし、これで全部ですね」


 買うものを買ったら、すぐに森に帰ります。そのためには街の表に出ないといけませんが、魔女とバレると面倒ですから、気をつけなくては。


 そのために一番大事なのは『関わらない』ということです。それが、この世界で魔女として生きていく秘訣です。そして、私のモットーです。




─────さぁて、何にも関わらず、平穏に家へ帰ろうとしてましたよね、私。どうしてこうなったんですしょう?


 遡ること数時間前の事です。


「…よし、日が暮れるまでに帰りますよ!」

 そう意気込んで、私は家に帰ろうと歩き始めました。


───ドーンッ…バリーンッ……

「ウヘッ……たす…け……」


 この街は賑やかです。こういう裏路地は、特に賑やかです。何か色々聞こえますが、私の知ったことではありません。私は平穏に生きたいのです。


 魔女なんだから何とかしろって?無理です。私はとても魔法が苦手なのです。私のまともに使える魔法は、爆発の魔法など、他人を即死させる魔法くらいです。


「…ウッ…たす……」


 それでもいいですか?良くないですよね。私にとっても良くないです。だって、その爆発に私も巻き込まれちゃうんですから。私は痛いのは嫌いです。


 ……さて、そんな私を頼ろうなんてどういう腹積もりでしょう。さっきから、私の着ているローブが重いのですが。


 全然、前に進めまていません。それでも私は振り向きませんよ。私のモットーは『関わらない』ですからね。


「……たす…け…て。お願い…何でもするから…殺さ…ない…で…」

 私のローブを引っ張る重たい何かは、途切れ途切れに、私にやっと聞こえるほどの声で、訴えかけてきます。


 なぜ私が、初対面の方を殺すんですか…。私は、そんなに殺しとか好きそうに見えますか…?私、自分で言うのもなんですが、結構カワイイ系の女の子ですよ…。


 ま、私のモットーは『関わらない』です。私にはこの重たい何かさんを、助けてあげられるほどの力はありません。って心の中で、愚痴っても仕方ないですよね…。


 …にしても、全然、離してくれませんね。もう、これ拒否権なくないですか?


 私にこの何かさんを引き剥がす力はありません。魔法を使えば、この何かさんも私も、ついでにここいら一体の街もおさらばですし…。




「…はぁぁ」

 しばらく考えましたが、いい案が思いつきませんでした。自然と、私の口からは重たいため息がこぼれます。


 私は決意を固め、後ろの重たい何かさんを、振り向いて見ようとしましたが、重たい何かさんは私のローブの上に乗っかっているようで身動きが取れません。


 …仕方がないですね。このまま話しますか。


「え〜と、私のローブにくっついている方。あなたです、あなたに言っていますよ!私にあなたを助ける力はないと言っても、離してくれるわけないですよね。なので、妥協案です。さっき『何でもする』って言いましたね。その言葉に、責任は持てますか?私は嘘つきは嫌いですよ」


 私はその何かに背を向けたまま語りかけました。すると、少ししてからその何かがローブを少し引っ張りました。


「…やくそく…まも…る…」

 途切れ途切れに、か弱い声がしました。


「そうですか、では契約は交わされました。助けてあげます。その代わり、私に迷惑をかけないでください。これ以上のことは、御免蒙る(ごめんこうむる)ので…」


 私はいつもより、強気な口調でその何かに言いました。何かさんとは、後でじっくり話すことにしましょう。


「…ひとまず、離れてくれませんか? 動けません」

 すると、重たい何かさんはやっと私から離れてくれました。


 振り返ると、そこには、少年?がいました。私より背が小さいので、10歳くらいでしょうか。無造作に伸びた髪、それにボロボロの服や身体が気になります…。


 さて、この少年どうしたらいいんでしょうか。


 拾ったはいいものの、私はこういった時なんと声をかければいいのか、何をすればいいのか、何も分かりません。


 ですが、非道は好みませんから、拾ったからには、この子の面倒を見なくてはいけませんね。独りでも平穏に生きたかったのに…どうしてこうなったんでしょうか?






─────この時の私は、本当に軽い気持ちで彼を拾いました。ある程度面倒を見たら里親でも見つけて、その方にお任せしてしまおう、その程度の気持ちで。


 …私はこの時、もう少し考えて行動すべきだったのでしょう。

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