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いいか、お前ら...

前回のあらすじ



冒険家組合(ギルド)の受付にてもめごとが発生!?


奥から出てきたのは、冒険家組合長(ギルドマスター)!?


冒険家組合(ギルド)の奥の応接間、通称“説教部屋”へ連れていかれた彼らは果たして...。


惨憺(さんたん)たる光景がそこにはあった。


誰かが見ていないとどこかへ行ってしまうほど、いつも元気な赤い髪の少女、リュナの口からは、魂が抜けかけている。


言葉遣いや目つきは悪いが、冷静沈着、いつも落ち着いている黒髪の男、ソルクは珍しく頭を抱えている。


オドオドしていて自身のなさそうな灰色の髪の小さな少年、ハドはこれでもかというほどに縮こまって震えている。


常にニコニコ笑顔を絶やさず、顔もスタイルも良い、金髪優男、ウェン、


そして、クールビューティ、長身で深い青の髪の女、ヴィーデの二人も


額にしわを寄せ、汗をかいていた。



その前では、真の冒険家(ブレイブ)とはこうだ!と熱く語る、語りすぎる男、ブロワの姿。


数時間にも及ぶ熱弁に全く満足した様子はなく、まだまだ終わる気配はなさそうだ。



するとそこへ、


コンコンコン


とノックする音が。



「なんだ。今いいところなんだ。」



そうブロアが、ドアの向こうへ声をかけると、



「マスター、お時間です。辺境伯とのお約束です。」



「おおう、もうそんな時間か。いいか、お前ら。


冒険家(ブレイブ)としての自覚を忘れるな。


ああ、それと床の穴の修理代は、お前たちの報酬から引いておくからな。


では、あとは任せる、ケルヴィン。」



「はい、お気をつけて。」



ケルヴィンと呼ばれた先程の受付の男は、にこやかに応える。


ブロワが部屋から出ていくと、


部屋には、未だ先程の影響の残る冒険家(ブレイブ)の5人と、ケルヴィンが残った。



「さて、ここからは皆さんにひとつ、ご提案をさせていただきましょう。」



と切り出すケルヴィン。


その顔は、先程の笑みを崩してはいなかったが、目はにこりとも笑ってはいなかった。

 


「提案だぁ?」


 

ブロワの件がよほど堪えたのか、そう聞き返すソルクの言葉にもいつもの覇気はない。



「ええ。皆さんがこれからもっと強くなるために必要なことです。」


「先に言っておくんだけれど、ハドのことならお断りだよ。


仲間を捨てて、パーティだけ強くなろうとは思わない。」



間髪入れず、ウェンがそう言う。


ケルヴィンは少し驚いたような顔をし、



「本気ですか?正直、今のあなた方のパーティがDランクなどにとどまっているのは、彼がいるからですよ。」



ドンッ!!


応接間の机が揺れる。



「ハーちゃんを悪く言うやつは誰だろうとンンン...」


「ちょっと、リュナ、だめだよ。また叱られちゃう。」



ハドが、リュナを慌てて止める。


そこへ、ケルヴィンが冷たい視線を向けながら、



「当事者なのに随分と余裕があるんだねぇ。


君自身は一体どんなつもりでこのパーティにいるのかねぇ?」



先程のウェンたちに対する態度とは打って変わって、ねちねちとした口調で言う。



「ぼ、ぼくは」


「先程も、冒険家組合長(ギルドマスター)が自覚のお話をされてましたよねぇ。


君、何を自覚してるんです? 自分の実力、分かってます?


足引っ張ってるのわからないんですか? 


君がいつまで経ってもEランクだから、パーティが前にすすめないんでしょう。」



そう矢継ぎ早に脅すような口調で話すと、ハドの耳元に口を近づけ何かをボソッとつぶやく。



(遊びじゃねえんだ。やめちまえ。)



ハドは、その言葉にびくっと震える。



「おい、おっさん死にてぇのか。」



いつの間にか、ケルヴィンのそばに移動していた、ソルクが手を剣の束に添えていた。


ウェンは、優男に似合わない、鋭い眼光で睨みつけ、


リュナは、凄まじいオーラを放出し、


ヴィーデは、ハドに手を伸ばして抱きしめた。



「・・・。


おやおや、職員への乱暴は罰則ですよ。


あなた方もこれ以上は「黙れ」


「...!!」


「二度も...言わせないで...くれるかな...」



ウェンからは、怒りを押し殺した様な言葉が投げかけられ、


その覇気に、ケルヴィンは思わず後ずさる。



「わ、分かりました。い、以後気を付けましょう。


では、私のほうはこれで。」



と、ケルヴィンは慌てて応接間を出ていった。



「ハド。気にしないでくださいね。」



とヴィーデが慰める。



「ああ。あんな野郎の言うことなんざ、聞く必要は無ぇ。」



とソルク。



「ごめんね、いつもいつも...ぼくがしっかりしていないから。」



とハドが謝ると、



「ハーちゃん!!


ハーちゃんはハーちゃんのままでいいの!!」


「そうだよ、ハド。


君は大切な仲間なんだ。ひけめを感じる必要はないよ。」



とリュナとウェンが応える。


その時、応接間の扉が勢いよく開き、



「もうっ!!なにやってるのよーみんなー」



とピンク色の髪をしたお姉さんが入ってきた。



「おそかったじゃねーか、ロゼ」



とソルクが言うと、



「なぁにが、おそかったじゃねーか、よっ!!


ちょっと私がいない間に何やってるのよ!!」


「その様子じゃ、何があったか知っているようだね。」


「うん、だいたいわねー。


ていうか、ウェン! あなたがいながら、どうしてこんなことに?」



ロゼがそう尋ねると、



「ハーちゃんをいじめる奴は許さないの!!」



とリュナ。


ロゼは、その言葉ですべてを察したようで、



「そんなことをする悪い人にはお仕置きが必要ね。」



と怖い笑みを浮かべる。



「だめだよ、ロゼ。


あの人の言うことももっともなんだよ。


ぼくのランクが低いから、パーティのランクも上がらないんだ。」



ハドが、ロゼを諌める。


すると、ソルクはこう言う。



「気に食わねぇな。パーティのランクは、メンバーの冒険家ランクで決まるだなんてよォ。」


「ええ。そうね。パーティの挙げた成果で評価すべきだわ。」



とヴィーデも同意する。



実際、パーティの挙げた成果が評価されないわけではない。


むしろ、成果を重視して評価される。


が、パーティランクに関しては条件があり、


その条件とは、メンバー全員の冒険家ランクがパーティランクの一つ下()()でなければならない、というものだ。


ハドの冒険家ランクは、“E”。


つまり、パーティのランクはⅮより上には上がらないのだった。



「なに、心配はいらないさ。


そんな、条件なんて霞んで見えるくらいの成果を挙げればいいのさ。」



とウェンが言う。



「うんうん。そうね~。 わたしもがんばっちゃうんだから。」


「リュナもがんばるー!!」


「よし、じゃあこれからひと狩りいくか。」


「「「「「「おーーー!!」」」」」」






★☆★☆




「くそっ!」



ウェン達が去って、一人になったケルヴィンは、悪態をつく。



(まさか、あそこまで結束が強いとは...。


このままでは、いつまで経ってもあのパーティのランクは上がらない。


私も昇級できない。


何とかしなければ...。)



少しの間、思案していたケルヴィンはやがて何かを決意したようで、


足早に業務に戻っていった。





織華おるかといいます。


執筆経験はありません。


拙い文章、拙い構成をお許しください。




ご意見、ご感想など頂けると喜びます。


よろしくお願い致します。

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