第31話 最後の追放会議
午後から特別棟の二階にあるディスカッション・ルームに移動して円になって座ったが、この時点で最後の投票になると思っている人はゼロのはずである。
僕が鎌田真澄の転生者であることや『村長』の役職を引いたことは打ち明けずに、いざという時の切り札として残しておこうと考えた。
なぜなら、これから行う三つの質問で真犯人を炙り出すことが可能だからである。
「事件に関して全員に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
開口一番、僕が喋り出したものだから全員が驚いた顔をしている。議長の武藤さんも戸惑っている様子だ。
「これからする僕の質問に答えてもらいたい」
そこで諸星くんの立ち居振る舞いを真似て、僕も円の中心に立つことにした。つまり探偵になると腹を括ったわけである。
「最初に皆さんのスマホを見せてもらえますか?」
全員が取り出してくれた。
「僕は鎌田くんと同じOSなんですが、同じ端末を使用している人は手を上げてください」
すると近江谷くん、小石川くん、多田さん、西村さん、蓮見さん、本庄さん、諸星くんの七人が手を上げるのだった。
「それでは全員に質問します。この中で事件後、スマホを買い替えた人はいますか?」
すると愛川さん、近江谷くん、瀬能くん、宍戸さん、西村さん、武藤さん、諸星くんの七人が手を上げるのだった。
「こんなにいるの?」
僕の反応に対して、諸星くんが答える。
「学校で盗難事件があったことを話したら、親が買い替えたんだ」
「古い機種だったから僕も買い替えてもらった」
近江谷くんが同意した。
「質問の意図が解らないな」
瀬能くんの言葉は無視することにした。
「買い替えた人の中でOSを変更した人はいますか?」
それには誰も手を上げなかった。
「ありがとうございました」
すべてのヒントが出尽くした。
「今の三つの質問で犯人を見つけることができました」
ここから先は、いわゆる解答編だ。
※本当は「OS」ではなく「○ndroid」や「○Phone」と書きたかったのですが、企業イメージを毀損する恐れがあるため自主規制しました。