第44話 決戦 後編
「…うーん…名前は?」
「「何でそんな事聞くんだよ、散々呼んでたから敵にもバレてるだろ、もっとあるだろうがよぉ、質問が。」」
「…あ、だよね、じゃあ…趣味…は?」
「「…言ったところで…分かるのか?」」
「…………ええと、えーっと…。」
…しかし、契約の事も言っていたから、多分、偽物の方も、記憶は持っているだろうしな…。
絶対に本人が分かる質問はあるんだろうけど…。
…一体、何を聞けばいいんだろうか…。
…そうだ、元依頼主は、今は攻撃を仕掛けてこないんじゃないか?
今、攻撃を仕掛けてきたら、偽物がバレてしまうだろうし…。
血を何とかするなら、今なのではないだろうか。
…しかし、何とかすると言っても、どうしようか…。
取り敢えず、リプラに頼めば、前の、変装のための服を出してくれはするだろうけど…。
…まあ、上は、すぐに脱いで、すぐに着れば…最悪、着なくてもいいかもしれないけれど、下はそうは行かないからな…。
…それをする勇気は、流石にない。
…いや、待てよ…。
俺は、服に返り血が付いていて、そのせいで上手く行動することが出来ないという事をリプラに目で合図をした。
「…!」
リプラは、それに気づいた様子だった。
…俺は、『ピュアー』に賭けている。
リプラが使う事が出来る魔法の、『ピュアー』は、アンデッドを退ける他に、汚れを落とす力もあったから、もしかしたら、スライムも落とせるのではないかと思ったのだ。
リプラはすぐに状況を、察すると、俺に『ピュアー』を使ったようだった。
…見た目はあまり変わってないな…やっぱり、アンデッドを退ける魔法では、スライムには効果がないってことか…?
…いや、でもちょっと…何となく気分が良くなった気はする。
…リプラの方を見ると、問題ない、というような顔をしていた。
それならまあ、問題ないのか…?と、俺は、本物のイーネさんを見分ける続きをしようとしたが、その前に周りを確認した。
…流石に、別れていた元依頼主の本体は、居なかった。
…元のスライムと合体したのだろうか。
今、二人のイーネさんが目の前にいて、その後ろに、本体であるスライムも居る…。
もしかしたら、目の前にいるイーネさんの本物じゃない方が、本体である可能性もあるが…それにしても、本物のイーネさんを見分けるよりも先に、本体だろうがどうだろうが、後ろのスライムを先に倒しておいた方がいいんじゃないのか…?
俺には、そんな考えが浮かんだ。
…いや、しかし、さっきのように、二人以上に増えられたら、また面倒な事になってしまう。
…それにまた、返り血を浴びたらまずいし…。
だから、まずイーネさんを見分けて、その後素早く『エレクトリック』を撃てばいい、うん、そうだ…。
俺は、そう思い、イーネさんの方に近づいた。
「………………ああ、それなら…これは…。」
「「…いや、それは…。」」
「えっと、なら…。」
「「いや、それも…。」」
…俺がリプラに目で合図をしている間も、皆が、イーネさんに様々な質問をしていたようだった。
「…うーん、だめなようね…。
…さっきから、一個もまともな回答がないのに、全て一致しているわ…。」
リムさんは、嘆くようにそう呟いていた。
確かに、イーネさんは、質問に答えようとせずに、それじゃ偽物は分からないだろ、といった回答しかしていない。
…それでも同じ事を言えるってことは、偽物も、かなり見分けるのが難しくなっているんじゃないか…?
「…もしかしたら、本物はいないんじゃないかしら?」
「…本物は、いない…?」
「…ええ、二人出てきたけれども、よく考えてみたら、どちらかが本物だとも限らないわ。
…実は二人とも偽物という事も有り得るわ。」
「…なるほど…確かに、それも一理あるな…。」
俺達が、そういった会話をしていると、二人のイーネさんは、眉をひそめていた。
…この反応は、どちらかが本物という事なのか…?
いや、でも、偽物でもバレそうになったら、そういった反応はみせるよな…。
「…という事で、ちょっと攻撃してみてもいいかしら?」
「…ちょ、ちょっとリムさん!?」
俺がそう考えていると、リムさんが突然クナイをかまえたので、俺は、全力で止めた。しかし、リムさんは全くやめる気が無い様子だった。
「「…あーあぁ…そうか、そうだよな、悪かったよ、私が本物だ、ほら…ああそうだ、情報をやるよ情報。
…君や勇者様に打ち込まれているウイルスについて。」」
二人のイーネさんは、そう言った後お互いを見て、何でそんなことまで知ってんだよ…と、呟いていた。
「「まあとにかく、情報をやるから、それは勘弁してくれないか?」」
「…なるほど、分かったわ。
…イーネさんは、今、情報をやると言っておいて、後でどっちも偽物という事にしておくつもりなのね。」
「えっ?」
「どちらかが本物でも、偽物が分かった瞬間、自分も偽物と言ったり…とにかく、うやむやにする事はいくらでも出来るわ。」
「…ぎくっ。」
リムさんの言葉に、片方のイーネさんが反応していた。
「…!」
「「やべっ。」」
「今反応したのは、右側のイーネさんね…。」
「という事は…本物は…右?」
「「いやあ、まだ、左の可能性も、あるよー?」」
…本物のイーネさんも誤魔化すような態度をとっていたが、とにかく、どちらかが本物である事は確定のようだった。
…今は本物のイーネさんも、さっき言った事をうやむやにするつもりのようだから、こんな面倒な事になっているのだろう。
「…いえ、本物は、確実に右側よ。
何故なら、まず、偽物も、記憶はもっているかもしれないけれど、完全な心情までは分からないわ。
おそらく、さっきのイーネさんの反応は、そういった心情から出た言葉…じゃないかしら?」
「「いやあ、心情だなんてそんな…。」」
「本物もそう言っているって事は間違いないわね。」
「「………。」」
リムさんは、イーネさんが黙り始めると、サッとクナイをかまえ、左側にいるイーネさんに向かって投げた。
「…………チッ、バレちゃ仕方がない…。」
すると、左側のイーネさんは飛んで行ったクナイを掴み、そう言うと、高速移動を始めた。
「…やっぱり、そっちが偽物だったのね…。」
「ああそうだ、しかし…自分の思惑がバレたくらいで声を出すとは…予想外だったな…。」
元依頼主は、イーネさんの方を見ながら、そう呟いていた。
「…何だよ、いいじゃねーか別に。
…あっ………作戦だよ、こういった反射的な動きは、真似できないとおもったのさ…。」
イーネさんは、目を泳がせながら、元依頼主の方に指をさしていた。
「…うやむやにするつもりだったくせに…。」
リムさんは、ボソッと悪態をついていた。
「よし、じゃあ作戦を続けるぞ!
…ほら、勇者様。」
イーネさんは、それを完全に無視し、俺に魔力を送ってきた。
…そういえば、元依頼主は、擬態した人の使える魔法を使うことはできるのだろうか。
…それなら、バイトさんが高速移動を使える事になってしまうから、違うか…?
いや、別に使える事にはならないか…元依頼主が元々使える魔法だと考えれば、バイトさんが使えなくとも矛盾はないよな…。
…でも、もしイーネさんの、魔力を奪う魔法を使えるのであれば、今使うはずだよな。
こっそりと奪う事も出来るはずだから、使われている可能性もあるが…しかし、今魔力が減っているような感覚はない。
…使えないと考えてもいいのか…?
…いや、まずは様子を見よう。
そう考えた俺は、元依頼主の動きを見た。
…やる事は、さっきと変わらない。
…作戦を実行するだけだ…が…。
イーネさんが魔力を奪えるという事を知った今、魔力を奪う魔法を使わせてもらえるはずないだろう。
…さっきのように、イーネさんを狙われないようにしなくてはならない。
「…。」
元依頼主は、やはりイーネさんの方へ、素早く移動していた。
「『エレクトリック』!」
「『イグニション』っ…!」
俺は、イーネさんを狙う元依頼主の手前を狙って、『エレクトリック』を撃った。
イーネさんも、それと同時に、『イグニション』を元依頼主に放っていた。
「…チッ。」
元依頼主は、俺達の攻撃をサッとかわした。
すると、その間に俺以外の全員がイーネさんを庇うように周りに立っていた。
…まあ、そうだな、本物のイーネさんを、もう見失う訳にはいかない。
…イーネさんは、不満げな顔をしていたが、リムさんは、気にする事なく行くわよ、と戦闘態勢をとっていた。
俺は…時間稼ぎ…だな。
…そう思った所で、ふと、元依頼主が少し前に言っていた事を思い出した。
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「…フッ、最終的に勇者サンに渡すとはいえ、一旦、膨大な魔力を受け取るから、苦しくはあるだろうな…。
…勇者サンが倒した方が、手っ取り早いよ?」
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「…。」
…しかし、今の俺では、元依頼主に、攻撃をする事は不可能だ。
…でも、このまま作戦通りに行っても…大丈夫なのか?
いや、イーネさん本人は、作戦を続けろ、といった顔をしていた…それなら、大丈夫なのではないか…?
…。
「勇者さん?」
俺に迷いが生じた事を察したのか、リムさんこちらを見ていた。
「…ああ、うん、大丈夫…。」
「…そう?…じゃあ、行くわよ。」
「…う、うん…。」
俺は、ずっと考えながら、『スタン』や、『エレクトリック』で時間稼ぎをしていた。
…。
…本当は、分かっている。
さっき、元依頼主を斬る事が出来たのは、AI化病の影響だと。
そして、今も、迷いを捨てて、覚悟をきめて、考えようとすれば、さっきと同じ事が…出来るような気がする…と。
…そうしたら、イーネさんは苦しまなくてもすむし、問題ない。
…でも、今、迷っているのは…やっぱり…。
…まあ、おそらく、AI化病を治すことは…良くて難しくなる、悪くて出来ない…そんな所だろうか。
…いや、でもさっきは痛みで戻っていたよな…。
それなら…。
「リプラ…。」
俺は、リプラに、目で合図をした。
「…!」
リプラは、俺と目が合うと、不安そうな顔をしていた。
「…。」
俺は、その様子を見た後、リプラに笑顔を見せ、そして深呼吸をして…剣をかまえた。
…何だか、落ち着いてきた気がする。
…喜んでいい落ち着きではないが。
…また、頭に何かが飛び交うような、そんな感覚になってきた。
………。
俺は、まず、元依頼主に向かって剣を振った。
元依頼主は、軽く避けていたが、それも想定内だ。
…次に俺は、剣に向かって『エレクトリック』を放ち、その後すぐにもう一度『エレクトリック』を元依頼主に放った。
…『エレクトリック』は剣を通じて、元依頼主の方へ飛んで行った。
「…っ!?」
元依頼主は、ギリギリの所で攻撃をかわしていた様子だったが、俺は気にすることなく、元依頼主が次の行動に出る前に、素早く近づき、もう一度剣を振った。
「…っ!」
イーネさんに擬態していた元依頼主は、避けきれなかったようで、斬る事が出来た。
…俺は、さっきのようにならないよう、斬った後も止まらずに、走り抜けた。
…皆、その様子を驚いたような顔で、ただ眺めていたが、イーネさんだけは、複雑そうな顔をしていた。
しかし、俺は気にすることなく、今度は本体の方を狙いに行った。
「…また、それか…。
…しかしそれならこちらも、同じ事をするだけだ…。」
すると、元依頼主はまた複数に別れ始めた。
…さっきは、この状況になって、イーネさんが狙われて、ダメだったんだよな…。
今は、全員がイーネさんを守っているから、大丈夫…ではないな。
…そうだ、さっきは、イーネさんが魔力を奪う魔法を持っているから、行動を取られないようにするために、イーネさんを狙ったんだよな…。
…しかし今は、イーネさんは全員が守っている。
そして、元依頼主は、今は本体を狙っている俺の方が、先に倒さなくてはならない、と思うのではだろうか。
…俺がそう思っていると、元依頼主は、こちらに攻撃を仕掛けてきた。
…やはりそうか…それなら…。
…俺は、即座に、増えた元依頼主を全て切り刻んだ。
しかし、もちろん切り刻んだ死体は消えていなかった。
…やはり、さっきと同じ事を…。
…いや、これは…さっきと同じ事ではない。
…元依頼主の様子が、さっきとは少し違うような気がする。
俺は、取り敢えず、『エレクトリック』を死体に放った後、その場から距離を置いて、そこに留まった。
…しかし、元依頼主が全く動こうとしなかったという事と、本体と見られる個体がどこにも見当たらないのが少し気になるな。
流石に、これで倒れているなんて事はないだろうし…。
「…ははは、まさか、勇者サンが高速移動を使えたなんてね。」
俺が、身構えていると、どこからか、そんな声が聞こえた。
…高速移動?
…まさか、今、元依頼主が動いていないと感じていたのは…高速移動を使ったから?
…でも、高速移動に関しては、誰にも教えて貰っていない。
習得しようと思ったことも無い。
リムさんや、元依頼主の高速移動は見ていたが…まさか、そのおかげで出来るようになったなんて事…あるはずない、よな?
…しかし、今はそれよりも、この声が、どこからしているのかの方が問題だ。
さっきの声は、元依頼主の本体である可能性が高いと予想している。
本体は一体どこにいるのだろうか。
と、周りを確認したが、やはり、元依頼主の本体らしき者はどこにも見当たらなかった。
…いや、待てよ、死体が消えている…。
まさか、死体のふりをしてやり過ごしていたのか…?
そして、俺が『エレクトリック』を放った瞬間、高速移動でどこかに身を隠した…とか…?
…声が聞こえるということは、この辺りに居ることは間違いないのだが…。
「…ツイト様、上です!」
そう思っていると、リプラの声が聞こえた。
「…!」
俺はその声の通り上を見てみると、天井にはスライム…おそらく、元依頼主の本体がいた。
「…チッ、バレちゃ仕方ないな。」
元依頼主は、そう言うと、天井から降り、地面につくとバイトさんの姿になった。
「…俺をここまで追い詰めるとはね…。
それなら、仕方ない、これは、できるだけ使いたくなかったが…。」
元依頼主は、リモコンを取り出し、何やら操作をしていた。
…すると、地面が揺れ始め、規則的な音が聞こえ始めた。
…これは…また爆弾か?
…しかし、今の状況で使ったら、元依頼主も巻き込まれてしまうだろう。
…逃げる方法があるのか、できるだけ使いたくなかったと言っていた所から、死なばもろともという作戦なのか…とにかく、どちらかは分からないが、爆弾だとしたら、探し出して止めなくてはならないだろう。
「………これはな、俺が死ぬか、俺の魔力がゼロになった瞬間、起爆するようになっている爆弾を起動させるリモコンだ…。
…これで、勇者サンに俺は殺せないよ…。」
…なるほど、それならやはり、爆弾を何とかしなくてはならない…という事か。
…見つけられるのだろうか。
「…なぁ。」
そんな事を考えていると、イーネさんが、元依頼主に話しかけていた。
「…なんだ…?」
「私が持っていったのが、ここのリモコンだけだと思ったか…?」
イーネさんは、懐から、小型の爆弾のようなものを取り出していた。
「…!?まさか、それは…。」
「…爆弾だよー。
これだけじゃなくて、一応持ってこれるもの全部持ってきたんだけどねー。」
イーネさんは、さらに爆弾らしきものを懐から大量に出していた。
「…では、解除しておきますね。」
リプラは、出された爆弾を楽々と解除して行ったが、一つだけ、苦戦しているものがあったようだった。
「……。」
もしかして、あれが、元依頼主が今起爆させようとしている爆弾だろうか。
「…まさか、爆弾がここにあるとは思わなかったが…。
その爆弾は、簡単には解除できないようになっているぞ。」
「…そのようです。かなり、複雑な仕組みになっています。」
「…なるほど…それなら、セクタ君ー。」
「『ウォーター』!」
「…無駄だ。…水では壊れないようになっているからな…。」
イーネさんは、セクタに、爆弾を水没させてもらい、壊そうとしていた様子だったが、どうやら、爆弾は防水だったようで、水は効果がなかったようだった。
…爆弾がここにあるなら…何かいい解決方法はないだろうか…。
…水没がダメなら、火…はもちろんだめだけれど…。
爆弾を分解して、防水出来ないところに浸水させるとか…?
…いや、分解する過程で、何か障害にぶつかる可能性は高いな…リプラも、おそらくそれは分かっていて、セキュリティを突破しようとしているのだろう。
…いや、待てよ、もしかしたら、今の俺なら、セキュリティの事が分かったりしないだろうか…?
と、俺は、リプラの方へ向かおうとした。
「…っ!」
しかし、その瞬間、高速移動で元依頼主がこちらに来て、攻撃を仕掛けてきた。
…俺に行動されると、困るのだろうか。
いや、でもこれならリプラがセキュリティを突破するまでの時間稼ぎにはなるよな…。
…リプラの様子を見る限り、絶対に解除不可能な爆弾という訳では無いのだろう。
…少し時間がかかったとしても、待つのも悪い手では無いような気がする。
「…くっ…。」
…元依頼主も、それは分かっている様子だった。
そして、俺達というよりも、周りの様子に少し意識が行っている様な気がした。
それなら、元依頼主も今、時間稼ぎのような事をしているという事なのだろうか?
…そうだとしたら…何の…?
…と、俺は耳をすまし、元依頼主と同じように周りの様子を確認してみた。
「…?」
…どこからか、音が聞こえてくる様な気がしたが、その音は、こちらには来ず、この池の周りをウロウロとした後、離れていった様子だった。
…元依頼主は、その様子が分かると顔色を変えた。
…何か気づいたようだが…。
「ツイト様!…暗号を解き終わりましたよ。」
「…。」
俺は、リプラのその声を聞くと、時間稼ぎをやめ、取り敢えず、元依頼主を倒してしまおうと思いながら、斬りかかった。
が、元依頼主を斬る前に、魔王様が完全に倒されなければ…とだけ言い残し、その場に倒れてしまった。
「…私が、魔力をゼロにしておいたぞー。
…って、おい、ちょっとー?」
…俺の頭には、元依頼主は、ここでトドメを刺しておいた方がいいのでは無いかという考えが思い浮かんだ。
…確かにそうだ、今の俺はそれをしても、何も問題ないはずだ。
…ここで終わらせなければ、また同じ事が起こるかもしれない。
…?
「…ツイト様…!」
「…ツイトさん…。」
しかし、リプラとカラリが俺の腕を押さえ、それを止めていた。
…どうして止めるんだ?
…リプラは最初、俺が元依頼主を倒す事を望んでいた筈だし、カラリは、今まで、元依頼主を含む、この集団のせいで、大変な思いをしてきた訳だし…。
「…“ツイト様”が元依頼主を倒さなくては、意味が無いのです…。」
「…今のツイトさんは…何だか、ふ、普通じゃないです…!
…上手く言葉には出来ませんが…何だか、よ、良くない感じがします!」
「…。」
…しかし、二人の言葉を聞いても、全く心は変わらなかった。
…焦りを全く感じなかった。
「…ちょっと、大丈夫なの…?」
「………勇者…。」
「…。」
…おそらく、大丈夫では無いのだろうが…。
…何だか、他人事のような気持ちだ。
「…。」
「…ツイト様、取り敢えず、このまま外へ出ましょう。
…自警団の方々も待っているはずです。」
「そうですね…ツイトさん!」
…リプラとカラリは、そう言って、俺を元依頼主から距離を取らせようとしていたように見えた。
…俺は、少しもやもやとした気持ちを抱いたが、リプラの言葉に従う事にしたのだった。
今回も読んでくださりありがとうございます。
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