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第4話 仕事

そして俺は地図アプリの示す通り道を進み仕事を受けられるらしい場所へたどり着いた。


「うーむ…。」


俺は迷わずその建物の中に入って一体どんなシステムなのか確認してみた。


…ふむふむ、なるほど。

どうやら掲示板に仕事内容的な依頼的なものが貼ってあり、その紙を剥がして窓口に持っていくタイプのようだ。

依頼かぁ、簡単なものがないかなぁ、なんて少し貼ってある紙を眺めてみた。


『料理のアイディア募集中』

『キャラクターのアイディア募集中』

『アンドロイドの管理人募集(まかない付き)』

『アンドロイドを充電する人募集』


…なるほど。アイディアを出す仕事や、アンドロイドの管理の仕事が多いようだ。


「この『アンドロイドの管理人募集中(まかない付き)』っていう仕事よさそうだけど、さすがに断りなしに勝手な行動を取るわけには行かないから、1度、リプラに相談してみるか。」


俺は窓口に行って仕事をキープできるか聞いてみた。

…すぐ戻ってきてくれるなら少しの間は大丈夫らしい。

俺は急いでリプラの元へ行き、仕事をやっても大丈夫か相談した。

結果は、問題なかった。

リプラは即座に通信をして仕事の難易度、安全性、時間、報酬などの情報を調べ、大丈夫だと判断したようだ。

そして俺はその仕事を受けに戻ってきた。


「じゃあ、その仕事を受けに来ました。」


窓口でそう言うと、受付の人は、「スマートフォンを見せてください。」と笑顔で、俺がスマートフォンを出すのを待っていた。

スマートフォン?と思いつつも、俺は、受付の人に、ロックを解除してスマホを見せた。


「なるほど、分かりました。では、地図をお送りしておきます。」


受付の人はそう言ってスマホを返してくれた。

俺は、すぐ地図アプリを見てみた。

ここを示していたはずの矢印は、今度は別の場所を示していた。


「ありがとうございます。」


俺は受付の人にそう言って、この場所を後にした。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ここかなぁ?」


そして俺は、目的の場所までやってきた。

そこには、工場のような建物があった。


「あれ、もしかして君、僕の仕事の依頼を受けてくれた人かい?」


すると俺より割と年上に見える人が、

工場の入り口からでてきて、そういった。


「あっ、はい、そうです。」


「助かるよ。今の時代、あそこに貼ってある仕事を受けてくれる人はなかなかいないからね。もっと稼げる仕事もあるし、もっと簡単な仕事もあるからね。」


そう言われてみれば、確かに、アンドロイドの管理は、アイディアを出すよりは、危険性が高いように感じる。

…しかし、俺はまかないに釣られた。

宿屋の食事は、注文制だということがわかったので、俺は宿屋で食事を頼まずにこっちへ来た。

もしもお金をリプラが出しているのなら、なんだかものすごく申し訳ないからだ。

ちなみに宿屋の食事は粒子がどうのこうの、遺伝子がどうのこうの、組み合わせがどうのこうので一瞬で完成するらしい。すごいなぁ。


ここに来る前に少し見せてもらったが、機械を冷やすために、機械が置いてある周りだけ、サイバー的な雰囲気だった。

そんな風にするのだったら、もういっそ全部近未来的な造りにすればいいのでは?

と、思ったのだが、どうやらこの世界でも、希少な金属などは希少だったようで…。

まあ、たまに元の世界では見たことがなかったような金属や、元の世界では希少だった金属が結構、たくさんあったりすることはあったらしいが。

全部家の材料にするのは資源の無駄らしい。

だから、家などは、最低限日光が防げ、断熱・保温、湿度調整、肌触り、単純な見栄えなど、色々総合して、ネクステ村の家は木でできていることが多いらしい。

そういえば、セーフティーシティはレンガが多かったが、それもまた何か理由があるのだろうか。


まぁ、話がだいぶズレたが、とにかく俺はまかないに釣られた訳だ。

そんなに意味はないのかもしれないが、少しでも負担は減らしておいた方がいいかな、と思ったので、この依頼にしたのである。

もちろんアンドロイドの管理という仕事がどんな仕事なのか気になったというのもあるが。


「では、よろしくお願いします。

あ、俺は…槌翔です。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。

僕は、ウォールっていいます。

よろしくお願いしますね。」


そんな会話を交わしたあと、俺たちは工場の中に入っていったのであった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「………『スタン』。」


「…一定レベル以上の電圧を察知しました。

機能を停止します。」


「よし、今のうち、今のうち。」


そして、俺は早速仕事を始めていた。

アンドロイドの管理と言っても、仕事は割と簡単ではあった。

正しい持ち場から離れたアンドロイドの動きを止めて、正しい場所に戻すという作業の繰り返しだった。


「あっ、あっちもだ。…『スタン』。」


見て分かる通り、俺は、工事の方に魔法を教わった。

『スタン』…これは電気的な力で相手の動きを一定時間止めることができる魔法である。

持ち場を離れたアンドロイドをこの魔法で止め、泊まっている間に元の場所へ戻す。

まあ、そう使うために教えられた魔法である。


魔法の習得は、意外と簡単だった。

魔法が発動するイメージを頭に思い浮かべて使えるようになるまで発動し続ける、ただそれだけだった。

あとは魔力次第だそうだ。


まあ、電気的な力で相手の動きを止めると言うのは、結構わかりやすいイメージだったのと、スタンは簡単な部類に入る魔法らしいので、すぐ取得出来た。


ウォールさんは、「君の魔力量だったら、魔力が切れることはないよ。」と言っていたが、俺の魔力量は回復することがないので、もしも、自然回復量とかそういったものを計算に入れられているのなら、俺は終わる。


…しかしまあ、人によって魔力の回復量が、通常よりも遅かったりする人もいるだろうし、さすがにウォールさんも俺の魔力の回復量を決めつけて考えたりはしてないだろう。

そのあたりは大丈夫だと思うしかない。


…とか考えてる間にも…。


「『スタン』…!えーと、このアンドロイドの正しい位置は…。」


俺は余計なことは考えず、ひたすらアンドロイドの動きを止め、もとの場所に戻し続けた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「あー、まかないうめぇ…。」


そして俺は休憩時間にまかないを貰って食べていた。

まかないの内容は、パンと、干し肉と葉野菜が多く見える野菜スープだった。


仕事時間にしては結構豪華なまかないだと思った。


「…んっ?この野菜はなんだろうか。」


小松菜のような、ほうれん草のような、その野菜を一口食べると、途端に元気が湧いてきた。


「な、何だこれは!?」


念のためステータスを確認してみると、なんと魔力が回復していた。

…いや、元々ないんだから、回復という言い方は厳密に言えば正しくないのかもしれないが。


「…!?」


思わずたまたま近くにいたウォールさんを見た。


「真面目に働いてくれるので、それはおまけです。」


「…!」


その言葉に、思わず目に涙がにじむ。

なんだろうか、こう…何かあったかい気持ちを感じる…。

一言で表すならば、それは優しさだろう。


なんと言っていいのか分からないが、これは当たり前のことではない。

これはウォールさんの、気持ち…。


だから、涙がにじんだのだ。

…と、思う。


…なんか、いいな…こういうの。


「ありがとうございます。午後も頑張れそうです!」


「それはよかった。僕も、料理を作った甲斐があるよ。」


ウォールさんは少し寂しげな表情を浮かべていた。


「…作った?」


「そう、作った。」


俺は少し意外だと思った。

いやまあ、料理を作ったという事は、特別おかしい事では無いが、この世界には、自分で作らなくても、自動的に料理を作ってくれる機械があるのに、自分の手で作る意味はあるのだろうか。


「ふふ、意外かな?こんな時代に料理なんてさ、バカバカしいと思ったかい?

それとも、手作りだからこその何かを感じることはできたかい?」


ウォールさんはそう言った。

うーん、ぶっちゃけ機械の方の料理の味を知らないからなんとも言えないんだけど、なんだろうなぁ、手作りだからこその何か、

かぁ…。

わからないけど、食べれば違いがわかる、そうであってほしいと思うのは確かだ。


「分かりませんけど…でも、手作りは愛情がこもっているはずです。

だから、絶対に違いはあると思います。

きっと、この時代でも意味はあると思います。」


俺は自分が思った気持ちを、ウォールさんに正直に言った。


「…そうか。」


ウォールさんは、少し嬉しそうな顔をしていた。


「…じゃあ、午後からもお仕事、一緒に頑張ろうか。」


「あっ、は、はい…。」


ウォールさんはそう言って居なくなった。

…手作りの意味か。

俺は、『kantsumire』を開いて、はじめてのつぶやきをすることにした。

相変わらず、自分宛のメッセージが魔王軍によって炎上させられていたが、俺はそんなのお構いなく、文章を打ってつぶやいた。


『皆さん、料理を手作りすることってどう思います?』


…反応は様々だった。

『意味があることだと思いたい』という反応や、『危険な細菌が混ざってるかもしれないから無理』など。

…しかし、意味がないと思うとはっきりいう人は結構いたのに、はっきりと、絶対に意味はある。といった人は少なかった。

俺は、それはちょっと悲しいなと思った。


「…なるほどなぁ…うん?」


ふと自分宛の炎上しているメッセージを見てみると、明らかに魔王軍ではなく、人間だよなというアイコンからのメッセージを見かけた。


「『あの時のことは絶対に忘れねぇ』?

『絶対に仲間を連れて復讐してやる』?

なんか物騒な文面だな。」


俺はそれが誰なのか、プロフィールを確認してみた。


…どうやら、あの時カラリに絡んでいた、柄の悪い男のうちの1人のようだった。


…待て、仲間を連れて復讐してやるって…。

…もしかして、あのリーダーよりも圧倒的に強いのが?


「……嘘だろ。」


こうして俺は魔王軍以外に、柄の悪い男の集団を敵に回してしまったのであった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…『スタン』!」


そして俺は午後からも仕事をやり続けた。

魔王軍以外に、人間の敵を作ってしまったことを必死に忘れるため、午前中よりも、反応が、素早くなっていっていた。


「で、元の場所に戻すと…。」


というか、ここのアンドロイド、違う場所に行き過ぎじゃない?

本当にたまにだけど、リプラと比べるとなんていうか…。


「不思議だなぁ…。」


俺は思わずそう口に出していた。


「そうですよね、でも、この工場はあんまりお金がなくて、最新のアンドロイドは雇えないので…。」


「うわぁ!?」


いつの間にかウォールさんが隣にいて、俺にそう話しかけてきた。


「…そ、そうだったんですか。なるほど…。

でも、音もなく隣にいるのはやめてくれませんか?」


「ああ、ごめんごめん。つい昔の仕事の癖でね。」


ウォールさんはそういった。えっ、ウォールさんの昔の仕事って…。

…考えないようにしておこう。

また、敵を増やすわけにはいかない。


「…邪魔したね。じゃあ、今度は仕事が終わった時に。」


ウォールさんはそう言ってすっといなくなった。


「…。」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


…そして、俺は何やかんや仕事を終えた。


「ありがとう。じゃあ、報酬は、依頼を受けた場所に送っておいたからね。」


「はい、ありがとうございました、ウォールさん。」


俺はウォールさんにお礼を言って、元の仕事を受けた場所に戻った。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「はい、確認しました。では、こちらから、お金を受け取ってください。」


仕事を受けた場所に戻り、受付の人に話しかけ、少しの間待つと受付の人はそういってスマートフォンを差し出してきた。


「…?」


「財布アプリを開いてください。」


しばらく佇んでいると、受付の人は俺にそう言いながら、スマホを示した。


…財布アプリ…あ、あった。


俺はアプリを探し、開いてみた。


「受信というボタンを押してください。」


「はい…受信…。」


「スマートフォンをこちらに出してください。」


受付の人の言う通りの作業をすると、受付の人もスマホ取り出して、俺のスマホに重ねた。

…するとティロンという音がしたと思ったら、スマホにお金が入っていた。


「おお、すげえー!」


「ありがとうございました。

また、何かあったらお越しください。」


「はーい。」


こうして俺は初めての仕事を終え、宿屋に戻ってきた。


「ただいまー。」


「おかえりなさいませ、ツイト様。」


「お帰り!ツイトさん!」


宿屋に戻ると、リプラとカラリが迎えてくれた。


「まぁ、無事終わったよ。」


「それは…安心しました。

それにしても、なぜ急に働きたいと思ったのですか?ツイト様。」


リプラは不思議そうにそう言った。


「あっ…それは…その、宿屋の費用とか、リプラが出していたら申し訳ないから、少しでも働こうかと…。」


リプラはそれを聞くと、ニコッと笑った。


「それなら心配いりませんよ。

この、宿屋などに泊まるためのお金などは、ツイト様がこの世界に来る前から貯めておいたお金ですし、更に、今も、この世界の

みなさんが、『勇者様』に払いたいと思った額を常に受け取っておりますから。」


「えっ!?つまりこのお金は、この世界の人達が俺のために払ってくれたものって事!?」


「はい、そうですね。」


「…な、何だか、申し訳ないような…。」


「大丈夫です、皆さん、ツイト様が魔王を倒す事を期待しているので、応援して下さっているのですよ。」


「…。」


…絶対魔王を倒せよ、という声が聞こえるような気がする。


「…ちなみに、もしそのお金をあまり使わずに、魔王を倒す事が出来たら、残ったお金はどうなるの?」


「そうですね…魔王に襲撃された村や町の再建に使われると思います。」


…俺はこれからも働き続けよう。

絶対に働き続けよう、贅沢はしないようにする。

と、俺は心の中でそう決めた。


「…今の時間ですと…もうすぐ夜ご飯ですね。

…食べましょうか、ツイト様。」


俺が密かにそう決意をしていると、リプラがそう言いながら、こちらを見ていた。


「…夜ご飯か…。」


俺はその言葉で、ウォールさんが言っていた事を思い出した。


『ふふ、意外かな?こんな時代に料理なんてさ。

バカバカしいと思ったかい?

それとも、手作りだからこその何かを感じることはできたかい?』


…これから、それが分かるかもしれないのだ。

…粒子がなんちゃらで作られた料理を、これから、食べる…から…。


「ツイトさん!早く行きましょう!

仕事の後は、食事が1番ですよっ!

食べましょう!」


カラリは笑顔でそう言って、俺を宿屋の中に入れようとした。

…仕事の後は食事とか、よく分かってますね、カラリサン。

まるで、働いた経験があるようですね。

俺はそんなことを思いながら宿屋に入った。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「えっと、じゃあ、この…『ハイブリッドオムライス』と、『レボリューションベジタブルスープ』で…。」


俺は、無難にオムライスと、ウォールさんとの比較のために野菜スープを頼んだ。


「じゃあ、私は…『ハイパー・ディメンション和風定食』で。」


…さっきからずっと思っていたが、カラリの注文で確信に変わった。

…何だ、この宿の料理のネーミングセンスは…。

…何がハイブリッドなんだ…何がレボリューションなんだ…何がディメンションなんだ…。

意味がわからねえ。


…まあ、名前は関係ない。

…味だ味。


俺はそう言い聞かせて、料理が届くのを待った。


…ハイブリッド、レボリューション、ディメンション…。

それなら、見た目は多分、何かが組み合わせられていたり、何かしらに革命が起きていたり、次元が違うような料理なんだろうな…。


そんな事を考えていた。


…いい香りがする。料理が出来たようだ。

…いったい、どんな見た目なんだ…。


ついに、料理が目の前に置かれた…見た目は…普通だった。

ハイブリッド感もなし、レボリューション感もなし、ディメンション感もなしだった。


「…こんなに普通でいいのか…?」


…俺は思わずそう口に出していたが、

まあ、味だから、本質は味!

と言い聞かせ、見た目が普通だった事は考えない事に…って、待てよ?別に普通で良くないか?


…だって、今俺が調べたい事は、手作りに意味はあるか、違いは分かるか…って事でしょ?


…見た目にハッキリとした違いがあったら、その問題はすぐに解決してしまう。

…調べる意味はなくなってしまう。


…俺は、一体何を考えていたのだろう、と、料理を1口分取って食べようとした。


「ところでカラリ、もう帰らなくて大丈夫なの?

友達とか、親戚とか…さすがに心配する人がいるんじゃない?」


が、その前に、ちょっと気になっていた事を、カラリに聞いた。


「ああ、それが、ツイトさんが仕事に行っている時、リプラさんに、『洗濯とか、掃除とかをやらなくちゃならないので帰ります』…と言ったのですが…。

リプラさんが、無線で別のアンドロイド個体に呼びかけて、『洗濯や掃除、防犯まで心配いらないですよ。

今日は泊まっていったらいいのではないでしょうか』…と、言われたので…。」


カラリは、途中途中言葉を濁しながらそう言い、何だか、気まずそうにしていた。

…ふとリプラの方を見ると、またウインクをしていた。

…だから頼んでないってばー。

…ぐぬぬ、リプラがカラリの帰る外堀を埋めている気がする…。

まさか、このまま魔王を倒す旅に同行します。

…なんて事態になってしまわないだろうか。


…まあ、考えないようにしよう。

今は味だ、料理の味。

俺はそう思いながら、オムライスを1口食べた。


…普通に、美味しい。

なんというか、美味しい。

やっぱり機械で作られているからか、ムラみたいなものが無いし、全体的に美味しい。


「じゃあ、次は…野菜スープの方を飲もう。」


…そして俺は、野菜スープの方も1口飲んでみた。

…うん、こちらも美味しい。

野菜の味のしみ方にバラツキもないし、温かさもちょうどいい。


…しかし、小松菜のような、ほうれん草のような…多分薬草は、入っていなかった。


…。


「ねえ、リプラ。この料理を作った機械って、人の状態によって同じ注文でも作り分ける機能は、ついていたりする?」


俺は、リプラにそう聞いてみた。


「その研究はされておりますが、まだ、完成はしていない…つまり、ここの機械には、ついていないと思われます。」


俺は、リプラのその言葉を聞いて、少しだけ安心した。

…まだ、手料理には意味があったのだ。


…そう、まだ…。


…俺は、安心と共に、少しだけ不安を覚えた。


「ツイトさん!この和風定食、美味しいですよ!

ツイトさんも、もっと食べましょうよ!」


…と、しんみりとした気持ちで料理を食べていると、カラリが俺にそう声をかけてきた。


…どうやら、顔に出てしまっていたらしい。

…カラリに気を遣わせてしまったか…。

申し訳ないな…。


「そ、そうだね…うん…美味しい!」


俺は、オムライスを食べながら笑顔を浮かべ、カラリにそう言った。

…後に、この言い方だと、もっとカラリを心配させてさせてしまうのではないかと思ったが、カラリも、笑顔でこっちを見ていた。


…よかった、と俺はもう一度オムライスと、野菜スープももう一口食べた。


「うん…。」


そして、俺は微妙な気持ちのまま、食事を終えたのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「あー、充電充電…。出かけている時にするつもりだったけど、仕事だったから、持って行っちゃったよー。

おかげで、もう充電が切れそうだ…。」


俺は、宿屋の銭湯でくつろぎ、そして自分の部屋に戻った後、そう言ってスマホの充電を開始した。


「あ、そう言えば、歴史の事を聞きそびれたなぁ…。

…せめて、魔王がどう言った経緯で生まれたのかくらいは聞けばよかったな…まあ、明日聞けばいいか。」


…明日は、いったい何をするのだろうか。

…俺は、期待と不安を抱えながら、眠ったのだった。

読んでくださりありがとうございます!

感動です!


カラリさん、結構着いてきますね。

まだ安心して大丈夫です。まだ着いてきますよ。


ウォールさんの昔の仕事…未来の自分はこの伏線を回収するんでしょうか?

というかそもそも再登場するんでしょうか?

自分忘れっぽい所があるので多分忘れます。

忘れていなかったらすごいです。


では、次回も良ければ見てください!

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