表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/47

第30話 薬屋

「…よし、取り敢えず、俺達の準備は終わったな…。」


「…ええ、ベッドもしまいましたし。」


「………後は、あの二人を探せば、終わり…か…。」


「「……………。」」


…チラッと横を見てみると、セクタとカラリは、ビシッと姿勢を正して、部屋の扉を眺めていた。

…何だか、二人とも、この都市に来たばっかりの頃とは、面構えが違うな…。

…俺も、気を引き締めて行かないとな…。


「…それにしても、2人はどこに行ったんだろう。

もう、薬屋に向かったのかな…。」


「いえ、イーネさんは、セクタさんのお父さんを説得して、その後、薬屋へ行こうといったニュアンスのことを言っていたので、薬屋には行っていないのではないかと思います。

…薬屋に向かっているような気配もないですし…。」


リプラは、落ち着いた様子で、部屋の扉に手をかけた。


「そうだ、聞こう思っていたんだけど、そのリプラの、居場所がわかる力って、まあ、俺の場合は、完全に分かるようだったけど、他の人の場合は、どこまで…正確に分かるの?

…この会社に来て、リムさんとカラリの居場所を調べた時は、あまりハッキリと分かっていなかったみたいだけど…。」


その時俺は、念の為、少し気になっていた事を聞いてみた。


「…そうですね、厳密には、ツイト様の居場所がわかるシステムと、他の人の居場所を特定するために使っているシステムは、違います。

ツイト様以外の者の居場所を特定する場合は、音などの情報があれば、ツイト様の場合とほぼ同等に…つまり、完全に分かりますが、残された情報が少なければ少ないほど、正確さは失われていきます。

…しかし、なぜ急にそのような事を?」


「…いや、別に深い意味はないけども、一応、知っておいた方がいいかなって思ったんだ…。

…まあ、色々やって…リカバリー街に戻って、魔王の影響を受けているモンスターを倒すって…なったら…頑張らなきゃならないし。」


「なるほど、そうですか…。」


リプラは、また、何か察したような目でこちらを見ていた。


「…では、外の方へ向かっていきましょう。」


「「……。」」


「………………ああ、そうだな。」


リプラはそう言いながら、部屋の扉を開け、カラリとセクタは、ビシッとしながら着いて行き、ブロックさんもそれに続いた。


「…う、うん…。」


俺も少し遅れて皆を追いかけ、廊下に出たのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…それで、イーネさん、リムさん、何をしていたんですか?」


廊下に出て、少し進むと、リムさんが、イーネさんの襟首を掴み、何やら話をしていたようだった。


「…いや、別に、何をしたって訳じゃないよ。」


イーネさんは、余裕そうな表情を浮かべていた。


「…この階で逃げたり隠れたりしていたのよ。

…室内なのに、火の魔法を放とうとしたりして、大変だったのよ?」


「…えっ…?」


リムさんのその言葉を聞いて、セクタは不安そうな顔をしていた。


「…あー問題ない問題ない、未遂未遂。

…屋内で火を放つわけないじゃないか、ちょっと驚かすためのブラフだよ。」


イーネさんはすぐにそう言うが、セクタは、不安そうな表情のままだった。


「…あの。」


と、そんな事をしていると、後ろから突如声をかけれた。


「…うわっ!?」


俺は、思わずビクッとしてしまい、反射的に後ろを向いてしまった。


「…って、あなたは…!」


…俺の後ろには、セクタについて相談した時、食べ物で釣ってみては?…と、答えてくれた人がいた。

…名前を聞きそびれちゃったんだよな…。


「…ああ、勇者様、そちらのお仲間の方に…社内で暴れるのはやめて欲しいと、お伝えしたかったのですが…。」


「…えっ?ああ、す、すみません…。」


俺は、そう言いつつイーネさんの方を見たが、当の本人は、全く反省していないようだった。


「…いやぁ?そんな事してないですよぉ…。」


「…映像の証拠がありますので、自警団の方に提出させていただきますね。

…他人の会社で火の魔法を使おうとするなど、言語道断です。」


その人は、そう、バッサリとイーネさんに言い捨てた。


「…いやー申し訳ないですー。

ちょっと事情がありまして…しかし、本当に、火の魔法を放つつもりはなかったんですよ?

…ブラフのつもりでしたよ?

…ここは、勇者様の顔に免じて、お願いしますよぉー。」


イーネさんは、その言葉を聞くと、態度を一変して、その人にそう謝った。

…というか勝手に俺の顔を使うなよ。


「…まあ、仕方ないですね…今回だけは、勇者様、の顔に免じて、許しましょう、しかし、次は無いですよ。」


その人は、真剣な顔で、イーネさんにそう訴えていたが、イーネさんはまた、反省していないような態度を取っていた。

…いや、俺の顔が無駄に使われただけじゃないか…。


「…あ、えーっと…そういえば、名前を…聞いていませんでしたよね。」


「…ああ、名前、ですか…?

デュアルですが…。」


…デュアルさんは、どうしてそんな事を聞くんだ?というような顔をしていたが、俺は間をおかず、次の質問をした。


「…えーと、デュアルさん…俺達、この会社を離れて、冒険を再開したいと思っているんですけど…その前に、トラックさんと話をできる機会を作るのは…やっぱり、難しいですかね…。」


「…そうですね、話をできる機会を作るには、少々時間がかかると思います。」


デュアルさんは、伝言なら、と言いかけた所で、伝言ではダメだという空気を察したのか、そう言い直した。


「…では…先に薬屋に向かい、話ができる時間を設けられた場合は、連絡してもらうようにするのは、どうでしょうか?」


リプラは、俺にそう提案した。


「…なるほど…えっと、デュアルさん、トラックさんと話ができる時間を作って貰えるなら…それでお願いしたいんですが…どうでしょうか。」


俺は、リプラの言葉を受け、デュアルさんにそう頼んだ。


「……では、少々検討してみます。

…時間を作る事ができた場合も、今日は少し難しいという場合も、トラック社長から連絡をしてもらう、という事でよろしいでしょうか?」


「…ああ、じゃあ、お願いします。」


「…分かりました。」


「…えっと、僕は…着いて行って…いいのかな?」


俺とデュアルさんの話が終わると、セクタは、不安そうにこちらと、デュアルさんの方を見ていた。


「………そうですね、この都市内までなら、問題ないです。

…私から、トラック社長に伝えておきますので。」


デュアルさんがそう言うと、セクタは驚きと嬉しさが混ざったような表情になった。


「…あ、ありがとう…ございます。」


「…では…社内で、魔法を放たないよう、お願いしますね。」


デュアルさんは、最後にイーネさんにもう一度そう警告をして、去っていった。

…デュアルさんも、きっと、忙しいはずだよな。

最初にセクタの事を相談した時、仕事はあるけど、勇者を放ってはおけない…と、話を聞いてくれたが、その仕事がそんなに簡単に終わるはずないだろうし…。

…もし、イーネさんを注意する為だけにここに来てくれたのなら、本当に申し訳ないな…。


「…よし、話はついたから、薬屋に行こうか!」


…原因となった人物は、ハキハキとそう言って、先頭を歩いて行っているのだが。


「……。」


俺が、呆れ気味にイーネさんを眺めていると、周りからも、同じオーラを感じた。

…チラチラと周りを見渡してみると、皆が、イーネさんに似たような視線を送っている事に気がついた。

…イーネさん…聞いてくれるかは分からないけれども、薬屋で、少し話をしてみようかな…。


俺は、そう思いながら、歩き始めたのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…よーし、薬屋に着いたねー。

じゃあ、用が済むまで私は…って、冗談だよ冗談。

そんな本気の目になるなって…。」


薬屋に着いてそうそう、イーネさんがどこかに向かおうとしたので、俺を含め、皆が鋭い視線を送り、それを全力で止めようとしていた。


「…ほら、入店したよ、こうなったら、もし私が店から出たら、そこのアンドロイドにバレるんだろ?

…そんなに警戒しないでよぉー。」


イーネさんは、いち早く薬屋に入り、ドアの向こうから、笑顔で手を振っていた。

…なんかだんだんムカついてきたな…。

…いけないいけない、今はそれよりも、優先すべき事がある。

…ここで、怒っている場合では無いだろう。


俺は、自分の感情を抑えて、イーネさんの後に続き入店した。


「…そういえば、どんな薬を買う予定なの?」


俺は、ふと、元依頼主と戦っていた時にリプラが使っていた薬の事を思い出して、そうリプラに問いかけながら、薬屋に入った。


「…様々な薬を購入する予定ですが、そうですね、どんな場面でも使える、便利な効果の物を主に買う予定です。

…ああ、ツイト様も、何か個人的に欲しい物がありましたら、購入しても大丈夫ですよ。」


「…あ、そ、そう…。」


「…では、皆さん、私が購入する予定の薬はこちらにありますので…行きましょう。」


リプラはそう言うと、カラリにガッチリとくっついた。


「…ええ、行きましょう。」


リムさんも、リプラと同じように、カラリにガッチリとくっついていた。


「…あ、あの…リプラさん…リムさん…もう少し…離れても、大丈夫ですよ?」


「…いえ、そういう訳には行かないのです。

…私が犯した(あやま)ちは、二度と繰り返してはいけない…そう、思っていますから。」


「ええ、私も…同じ気持ちだわ。」


リプラとリムさんの後ろに炎が見えると錯覚させられるくらい、2人は燃えていた。


「…………。」


…これには流石に、カラリも苦笑いを浮かべていた。


「…あっ、見つかりました、あちらの棚の薬です。

…ここの通路は狭いので…皆さんは、こちらで待っていてください。」


リプラは、ある程度、薬屋の中を歩くと、そう言って、横の棚に逸れていった。

…カラリの腕は、ガッチリとホールドしたまま。


「……………。」


…リムさんも、リプラがホールドしていない方のカラリの腕をガッチリとホールドしたまま、着いて行った。


…何だこの状況は…いくら、前はここで油断して、カラリを連れ去られたからといって…慎重になりすぎじゃ無いのか…?

…いや、むしろ俺ももっと、あのくらい慎重になるべきなのか…?

…分からないな…。


「いやー、あんなに慎重にならなくとも、いいんじゃないかって、私は思うけどねー。」


そんなことを思っていると、イーネさんが、やれやれ、とそう呟いた。


「…2人が、かなり慎重になってしまった原因の一端は、イーネさんにも、あるとは思うんですけど…。」


「…んー?何の事かなー。」


「………。」


俺の言葉を、そうかわすイーネさんに、俺はまた冷たい視線を送った。


「まあまあ、そんな顔するなって…。

…ああ、じゃあ、1つ、いい事を教えてやるよ。

…ほら、この薬屋に入って、何か違和感を覚えないか?」


すると、イーネさんは、気付いているんだろ?といった様子で、俺の目を見た。


「…違和感…?」


「そうそう…。」


「…はっ…誰も居ないのに、妙に綺麗な所…?」


「…いや、違う…。」


…真面目に答えたのだが、違うと即答されてしまった。


「…なるほど、気付いていなかったのか…。

…まあ、確認しない限りは、想定の域を出ない事ではあるんだが…不自然だと思わないか?…踏み台がないという事が。」


「…踏み台?

…ああ、確かに、ここまでの道のりには無かったけども…それが、不自然だと思う理由なの?」


…俺がそう聞くと、イーネさんは、少しドヤ顔になった。


「…この前、ここに来た時は…小さい踏み台が1つあっただろう?

…でも、今、ここに来るまでに、そういった類のものは、見つける事ができなかった。

…つまり、あの踏み台は、元々あった物ではなく、誰かにわざと置かれたものだと考えられる、という事だ。」


「…!それが、カラリが、魔法にかかった理由に関係しているかも知れないってこと?」


「…ああそうだ、もしかしたら、あの小さめの踏み台には、上に乗ることで、魔法を発動する力があったとか…そういう事じゃないかと、思っていたんだ。」


「…なるほど。」


…確かに、俺達が通った道には、踏み台のようなものは無かったな。

あの1箇所だけにあると考えれば不自然ではある。

…その力で、魔法が発動して、その効果がカラリにかかった…という考えは、一理あるかもしれない。


「…でも、本当にあの踏み台で魔法が発動するなら、カラリじゃなくて、イーネさんにかけた方が手っ取り早い気がするんですけど…。」


俺がそう言うと、イーネさんのドヤ顔は、スッと消え、不満そうな顔になった。


「…あー、それは……絶対あいつじゃなきゃダメな理由があるか、効果範囲はこの薬屋全体だが、魔法の内容があいつにしか効果がないものだったか……まあ、そういった理由だろ。」


イーネさんは、分からない事をあまり聞くんじゃない、と、鋭い視線をこちらに送ってきた。

…まあ、可能性、という事か。


「…って…踏み台がないって事に気付いたという事は、イーネさんは、踏み台を探していたという事。

…その理由は…。」


「…黙れお願いだそれ以上言うんじゃない。

…ほら、後はあれだ、お前、セクタとは話したのか?」


俺が真実の方に近付こうとすると、イーネさんはそう、明らかに話を逸らした。

…後、お前、と言っているという事は、絶対に内心怒っている。


「…あー、はい。」


俺は、事を穏便に収めよう、と、セクタの方をチラッと見た後に、そう答えた。


「…あ、そういえば…樽ディスコって何ですか?」


ついでに、俺はずっと気になっていたことを質問した。


「…え?樽…。」


「…セクタが、イーネさんに、自分は樽ディスコという状態だ、と言われた…って、聞きましたが…。」


俺が、そう言うと、イーネさんは少し考え始めたと思えば、何か閃いたような表情になった。


「…もしかして、タルパの事か?」


「そうだ、樽パーティ!」


イーネさんが、セクタの方を見てそう問うと、セクタが、閃いた、といった様子で、イーネさんの顔を見た後に、こちらの方もチラッと見た。


「…そういう覚え方するからだよ…。」


イーネさんは、これは想定外だった、というような顔になった。


「…あの、ちなみにタルパって、何ですか?」


「…ん?ああ、タルパと言うものはな…。」


「ツイト様、購入予定のものは、全て、確認しました。

…連絡が来ているか確認してみてください!」


「……………。」


イーネさんの言葉を遮り、そんな声が、遠くからこちらに届いてきた。

俺は、トラックさんからの連絡が来ているのかを確認する前に、イーネさんの顔を見て、話の続きを聞こうとした。


「…あー、タルパと言うものは、まあなんだ、簡単に言えば、意図的に作った人格って事だ。

…まあ、セクタの場合は、将来社長になる事を期待されて、責任やらなんやらを感じて、アドバイスしてもらったり、不安を語るために、自分でそういった、『理想の自分』的なものを想像していたんだろうよ。」


…確かにセクタは自分で、多重人格というよりは、自分の後ろに誰か別な人がいるような感じ、とは言っていたな…。


「…でも、自分で、自分とは違う人格を作るって…難しくない?

…それにセクタは、違う人格を作ろう!って、自覚していた訳じゃなさそうだし…。」


「あーそんな事知るか…セクタと同じ事を聞くなよ…。

私も、特別詳しく知っているって訳じゃないからさ。

ただ、セクタの話を聞いて、そうなんじゃないかって思ったから、そう伝えただけだよ…。

ほら、メッセージメッセージ…。」


俺がそう問うと、イーネさんは、メッセージを早く確認しろと、俺を急かした。


「…あっ、ああ、えーと、ま、まだ来ていないみたい。」


「…まだか…。」


「…………。」


俺の言葉を聞いたイーネさんはそう呟き、セクタは少し不安そうにしていた。


「………………。」


一方、全く話に着いていけていない様子だったブロックさんは、ただただじっとこちらを見ていた。


「…あ、ブロックさん、ご、ごめんなさい…。」


「………………。」


俺がそう、謝罪をすると、ブロックさんは、笑みを浮かべた。

…しかし目が笑っていない。


「…よし、カラリちゃんも無事ね…。」


「…はい、安心しました。」


「…でも…まだよ。

…この薬屋を出るまでは…いや、出てからも安心はできないわ。」


俺が、どうしようか考えていると、そんな声がだんだんと近付いて来た。

…リプラ達が逸れた棚の方を見てみると、やはりカラリの腕をガッチリとホールドしていた2人が、すぐ近くまで戻って来ていた。


「…あっ、リプラ、カラリ、リムさん!

…えっと、連絡はまだですね。」


俺は逃げるようにリプラ達の方に駆け寄り、そう伝えた。


「…なるほど、他に行きたい場所はありますか?

…ない場合は、とりあえず、会社の方へ、戻りたいと思います。」


「…あっ、私は…まあ、いいわ。」


リプラの言葉を聞いたリムさんは、何かを言おうとした様子だったが、少し考えると、やめてしまった。


「…行きたい場所がある場合は、そちらに行っても、問題ないですよ?」


「…いえ、行きたい場所と言っても、時間があれば、カンパニーで仕事を受けようかと思っただけよ。

…でも、それならまずは、一度会社の方に戻ってから考えた方が良いかと思ってね、だから、問題ないわ。」


「…分かりました、では、会社の方へ戻ってみる事にしましょう。」


2人は、やはりカラリの腕をホールドしながら、出口の方へ歩き始めた。


「…あら?ブロック、どうしたの?」


と、その時、ブロックさんの様子が普通ではないということに気づいたのか、リムさんがブロックさんに、そう話しかけた。


「………………ああ、いや、何でもない。」


「…そう?……。」


リムさんは、一瞬不安そうにしたが、すぐにまた前を向き、歩き始めた。

俺も、リプラに着いて行きながら、チラッとブロックさんの様子を確認してみた。


「……………。」


なるほど、先程のように、目が笑っていないという事はなさそうだ。

…しかも心做しか、喜びのオーラ的なものを感じる気がする…。

顔は無表情なのに…不思議だ。


…しかしまあ、それなら…なるほどなるほどという事だろう。


俺は、笑みがこぼれないように、必死にこらえた…。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…会社まで戻ってきましたが…ツイト様、連絡は…?」


「…まだ、来ていないみたい。」


…俺達は、会社の前まで戻ってきたのだが、連絡はまだなかった。

…しかし、今日は難しいという場合も連絡が来るから、こんなに間が空くのなら、時間を作れそうなのでは無いか、とは思うのだが…。


「…それなら、私はちょっと行ってくるわ。」


連絡は来ていないという言葉を聞くや否や、リムさんは、目の前からサッと姿を消した。


「…おー、よし、じゃあ、邪魔者が居なくなったし…。」


「…誰が居なくなったって?」


…姿を消したように見えたが、リムさんは、イーネさんが話し始めた瞬間シュンッと戻って来た。


「…あー、大人しくしてようかなーってさ。」


「なるほどね。」


…リムさんは、イーネさんの言葉を聞くとまたサッと姿を消した。


「…はあ、仕方ない、大人しくしますか…。」


イーネさんは、不満げに、建物の壁に寄りかかって、空を見上げていた。


「…ツイト様も、ここで連絡が来るのを待ちますか?」


「…ああ、うん、そうしようか…な……。」


…俺は、リプラにそう伝えたところで、ふと思った。

…リプラの話によれば、元依頼主が率いるあの集団は、自警団に連れていかれても何故か大事になっていないらしいが、例の違法建築を、写真に収めれば、それは、物的証拠が見つかった事になり、何かしら変わるのではないか?…と。


「…あっ、ちょっと待って、行ってくる!」


「…ツイト様?」


俺は焦りからか若干声がおかしくなってしまったが、皆にそう伝え、隣のビルに駆け込んだ。

今回も読んで下さりありがとうございます。


…私自身、タルパの詳しい事を知らないので…もし何かが違っても、気にしないでください。

…異世界のタルパはそうなんだ、と思ってくださいお願いします。


次回も良かったら見てください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ