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第11話 病名は?

これはどういう状況なのだろうか。


…俺は、緑眼の男性について行き、

最終的に、俺達は公園まで行った。

すると、緑眼の男性が、ちょっと

待っていて、というので、言葉通り

待っていると、片手で持てるお菓子を持って

緑眼の男性はやってきた。


「…え?」


「……………お菓子。」


いや、それは分かるけども。

と思いながら、取り敢えず俺はそのお菓子を

受け取った。


「…えっと、それで、外に連れて来たって事は、

何か外で話したい事があるという…事?」


俺がそう聞くと、緑眼の男性は、静かに頷いた。


「…………………リムは、少しせっかちなんだ。

…………だから、勇者、君が本当に全てに気が付いた

と思って、あの話をした。

……………でも、本当は、君は何も気付いていないん

だろう。…………半分は冗談で、ああ言ったと見えた。」


…おっと、この緑眼の男性には俺の考えが

見透かされていたようだ。


「…………でも、安心して欲しい。………そんなに

重い病気じゃない。…………治療法もある。

…………症状も、そんなに重いものじゃない。」


緑眼の男性は、ゆっくりとそう言った。

…なるほど、そんなに重い病気じゃなく、

治療法もある。症状もそんなに重いものじゃない。

…なら何で、リムさんは俺を追っていたんだ?

…というか、色々考えているうちに、忘れて

いたけれど、そもそも、俺はいつ病気に

なったんだ?


「……………あまり難しい事は考えない方がいい。

……………答えに辿り着くヒントが、ほとんど無い

状態のものを、考えない方がいい。

……………まあ、俺も、分かる範囲でなら答え

られるから、取り敢えず気になった事は

聞くといい。」


緑眼の男性は、そう言った。


「…えっと、では、まず名前を教えて

もらいたいです。」


「………………あ。」


俺がそう言うと、緑眼の男性は、静かに

そう呟いた。…どうやら、すっかり忘れて

いたようだ。


「……………すまない。俺の名前は、ブロックだ。

…………いつもは、リムが、素早く自分と一緒に、

『こっちはブロック』………と、紹介してくれる

から、今回もつい…………その癖で。

…………でも、勇者、君も名乗ってないよね。」


「ああ、そう言えば…。」


俺は、完全に名乗るタイミングを失っていた。


「…えっと、ツイト、です…。」


「………………ツイト、なるほど。」


「「………………。」」


何故か、少し気まずくなり、俺たちの間に

沈黙が流れた。


「…えっと、じゃあ、その、お聞きしますけど、

俺の状態って…。」


だが、黙っていても話が進まないので、俺は

沈黙を破り、そう言った。


「………………それは、ハッキリとはまだ言えない。

…………まあ、簡単に言うと、主に精神に関わる病に

かかっている。………ああ精神と言っても、

そんなに難しい状態では無い。

………………まあ、治療法としては、普通に暮らす

だけだ。………………普通に、起きて、食べて、

働いて、遊んで…………。…そうしていれば、

それは治る。」


ブロックさんは、落ち着いた様子でそう言った。


「……え?普通にしていれば治るんですか?」


想像していた状態より、だいぶ楽な治療法で、

俺は驚いてしまった。

…それなら、別に、お医者さんも、俺に伝えない

事にする必要は、無い筈だよな。


「……………………。」


俺が驚いている様子を見て、ブロックさんは、

微妙な表情をしていた。

…?なんでだろう。


「……えっと、じゃあ、これも聞いておきたい

んですけど、リムさんって、何者なんですか?」


俺がそう言うと、ブロックさんは、驚いた

ような顔をした。


「……………え、他の事はいいの?…………多分、

リムは、帰ったらあの話の続きをする筈だよ。

……………他に、心の準備とか………。」


「…ああ、まあ、取り敢えずは、それが

気になって…。」


「……………えっと、リムは、何者って訳でも

ない。…………ただ、あまりにも速さを追い

求めたせいで、あんな事に……なっただけだ。」


「噂では…ブロックさんの家に居候していると

聞いたんですが…。」


「……………いや、ちょっと違う。…………しっかりと

払うものは払ってもらっている。……でも、

まあ、リムは、自由奔放な時があるから…。」


ブロックさんは、少し苦い顔をしながら、

そう答えた。

…自由奔放な時がある…!?


「…………例えば、今回、勇者を追うときだって、

朝、置き手紙があって………それだけで。」


ブロックさんは、寂しそうな顔をしていた。

…ああ、ブロックさん…。お気持ち、お察し

いたします。


「俺で良ければ、お話、お聞きしますか?」


「…………いいのか?…………勇者、君にしたら、

全く知らない人の話を、聞かされる事に

なるぞ………?」


「構わないですよ、ブロックさんも、俺の話を

聞いてくれたので…。」


「………………ああ、そうか、それはありがたい…。

………じゃあ、少し、話をさせてもらおうか……。」


そして、俺はブロックさんはの話をひたすらに

聞いた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「……………それで、リムは……そういう事もあって、

だからかなり困っているんだ………。」


「……それは大変ですね…。」


「…………まあ、そろそろ戻らないと、リムに

色々言われそうだからな…もう、話を終わりに

して、戻ろうか…勇者、話を聞いてくれて、

ありがとう。」


「いいんですよ。」


「………じゃあ、行……………ん?」


ブロックさんが、話を終えると、不思議

そうな顔をした。


「…………って、そう言えば、他の事は聞かなくて

いいのか?……………もう一度言うが、多分、

戻ったら、リムは病名を、普通に言うぞ?」


ブロックさんは、本当は話を聞くはずだった

のに、自分の話ばかりしてしまって大丈夫か?

というような顔をしていた。


「…まあ、取り敢えずさっきよりは落ち着いた

ので、大丈夫です。…心の準備は出来てます。」


俺は、そう答えた。


「……………そうか?…………なら、いいんだが…。」


ブロックさんは、そう言うと、立ち上がった。

…俺も、ブロックさんに着いて行き、途中で

お菓子のゴミをゴミ箱に捨て、家に戻った。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…………………ただいま、リム。」


そして、俺達は家に戻ってきた。


「……………………?」


ブロックさんは、ドアを叩きながら、

リムさんを呼んだが、一向に出てくる

様子はなかった。


「……………リム……?」


ブロックさんは、しばらく待った後に、

そう言いながら、家に入っていった。

…俺も、ブロックさんに着いて行った。


「…あ、あなた、な、何なのよ!?」


「…そっちこそ!…僕が子供だからと、

舐めているんじゃないかなぁ?」


「へーえ、それなら、何が出来るか

見せてもらおうじゃない?」


「…はあ?分かりましたよ、見せよう

じゃないですかぁ。『ウォーター』!」


「…ひゃっ!?やったわね!なら、私も

本気を…。」


…俺達が戻ってくると、家は、何やら騒がしい

事になっていた。

…というか、理解が追いつかない。

…何で、セクタは初めにあった頃の様な

態度になって、リムさんと言い合いをして

いるんだ?

…さらに、何で、リプラは真顔で、カラリは

困り顔で、部屋の隅に佇んでいるんだ?


「………………リム?」


「…えっと………セクタ?」


「「……!」」


2人が、俺達が戻ってきたという事に気が

付くと、一瞬、2人で見つめ合い、笑顔に

なった。


「…あ、あら、ブロック……おかえり…

いったい、どうしたの?」


「…あ…ああ、ゆゆゆ、勇者…………さん。」


「………………今、喧嘩……。」


「「してないよー、してないしてない。」」


…そう、二人の声は重なった。


「…してましたよ。」


カラリは、冷ややかな声でそう言った。


「「……!?」」


…2人は、余計な事を…。と言わんばかりの

顔をしていた。

…いや、もう遅いよ、バレてるんだよもう。


「…何か、まだ成長期なのに、身長をバカにされた

だとか、お姉さんと呼んでくれなかったとかで…。」


カラリは、そう続けた。


「…はあ…してたよ、言い合いを。」


セクタは、観念したのか、そう言った。


「…だって!僕まだ成長期なのに、身長で

煽ってくるんだよ!?それは無くない?」


…おっと、まだ観念していなかったようだ。


「…そっちこそ、私はまだおばさんという

歳ではないわ。それは、成長期なのに、

身長で煽るという事と、同じ事じゃないかしら?」


「…だって、見た目が」


「あ゛あ゛?」


…セクタが、言ってはいけない事を口に出して

しまったせいか、リムさんは、今まで聞いた

事の無いような声を出していた。


「…セクタ、謝りな?…セクタはまだ、

歳上に見られると嬉しいという歳かもしれない

けど…じゃなくて、歳上に見られる方が

嬉しいタイプの人かもしれないけど、

リムさんは、そうでは無いかもしれない。


…関係ないかもしれないが、俺もこの歳で

おじさん、なんて言われたら傷つく。

…セクタがどう思うかは分からないけど…。

俺からみて、あまりいい事じゃないと思う。

…だから、セクタ…謝ろう。」


俺は、セクタにそう言った。


「………………リム、大人気ない。…………小さい子なら、

そういう事、よくある。……………わざわざ煽り返す

必要は無い。……………リムも、謝った方がいい。」


ブロックさんも、リムさんに、そう言っていた。


「「……………。」」


すると2人は黙って目を合わせた。


「「………ごめんなさい。」」


そして2人とも、しっかりと謝った。


「…よし、じゃあ、この話は終わりかな。」


「………………そうだな。」


俺と、ブロックさんは、ホッと安堵のため息を

ついた。周りを見ると、カラリもホッとしていた。

リプラは、ただ、その様子をじっと見ていた。


「…ああ、ええと、ごめんなさいね、見苦しい

ところを……。」


リムさんは、俺と目を合わせて、そう言った。


「…ああ、まあ、大丈夫ですよ、怒る気持ちも

分からなくはないですから。」


「…そう、ありがとう。………ところで、病名の

話なのだけれど…。」


リムさんは、すぐに話を切りかえて、そう言った。

…そういえば、そうだった。その話の事で、

色々、あったから、さっきまでブロックさんと

話をしていたんだった。

…さっきの喧嘩で、記憶が飛んでいた。


…まあ、治療法もあるし、そんなに重い病気でも

ないということがわかっただけでも、気が楽だ。

俺は安心しながら病名を聞くことにした。


「…その病気は、通称『AI化病』と呼ばれていて、

人間がAIの様になってしまう病気よ。

主に思考や、感情、学習能力、疲労が、ね。」


…なるほど、人間がAIの様に…。

…思考、感情、学習能力…。学習能力はともかく、

思考、感情ということは、人間らしい感覚

というか、感受性というものが、失われる

という事か…。


「…それで、勇者さん、今のあなたの様子から

みて、結構病状は進んでいると思われるわ。

…心当たりは無い?」


…リムさんは、そう言って、じっと俺の目を

見た。


………心当たりは、確かにある。


俺は今まで、確かに、元いた世界では

出来ないような事をたくさんしていた。

…俺は剣や弓などのものを扱った事は全く無い。

…それなのに、1日もかからずに、ここまで上達

出来るというのは…やっぱり、それのせいなの

だろう。


「…………。」


「ある、という事かしら?」


俺が黙っていると、リムさんは、そう言った。

…俺は、静かに頷いた。


「…確か、治療法はあるんですよね。

普通に暮らすんだとか……。」


「…あら、ブロックに聞いたのかしら?

…そうよ、治療法は、普通に暮らす、

まあ、もっと詳しく言うと…頭を使いすぎない

事よ。」


「頭を使いすぎない事…?」


「…ええ。…様々な方法を模索して、その中から

最善の方法を見つけ出すと言った様な、頭を

使う事を続けると、病状は進んで行くわ。

頭を休めて、楽にする事で、『AI化病』は

治療されて行くわ。」


「…それなら、結構…。」


希望はあると言おうとしたが、ふと、俺に、

そんな時間はあるのかと思った。

…勇者として魔王を倒すのであれば、頭を休めて

楽にする、など、出来ないのではないだろうか。

…現に、俺の病状は進んでいるようだし…。


「……気づいたようね、そう、勇者さんは

中々頭を休めるという事は、出来ない立場に

立たされているのよ。

…まあ、休憩を取りながら、魔王討伐に行くと

いうことはできなくはないけれど、

かなり日数がかかってしまうから…いえ、

日数がかかっても、そうするべきなのかも

しれないけれど…大丈夫かしら?」


リムさんは、心配そうな顔をしていた。

…休憩しながら、魔王を討伐?…そんなの、

やらない方がいい。

魔王を討伐するなら、早い方がいい。


…でも、学習能力はともかく、思考、感情、

疲労がAIの様になる、という事は、

この病状がもっと進めば、俺は、効率的な

事しか考えられず、感情も失い、疲労も

感じなくなるということだ。


…不思議と、そう考えても、恐怖は感じなかった。


…それは、やはり病状が、進んでいるせいなの

だろうか。


「…そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫よ、

勇者さん。…私も、魔王討伐の冒険を、手伝おう

と思っているから。」


「…え?」


どうやら顔に出てしまっていたらしい。

…というかそれよりも、魔王討伐の冒険を手伝

おうと思っているって言った?

…いや、初めから、それが目的でリムさんを

探していたのだけれど…。


…リムさんも、同じ病気何だよな?

一緒に冒険をして大丈夫なのか?


「大丈夫なんですか?休む事で治療される

病気なんですよね?」


「…大丈夫よ、私はもう、治りかけだから。

…よっぽどの事がない限り、悪化する事は

ないわ。」


リムさんは、髪を耳にかけながらそう言った。


「…そう…ですか?」


…治りかけなのに、俺を追っていたのか…?

…いや、勇者である俺が病気だという事が

問題で、追っていた可能性もあるな…。

…それにしても、『kantsumire』で見た

俺の動画や写真だけで、俺が病気だという

事が分かるものなのだろうか。

…まあ、何か、特徴的なものがあるのだろう。

…と、考えておくか。


「…えっと、それで、一緒に行くんですよね。

…皆、ネクステ村で話していた…あ、セクタには

話していないや…。…ネクステ村で話していた

んだけど、歴史博物館に向かいたいと思っている

んだ。…大丈夫ですか?」


「ええ、問題ないわ。道は分かるの?」


「…はい、歴史博物館に関しては、既に調べて

おきましたので道は分かります。」


リムさんの問いに、リプラはそう答えた。


「なるほど、それなら大丈夫ね。じゃあ、

行きましょう。」


そして、俺達は歴史博物館へ向かおうとした…。


「………ちょっと待って、ブロックさんは?」


「…え?ブロック、来るの?」


「……………………。」


ブロックさんは、リムさんのその言葉を

聞いて、唖然としていた。おっと、どうやら

リムさんは、完全に置いて行くつもりだった

らしい。…いや、リムさんダメだろう思い込みは。


「……………行くよ。」


ブロックさんは、不機嫌そうにそう言った。


「…そっか、ごめんなさい、確かに、あなた

1人を、ここに置いて行くことになってしまうわね。

…そこまで考えていなかったわ。

…でもそれなら家は、どうしましょう。

…私たちがいない間、廃墟化していないかしら。」


「……………俺たちがいない間、誰か別の人に貸して

おけばいい。」


「…でもそれだと、持っていく荷物が…。」


「それならば、私の『異空間収納』を使えば

大丈夫ですよ。」


2人が困り果てていると、リプラが、そう言った。


「…あら、本当に?いいの?」


「……………ありがとう。」


「…では、ツイト様、カラリさん、セクタさん、

ものをしまうので、少しの間待っていてください。」


リプラはそう言って、2人と部屋の奥に行った。


「…じゃあ、取り敢えず外で待っていようか。」


「…うん。」


「はい!」


俺達は、家から出て、2人を待つ事にした。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…はい、お待たせしました、終わりましたよ。」


しばらく待って、リプラがそう言いながら、

2人と一緒に家から出てきた。


「…よし、これで大丈夫か…。」


「……………………あ、先に、歴史博物館に行ってて。

……………家の、色々な手続きをしてくる。

…………場所は分かるから、問題はない。」


「あ、分かりました。」


ブロックさんは、そう言って、どこかへ行って

しまった。


「私たちは、こちらです。」


リプラは、そう言うと、俺たちの先頭に

立って、歩き始めた。

…俺も、リプラの後ろについて行った。


…歴史かあ、歴史ってことは、魔王が現れた

理由や、この世界が中途半端に発展した理由

なども、分かるのかな…。


俺はそう考えながら、歩いていった。

今回も、読んで下さり、ありがとうございます。


いやー、ここまで来ると何か矛盾が起こってそうで怖いですね。

因みに少し前の、リムとリテラの会話と、今回の会話には矛盾はない…筈、です。…隠れていなければ。

これは明らかに矛盾では?というものは、多分いつか回収する予定の伏線だったりするので、問題ないのですが、地味な矛盾が潜伏していて、それが後々物語に影響を与えてしまうというような事態が1番怖いので、気を付けたいです。


…この発言がフラグにならなければいいのだが。


次回も良かったら見てください!

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