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ラミアは今度は、今後について、考えを巡らせる。
(今の私は魔物と戦う術を持たない。この森を抜けるには、かなりの魔物がいるってカーディラスが言ってたわ。森から出るのは、彼にお願いして同行させてもらうしかないわね。でも、今の私は確実に足手まとい。ナイフでもあれば、弱い魔物くらいなら何とかなるんだけど、、、。)
共石の村は森の中にある。結界内には森も一部含まれており、木の実や薬草を取るために森に行き、弱い魔物を相手にしたことは、これまで何度もあったのだ。共石の村の結界は、邪な考えを持つものから守る物であり、魔物には効かなかった。魔物から得られる素材が必要なこともあるからだ。
(今の自分に出来る事、しなくてはならない事。まずは森を抜けなくちゃ。そのために、せめて、カーディラスの足を引っ張らないようにしたいわ。よしっ!!!)
ラミアは気合を入れて、行動を開始した。
服の中に入れて隠し持っていた袋を取り出し、中の魔石のかけらを確認する。
(うん、これだけあれば、何とかなるかも。)
念のためいくつか残してかけらを取り出し、そのかけらを手に乗せた。
そして、かけらに力を込める。
(魔石よ、私に力を。戦う力が欲しいの。どうか形を変えて。)
ラミアの願いを受けて、かけらは一つに纏まり、小さな短剣へと形を変えた。
素材は魔石だが、ラミアは鉱物であれば性質も変えられる。金属だって鉱物の一種なのだ。
(出来た!これで私も少しは戦えるわ。)
それからラミアは、その短剣を身体にくくりつけ、そっと外をうかがった。
洞穴の外は良い天気で、太陽はもう高い位置に登っていた。
(この辺りはほとんど魔物が出ないって、カーディラスが言ってたわ。ちょっとだけなら、きっと大丈夫。辺りの様子を見てみて。ついでに食べ物も探せるといいな。)
ラミアは洞穴から出ると、周囲を探りながら、果実やキノコを探した。
洞穴から少し離れただけだったが、森に慣れた彼女のカンはよく当たり、食べられる実をつける木や、根元にキノコの生える木を何本か、そして薬草も少し見つける事が出来た。
干し肉を食べなかったためお腹も空いていたので、果実を採りながらいくつか食べ、お腹を満たした。
(薬草の種類がもっと欲しいところだけど、今日のところはこれで良いにしよう。)
ラミアは洞穴に戻り、カーディラスの戻る前にと、昼に食べなかった干し肉と採ってきたキノコ、そして香りの良い薬草で夕飯を作った。