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翌日、洞穴の外がすっかり明るくなり、ラミアが目覚めた時にはカーディラスはすっかり身支度を整えていた。
「俺はちょっと用事があってね。出掛けて来る。君は今日はまだ休んでいた方が良い。
今日はここにいてくれ。いいね?」
こんな森の中で、いったどんな用事があるのだろう。そう疑問に思いつつも、ラミアは応えた。
「ええ、わかったわ。」
「朝食を作っておいた。昨日と同じだけどー我慢して食べてくれ。それから、昼に帰れるかわからない。干し肉をおいて置いておいたから、それで我慢してくれるかい?」
「もちろん。気遣いありがとう。」
ラミアは笑みを返した。
カーディラスの出掛けた後、ラミアは朝食のスープを食べ、今の状況とこれからに考えを巡らせた。
まずは自分の身体を確認する。昨日身体中にあった擦り傷と打ち身は、もうほとんど良くなっていた。ラミアは昔から身体が丈夫で、怪我をしてもすぐに治るし、病気もほとんどした事がない。
(こんな時は、丈夫な身体で本当に良かったって思うわね。母さんと、会ったことは無いけど、父さんに感謝しなくちゃ。)
ラミアが産まれる前に、ラミアの父は亡くなってしまったらしい。ラミアは自分の父を知らない。だが母と父は確かに愛し合っていたのだろう。母から父の惚気をよく聞いていた。その惚気によると、ラミアの父はとても格好良く、背も高く、力持ちで強かったらしい。その上、母をとても愛して大事にしてくれていたそうだ。
少しの回想の後、ラミアは今の状況に頭を巡らせた。
(カーディラスのこと、本当に信じていて良いのかしら。でも今のところ彼はあいつらとは無関係みたい。追っ手もまいたようだし、ここに追ってくることはまず無さそう。あいつらは私が川に落ちたのも知らないはずだし、しばらくはここにいても大丈夫ね。)