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導きの竜と魔石の国  作者: キャスパー
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城の門に到着し、ラミアは紋章石を取り出した。


城の衛兵はラミアが取り出した紋章石を衛兵に見ると、一人がすぐに中に走っていった。そしてすぐに、何者かと一緒に戻ってきた。


整った目鼻立ちと色素の薄い肌と背中までのグレーの髪。一見女性とも見間違えられそうであり、美人と言う褒め言葉の似合いそうな20代後半くらいの若者だ。しかし、こちらを見る眼差しはきつい。


「紋章を持つ方々。私は宰相補佐の、ファルドと申します。お待ちしておりました。」


ファルドはそう言った後、ラミアとウルベを城の中へと案内した。


二人が通されたのは、城の二階にある一室だった。


応接間だろうか。ラミアとウルベが泊まった宿屋の一室の二倍はある部屋には、贅沢なふかふかの絨毯が敷かれ、部屋の中央にはテーブルを挟んで二人掛けのソファーが二客、一人掛けのソファーが二客置いてあった。


「こちらでしばらくお待ちください。」


侍女がお茶と菓子をテーブルに老いた後、ファルドはそう言って侍女と共に部屋を出て行き、部屋にはラミアとウルベが残された。



ソファーに座りながら待つラミアは、緊張で震える手を握りしめていた。


「私たち・・・歓迎されているのかしら。・・・警戒されているのかしら。」


不安で押しつぶされそうで、強ばった顔のラミアに対し、ウルベは流石に年の功だけあるようだ。

落ち着いた様子でラミアに返事を返す。


「歓迎されてても警戒されてても。まぁ、もうここまで来ればなるようになるさ。焦っても仕方ない。食べて待っていようぜ。」


ウルベはそう言い菓子に手を伸ばす。


ラミアは不安で、何も食べる気にはならなかった。


数刻の後。コンコンというノックの音が部屋に響いた。


ラミアとウルベはハッとして、ソファーから立ち上がった。


部屋に、ファルドが入ってきた。それに続いて、二人の男が入ってくる。ダンディな顔立ちでシルバーの髪をオールバックにした50代くらいの男性と、頬に傷のある、緑の髪の体格の良い30代後半くらいの男だ。


ラミアは、その最後に入ってきた男に見覚えがあった。

ドキッと思わずラミアの心臓が跳ねる。

(カーディと最後に会った祭りの日に、カーディを迎えに来た騎士様だわ。)


「待たせました。」


ファルドが言う。


「こちら、宰相のゴドニスと、騎士団長トアーズです。」


こちらを見たトアーズも、ラミアを見て驚いた顔をしていた。

(私のこと・・・覚えているのね。騎士様とは知っていたけど、まさか団長様だったなんて。)


ラミアとウルベに着席を促した後、向かい側にゴドニスが腰掛け、ファルドとトアーズはソファの横に立つ。


その後、ゴドニスと紹介された男が、口を開く。


「こたび、光が届いてから、紋章石を持つ者の来訪を待っておった。

紋章石は陛下からの最上の信頼の証。そしてその光は国の一大事にのみ使われるもの。

しかも、届いた光は赤。最賢王ドリアドス王のものだな?貴殿らは、いったい何者だ?

そして、何を知らせに参ったのだ?」


ゴドニスは、柔らかな口調ながらも、誤魔化しを許さないとラミアとウルベの心情を見通すような厳しい眼で尋ねた。


その瞳に気押されながら、しかし、怯むわけにはいかないと、ラミアはゴドニスを見つめ返す。


(真実をどこまで話して良いのだろう。)

そんな考えが一瞬、ラミアの頭をよぎったが、しかし、あわててラミアは自らその考えを否定した。


何かを隠そうとしたところで、王の下であらゆる事柄に対応してきただろうゴドニスに、自分が敵うわけが無い。


(この人に、誤魔化しなんて通用しない。不信感を抱かれるより、賢王と呼ばれる陛下の下にいる、この方たちを信じてみよう。)


ラミアは目の端でウルベを捕らえると、ウルベがラミアを見て頷いたのが見える。

それに力を得て、ラミアは思い切って言葉を発した。


「現在、多くの森で魔物の増加と狂暴化が起こっていると、聞いています。」


ラミアが口火を切った内容が予想と異なったのか、ゴドニス、ファルド、トアーズ共に、いぶかしげな表情を浮かべた。


「私たちは、その原因を突き止めました。それを陛下にお話ししたく、参ったのです。」


「その案件については、こちらでも最優先で調査している事項。それを、貴方方が突き止めたと?」

トアーズが、思わず疑問を口にした。


「はい。」


一瞬疑う目で見ていたトアーズだが、ラミアの真剣な表情を見て、嘘をついているわけでは無いと、感じたようだ。


「もしそれが真実だとして。どうやって突き止めたというのだ?貴方方は何者なのか?」

ゴドニスが尋ねる。


「私たちは、共石の村から参りました。」

「共石の村?・・・あの、過去に滅んだと言われる?」

ファルドが尋ねる。


「はい。ですが、我々の村は滅んではおりません。姿を隠したのです。それは、当時の王もご承知のこと。」

「当時の王?」

「はい。当時の王、最賢王ドリアドス陛下です。」


ドリアドス王は、過去最も賢王と呼ばれた人物だ。王に就いた当時、まだ荒れて貧しかった国の農業改革と産業改革を進め、現在の国の基盤を作った。


「最賢王が?しかし、何のために姿を隠したのだ?」


ファルドの疑問を受け、これまで、静かに話を聞いていたゴドニスが、徐に口を開いた。


「・・・なるほど。共石の村が出てきたか。それでドリアドス王の紋章を持っておったのだな。」


共石の村の存在と、ドリアドス王との事情を知っているようなゴドニスの口調に、ラミアとウルベだけで無く、ファルドとトアーズも思わずゴドニスを注視した。


「・・・しからば、先ほどの件は、その力が関係あるのか?」

(・・・村の民の持つ共鳴力についてもご存知なのね。)


「はい。」

ラミアの返答に、ゴドニスは少し考え込んでいる様子だった。


「なるほど。・・・過去の歴史について、王家と、宰相の地位にある者のみに知らされる事柄がある。ファルド、トアーズ、お主らは知らぬ事柄だ。」


「「はい。」」

ファルドとトアーズがそれに応える。


「本来は秘匿される件であるが、国のこの状況。今後採るべき道を選び対策を練るために、お前達にとっても必要な情報となるだろう。ファルド、トアーズ、共に話しを聞くが良い。陛下には後ほどこの件と共に報告しておく。しかし、ここでの話し、他言無用だぞ。」


「「はっ!」」


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