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王都に到着したのは、共石の村を出発してきっかり10日後だった。
到着後、ラミアとウルベはまず宿屋に部屋を取った。
そして、情報収集に街を歩く。これからの村の将来を決めるとも言える話をしに行くのだ。なるべく情報は集めておきたい。噂通りの賢王であるのかももう少し知っておきたい。そして、アルド商会の動向も調べる必要がある。こんなところで捕まるわけにはいかないのだ。
「王都には初めて来たけど、本当に活気があるな。野菜や果物も新鮮だし、市場に人が溢れてる。住民も、とっても良い顔をしている。」
「働いている大人だけでなく、子供達も走り回って楽しそうに遊んでいますね。」
「これを見ると、賢王っていうのは噂だけじゃ無いって思えるな。」
「ええ。本当に。」
ウルベとしばらく話した後、ラミアは果物を一つ買って、店主に話しかけた。
「おじさん、私、王都に初めて来たんだけど、とっても活気がありますね。」
「ああ、王都を見に来たのかい?賑やかでびっくりしただろう。」
「ええ、本当に。それに、皆イキイキしています。」
「ああ。この国の陛下は本当に良いお方だ。治安も落ち着いてるし、皆が住みやすいように配慮してくださる。お嬢さんの街はどうだい?良いところかい?」
「ええ、もちろん。」
「そうだろうとも。国の隅々まで気を配ってくださる陛下だもんなぁ。この国は安泰だよ。」
果物屋の店主は豪快に笑いながら応えた。
本当に人々が心の底から明るい、良い街のようだ。
この後、ラミアとウルベは手分けをして何人かの店主に店先で話しかけたが、皆、同じような回答だった。
「・・・今のところ、噂通りの賢王のようだな。」
「はい、そのようです。」
「せっかくの王都。もう少し見せてやりたいところだが、そうのんびりともしてられない。」
「はい。今のところ、アルド商会で見知った人は見かけないけれど、これだけの大きな街。気付かない間に私を知る者に見られているかもしれないし、何より、なるべく早く、陛下に伝えなければ。
・・・明日、早速城を訪れませんか?」
「ああ、それが良いだろう。」
城に行くのを翌日と決め、ラミアとウルドは宿へと戻った。
翌日、ラミアとウルドは城に向かった。
ラミアは、カーディラスからもらったネックレスは服の下に見えないように隠し、ソフィアから預かった紋章と共に大事に懐に入れた。
現在では幻とされている共石の村。王家でどのように伝わっているかはわからないが、ずっと秘めていた村の存在を明かすのである。
話した後のラミア達はどのように扱われるのだろうか。欲に囚われた王ならば、最悪、アルド商会のように監禁される事も考えられる。さらに、村人がどのように扱われるか。王の態度によっては村の場所を秘匿する覚悟はあるが、鍵の石を作り出されてしまう事もある。そうして荒らされた村はどうなるか。
「ラミア。悪い事ばかり考えても仕方ない。俺たちに出来る事、しなければならない事を考えよう。これ以上魔物を増やす前に、止めなければ。俺たちの村だけではない。この国の未来がかかっているんだ。」
不安で青い顔をしているラミアを、ウルベが励ます。
ラミアはウルベに頷くと、震える足を叱咤して、懐に入れた紋章石とネックレスを服の上から握りしめた。
(あんなに優しいカーディのお父様なのだもの。きっと良い方に違いない。)
ラミアは覚悟を決めて、顔を上げる。
そして二人は、城の衛兵の元へと向かった。




