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導きの竜と魔石の国  作者: キャスパー
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ソフィアが徐に話し始めたそれは、共石の村の成り立ちについてだった。


「この国は昔、竜が人間と共に暮らしていたのは知っておるな?」

「はい。文献にも、確かにその記載がありました。」

「竜は人間を慈しみ、そして愛していた。そして、竜の中には、ほんに希だが、たった一人の人間を愛し、番にする竜もいた。共石の村は、もともとその者らが創った村なのじゃ。」

ソフィアの話に、ラミアは目を見張った。


「番となった彼らは、この村で子供を産み、家族となって、共に暮らしていた。しかし、150年前に竜が人間と別の道を歩むと決めたとき。竜はこの村から去って行ったのじゃ。」

「でも、番だったのでしょう?」

「竜は長命だからな。番となった相手の人間は既に寿命を全うしておったのだ。そして、残っていた子孫のうち、竜に変化出来る力を持つ者は、その時に一緒にこの村を去った。」


「竜と人間の間の子は、竜になるのですか?」

「いや、そうとも限らないのだ。竜と人間の間に産まれた子供は、竜か人間かどちらかになる。

竜の力を持つ子は成長と共に竜に変化出来るだけでは無く、竜としての強靱な身体や魔力を持ち、長命だそうだ。一方、竜の力を持たない者は、ほぼ人間と変わらない。寿命も身体あの強さも人間と同じだ。だが、普通の人間より少し特殊な能力を持っていた。それが、この村の民が持つ石との共鳴力だ。」


共石の村の民が持つ、能力の秘密。

それは、これまで考えたことも無い事実であり、ラミアは衝撃を受けた。



「この村の民は、竜の子孫だから共鳴力があるのですか?」

「ああ。この村が閉じる前に他所から移り住んだ村人もいるからな。全員では無いが。

だが、竜の血を引き力を持つ者とそうで無い者の子にも、不思議と力は受け継がれるらしい。

そういうわけで、この村には共鳴力を持つ者が多いのだ。」


ソフィアは話しを続ける。

「話は是で終わりでは無い。良いか?」

「は、はい。」

ラミアは衝撃の話しに心を奪われていたが、ソフィアの言葉で心と身体を正し、再びソフィアの話しに耳を傾ける。


「文献にあっただろうが、150年前、竜が人間と別の道を歩み始めた理由の一つが、邪な人間が竜を狙ったことだった。」

「はい。」

「竜の鱗はどんな刀も通さず、堅い防具が作れる。また竜の肝は万病に効くと言われておった。・・・本当かどうかなんてわからんが。噂でも、欲にまみれた人間は竜を狙ったのだ。

そして竜は人間の元を去った。それで、しばらくしたら、邪な人間の欲は、我々の力に向いたのだ。

魔石の質を高める共鳴力についての話しがどこからか広がってしまったのだ。それでこの村を閉めることにした。結界を張って、鍵を持つ者以外通れなくしたのだ。」


「それが、この村の結界の始まりですね?」

「ああ。だが、国の一部であるこの村が、勝手に姿を消すわけにはいかんからな。その際、当時の国王陛下には了解を得た。」

「国王陛下に?」

「ああ。当時の国王陛下はこの村の秘密を知っておった。長巫女との交流もあったんだ。それで、陛下はすんなり認めてくださった。この村を守りたいと懇意に思ってくださったのか、もしくは村の民の力が、いずれ必要になると思ったのかもれん。だが、認める代わりに、ある約束を交わしたのだ。」

「約束、ですか?」

「そうだ。結界を張って、村として姿を消す。陛下はその後押しをし、村をもとより存在の無かったように取りはからう。国として共石の村の存在を秘匿する代わりに、国に何か危機が迫った際には力を貸すこと。」


「・・・力を、貸す・・・。」

「ああ。現在、魔石の消失による、魔物の凶暴化が始まっているな?魔石の消失は、掘り尽くしたことも大きな原因だが、新たな魔石が生まれていないこともそもそもの原因にある。」

「新たな魔石が生まれていない・・・。」

ラミアは、文献に記載されていた内容を思い起こす。


「・・・導きの竜に、何かあったのですか?」

「150年前の時点で、導きの竜は最後の一頭だったそうだ。それでも残った一頭が、国を巡り魔石を生み出していた。しかし、今から10年前。国を巡っている途中だった導きの竜が、突如姿を消した。」

「!死んでしまったのですか?」

「わからん。私も国内の魔石と共鳴しているが、魔石の消失は感じても、新たに生み出される魔石を感じない。つまり導きの竜は何処にもいないことになる。しかし、導きの竜は他の竜よりも強靱だと言われている。竜よりも強い生物など聞いたことも無いし、人間に捕らわれた話しも聞かない。全くの消息不明なのだ。」


「魔石が減った今となって。我々の共鳴力は国から求められるかもしれん。村の結界を解く日が来るかも知れん。村の民に負担を掛けることもあるだろうが、我々は国の一大事に力を貸すという約束を守らねばならん。」


「ラミア」

「はい、ソフィア様。」

「この話をしたのは、、、ラミア、我は、今こそ、約束を果たすときだと感じているのだ。

本来ならば、我が行くべき。しかし、我は長巫女としてこの村を守らねばならぬ。

このようなこと、お前に頼むのはとても酷なことだ。しかし、ラミア、我の代わりに王の下へ行ってはくれぬだろうか。」


つまり、国王の元を訪れ、魔石の消失による魔物への影響、魔石の減少を伝え、魔石を掘り尽くさぬように訴えると言うことだ。

(そんなお役目、、、私が?)

ラミアはその肩に預かろうとしているもののあまりの重さに、思わず震え上がった。

今後の村のあり方が左右される内容だ。

しかし、長巫女の代わりとなると、長巫女に次ぐ立場のラミアをおいて考えられない。また、ラミアは長巫女と同じほどの共鳴力を持つので、力を求められても役立つことが出来る。

(私が・・・行くしか無いんだ。)

ラミアは、怖じ気づきそうになる気持ちを心の隅においやって、長巫女を正面から見た。

「心得ました。ソフィア様、私が行って参ります。」


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