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食事を終えた二人は、準備を整えて翌々日に渓谷に出発する約束をして別れた。
ソラには仕事がある。翌日に武器屋の店主に話をつけて、翌々日に、ということになったのだ。
夕方まで昼寝をしてしまったラミアは、すっかり目が冴えてしまっていた。
「この街は、安全だってソラが言ってたわね。ちょっと街を見て回ろう。」
もうとっくに日が暮れて、空は真っ暗であるが、村は魔道具を使った明かりで所々明るくなっている。
(こんな夜に歩くと。カーディと過ごしたお祭りの夜を思い出しちゃうわ。)
ラミアが夜に出歩くのはこれでたったの二回目だ。共石の村にいた時はラミアはまだ小さかったし、ノルデンでは、お祭りの夜以外は夜はずっと魔石の研究に時間を費やしていたのだ。否が応にも初めて出歩いたときのカーディラスとのことを思い出してしまう。
(カーディ、私がノルデンを出たのに気が付いたかしら。・・・ううん、きっと忙しくって、まだお城にいるのかな。旅の後に仕事に追われて、ちょっと出来た時間でノルデンに来てくれたんだものね。また仕事に追われているかも。)
ラミアは切なく痛む胸を押さえた。
(もう会うことが無くても、貴方が私を忘れちゃっても、私は貴方を忘れない。私も、貴方に負けないように頑張るね。)
まだ胸は切なくジクジクするけれど。きっと時間がたてば薄れていく。そうすれば、カーディとの思いでは自分を支えてくれる思い出へ変わるだろう。ラミアは胸の痛みを振り切って顔を上げた。
(よし、じゃあ村を見たら帰ろう。えぇと、あっちは昼に行った雑貨屋さん。その二軒先にあるのは魔道具の店かしら?あら、果物と食べ物の屋台もあるのね。昼間に行ってみよう。)
小さな村であるが、店の種類はなかなか充実しているらしい。
ラミアは街をさっと見た後、宿屋へと足を向けた。
翌日。ラミアは必要な荷を整えるために、朝から店を巡った。
(ノルデンからここに来るのに、薬草はあまり使わないですんだし、買わなくて大丈夫ね。
携帯食料くらいかしら。明日は日帰りだからそんなに必要ないと思うけど、念のため買っておこう。
あとは短剣の手入れもね。魔結晶を持って行くから、明日も魔物の心配はないと思うけど・・・。)
魔物に教われる心配が無いラミアはソラに同行を頼んだのは、道案内のためと、魔結晶や村の鍵について相談をしたいからだった。
(買い足しておく物は、これで良し、と。じゃあ後は村を見て回ろう。昨夜開いてなかったお店も、今なら開いてるものね。)
昼間のシュルフトは、知る人ぞ知るここ独自の武器や道具を求めて来た、冒険者や傭兵でそれなりに賑わっていた。
そんな様子を眺めながら村を回り、再び雑貨やソラのいる武器屋を夕方まで村を回ったラミアは、宿屋の食堂で夕食を済ませ、翌日に備えて早めに就寝した。




