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「殿下!!探しましたぞ!」
突然、二人の会話に割り込んだ者がいた。
「全く、また護衛をまいてしまわれて。」
「トアーズ!見つかったか・・・。」
割り込んだ騎士のような恰好の男を見て、顔を歪めながら思わずカーディラスが声を漏らした。
背が高く、緑の髪、茶目で鍛えられた肉体。体格の良い30代くらいの男で、頬にある傷が男気を上げている。
「・・・殿下・・・?」
(え、今、殿下って、、、そしたらカーディが返事をした?)
二人の会話を聞いて、呆然とするラミア。頭がうまく働かない。
「ラァ・・・。」
気まずそうにカーディラスはラミアを見る。
そんなラミアと自分、そしてもう一人、トアーズが周囲から注目を浴びているのに気が付き、カーディラスは言った。
「まずい、注目を浴びてる。ちょっと移動しよう。」
カーディラスはラミアの手を引き、会場を出て、町外れまで移動した。
トアーズと呼ばれた男は、そんな二人の後をついて行く。
「・・・カーディ?どういうこと?あの人、殿下って・・・。」
「ラァ・・・。」
ずっときまずそうな顔をしていたカーディラスだが、顔を上げ、ラミアを見つめて言った。
「伝えて無くて悪かった。俺は、この国の第二王子。カーディラス・ロイ・アルノルドだ。」
ラミアは驚きで頭の中が真っ白だった。呆然としながら、口に出す。
「・・・半竜の王子様・・?」
「ああ。俺の父は今の王の弟で、母は竜だ。」
「なぜ今まで、話してくれなかったの?王子だって、半竜だって、言ってくれなかったの?」
「君と、気まずくなりたく無かった。身分に遠慮して欲しくなかったんだ。せっかく、可愛いもう一人の妹が出来たのに。」
ラミアは目の前が真っ暗になった。
(やっぱり私はあくまで妹なのね。それに、どんなに思っても身分が違う。しかも半竜なんて、寿命も違う。・・・こんなに好きになったのに、近付けたと思ったのに、実際はこんなにも遠い人だったなんて。)
心が辛くて引き裂かれそうだった。
でも、自分だって、出身を、力を、隠している。こんなにも心を奪っておいて。カーディラスに恨み言を言いたいが、言うことなんて、出来ない。
ラミアは、溢れそうになる涙をぐっとこらえ、唇を噛みしめた。
「殿下。そろそろ戻りませんと。他の護衛達も心配しています。」
「ああ。わかってる。」
俯くラミアに、カーディラスは声を掛ける。
「ラァ、俺はこれからも、君には今まで通り接して欲しいと思っている。君と過ごした日々は、短いけれどかけがえのないものだった。・・・また、会いに来るよ。今日はもう行かなくては。・・・・ごめんな。」
カーディラスは、ラミアの頭をポンポンと軽くたたき、トアーズと共に去って行った。
ラミアはカーディラスに何も言えず俯いていたが、カーディラスが去った後、顔をあげて、涙を流しながら彼の後ろ姿をずっと眺めていた。




