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ラミアとカーディラスは、果実水を買って、会場の外側の少し落ち着いた席に座った。
「盛り上がるとは聞いていたが、皆、本当に楽しそうだ。」
「本当ね。・・・カーディは、このお祭りのために、この街に来たの?」
「ああ、一度、見てみたくてな。でも、もちろん君に会うためだってのもあるよ。約束したろう?」
カーディラスの返事に、ラミアの胸は高鳴った。
「旅は、どうだったの?何かわかった?」
「ああ、あれから一年以上、国のあちこちを回ったよ。旅を終えたのは、ほんの一ヶ月ほど前なんだ。帰ったとたん報告やら仕事に追われてね。やっと少し時間が出来た。」
カーディラスは話しを続ける。
「このところ、魔物の増加が認められるエリアが広がっている。」
「私も、北の森で魔物が増えてるって噂を聞いたわ。」
「ああ。それに、増えているだけじゃなく、凶暴化していっている。以前は弱い魔物などは出会っても危害を加えないものもいたんだが。北の森では、今はどんな魔物でも、出会ったとたんに牙をむいてくる。・・・危険な状態だ。一般人は森に入らないように禁止令が出るだろう。」
「そんな。」
「まだ全ての森が危険というわけではない。魔物の増加も確認されていない地域もある。・・・ただ、それもいつまで安全かは、わからない。警戒が必要だろう。」
不安げな表情のラミアを見て、カーディラスは話題を変えた。
「それより、今度は君のことを話してくれ。あれから、どうしていたんだ?」
「私はあの後、食堂のおかみさんと知り合って、働き口と住むところを紹介してもらったの。その人の食堂で働いて、その上の一室を借りて住んでるのよ。グリム亭って言うの。これでも看板娘なのよ?」
ラミアはちょっと得意げに、茶化しながら言う。
「そうか、良い人に出会えたんだな。落ち着いて暮らせているようで何よりだ。
君の笑顔は癒やされるものな。」
カーディラスの無意識のそんな言葉に、ラミアは思わず赤面した。
(もう、こういう事をサラッと言うから・・・!)
「それで、アルド商会の方は、大丈夫か?」
カーディラスが真摯に心配するその言葉に、ラミアも気持ちを落ち着けて答える。
「ええ、本当に貴方のおかげよ。カーディ。この街にも少し商会の出入りがあるし、心配していたんだけど、私の顔までは知られていないみたい。目立つ髪と瞳の色を隠せているおかげで、安全に暮らせているわ。」
「良かった。安心したよ。」
その後も、二人は会話に夢中になっていた。しかし、カーディラスは出会った頃のように髪と瞳を茶色く変えていたが、彼の整った顔立ちは人目をひくし、また、ラミアも看板娘だ。二人はかなり目立っていた。




