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出発日。
その日は朝から晴天だ。朝食を食べて、二人はすぐに出発した。
二時間ほど歩いて、小休止をとる。
「これから魔物が多いエリアに入る。まだ先は長いから、なるべく戦闘は避けるぞ。体力を消耗しない方が良い。それでも、もし魔物と出会ってしまったら、俺が前で戦う。君は後ろでフォローだ。それから俺が危なくなったら逃げるんだ。俺は一人だったらどうにでも逃げる事が出来る。いいな?」
「ええ。」
なるべくカーディラスの負担にはなりたくない。ラミアは素直に頷いた。
魔物が多いエリア、と、カーディラスが言ったが、運が良いのか、あまり魔物には出会わなかった。カーディラスのカンで魔物の少なそうな方向を通り、気配を感じると隠れてやり過ごした。それでも数回は戦闘になったが、ほとんどカーディラスが一人で倒し、ラミアは訓練のために数回対峙しただけだった。
カーディラスが倒す魔物には上級に近いものもいたが、危なげなく倒していた。剣の腕はかなりのものなのだろう。
(凄い。カーディラスは本当に強いのね。)
夜は比較的安全そうな場所で野宿をする。それは岩の陰であったり、大きな木の根元であったり、池のほとりであったりした。ラミアとカーディラスはなるべく近くに寄り、どちらかが見張りをしつつ、順に休んだ。
二人が出会って二週間になる。カーディラスの優しさ、温かさ、強さに触れ、そして共にいる心地良さを知り、ラミアは彼に次第に惹かれていく気持ちを感じていた。
しかし、森を出た後、二人の進む道は別れるのだ。カーディラスは旅を続けなければならない。そしてその旅に、ラミアはきっと足手まといになる。ラミアは自覚した想いを、そっと心の奥にしまい込むのだった。




