はじめに
その国ではかつて、人間と竜が寄り添って暮らしていた。
人間よりずっと強靱な身体と魔力を持ち、300年という長い生命を持つ竜は、自らよりずっと短命で、その短い命を懸命に生きる人間を愛し、慈しんでいた。
また、竜の中でもより強い魔力を持つ『導きの竜』は、あふれ出る魔力によって石を魔石に変え、人間の生活を豊かにすることに寄与していた。
しかし、この国で人間が増えるにつれ、次第に竜の数が減っていった。それは、人間の病のせいであった。
もともと身体の丈夫な竜は、病気に対しても危機感が無く、何も対策をしなかったのだ。そして確かに、その時は竜に病の影響は無いように見えた。しかし、人間を介して伝わる様々な病は、着実に竜の身体を蝕んでいたのだ。
竜がそれに気づいた時には既に遅く、多くの竜が死んだ後だった。
そして、導きの竜も1頭のみとなっていた。
また、国が発展すると次第に欲を持つ人間が現れ、欲のために竜や魔石の力を欲するようになった。
それを悲しんだ竜達はその後、人間のもとを去り、自らの里をつくって移り住んだ。
これにより、人間と竜は別々の道を歩みだしたのだった。
これが、今より150年前のことである。
さらに、竜の里では10年前、最後の導きの竜の行方が知れなくなったという。
突然竜の里を飛び出し、そのまま戻って来なかったそうだ。
強靭な身体を持つ竜の中でも、魔力を持つ導きの竜。人間や他の種族はもとより、同じ竜相手でさえ、そうそう負けるはずは無い。
竜は人間の王にも捜索を依頼したが、いくら探そうとも、見つかる事は無かった。
以来、この国に導きの竜はいなくなった。
それでもしばらくは安定した日々が続いていたが、ここ数年、この国では、天災や魔物の増加等の異変が起こるようになっていた。
はじめての執筆作品です。拙いところがありますが、ご容赦ください。
また、ページにより、長さが違います。。。すみません・・・。
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