かつてのクラスメイトたちが悪魔の森に来ているようなのです
「それで……? あんた達は一体なんでこの悪魔の森に来たんだ?」
「学校の授業で来たんだよ」
授業で来たのか……。
「でも腑に落ちないな。悪魔の森の危険度は誰にだって分かる。生徒達の安全を確保できる場所じゃない。131回生の生徒と担任は来てるとして他に誰が来てるんだ?」
カムイやジャンは元131回生だ。
「は。俺たち131回生の実力ならなんの問題もねぇ。それにキュナイカ先生もいるんだ。最悪中部にまで行かなきゃなんとでもなる」
「……おかしいな。世間の認識だとここはもう十分中域なんだが。最新の地図だとここは前部になってるんだな」
「……っ知るかよ! キュナイカ先生の授業だ。きっと意図がある」
ちなみにキュナイカとは魔術のみが自慢の人の心のない人格破綻者だ。
純真無垢な子供をいいように操り弄び苦しめることを生きがいとしているクズ。ヤツを思い出したら嫌な気持ちになってきた。あーイライラする。
あ~~”キチゲ”解放したくなってきたな~。
真っ暗な洞窟にジャンの炎魔法の火の玉が浮かんでいる。
ジャンの顔から汗が滴り落ちる。
「変わろう」
俺はそういうと簡単な光魔法を使った。
少年二人の顔を火の玉より5倍くらい明るい白い光が照らす。
目が慣れるまで時間がかかったがこれで洞窟内を広く照らすことが出来た。
これなら洞窟内で一酸化炭素中毒になる心配もなくなった。
「おい……これ何階位魔法だ……?」
「ただの第一階位魔法だ」
「そうか……」
微妙な表情でジャンは俺を見る。
俺は可笑しくなった。ジャンはこの魔法を使えないしそもそも知らなかったようだ。
そして命の危険に晒されているという状況のくせに目の前の他人が自分より魔法が優れているかどうかを気にしている。
「……まぁそうやって生きてきたよな、俺たち」
ジャンはその他人事のような発言が気に触ったのか顔を顰め俺を睨みつけた。
まぁ実際他人事だし。もう同級生じゃあないしな。
俺は破顔し肩をすくめて両腕を挙げた。
その姿に毒気を抜かれたのかジャンは罵倒を投げてはこなかった。
代わりに何かに気を取られたようだ。
「お前、その手……」
「ん……ああ、これな」
流石に両腕を切り落とされたことはジャンも知っているのだろう。肘から先を魔術で補っているがこの腕は本物の腕ではない。
俺はもう既にない本物の腕を懐かしみ、偽物の腕を軽くさすった。
「お前……その魔法……禁忌魔法じゃないのか?」
そっちかよ。まぁここで同情なんかされたらそれこそわけわかめなのでそれでいいんだが。
ジャンの表情は非難というよりは難易度の高い魔法の発動に成功させたことを嫉妬しているものだった。
「ああ。思いっきり違法だ。で? どうする? 俺を捕らえるか?」
今の俺に勝てるか? 言外にそう伝える。
魔力を練り上げた。
俺の魔力を見たジャンは数歩たじろいだ。