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魔術師の国の身分格差と自己認識

 氷魔法

 雷魔法

 土魔法

 風魔法

 全ての属性魔法の第五階位を一つは習得した。


 第四階位魔法が一つ使えれば世の中じゃ充分天才扱いされる。

 第五の属性を複数使えるやつはさらに神話級になるほど。それはカムイ以外この世界には存在しないということ。


 重力魔法

 身体強化魔法

 5感強化魔法

 習得。


 その他属性魔法を応用した各種魔法習得。


 飛行魔法習得。


 魔法の習得速度が尋常ではない。これはいくらなんでもおかしいと思った。


 鬱蒼(うっそう)とした森の中で俺は瞑目(めいもく)する。想うのは女神の姿。


「あんた……とんでもないチート能力を俺にくれたんだな……」


 しかしそれはカムイの自分なんて本当は大したことがないという思い込みだった。


 魔力暴走と魔物との戦闘。アルジェント魔法学院の指導は合ってなく、独力の方が伸びる特性。


 そして悪魔の森は魔力スポットだ。カムイの魔力がこの土地と相性が良かった。


 女神がしたことはカムイの魔力回路を調整しただけだった。


 問題児と呼ばれる者は学校を去り優等生と呼ばれた者たちが跡形もなくなってようやくほっとしてその羽を伸ばすことができるのである。


  ◇


 ここで残念なお知らせがひとつあった。魔力暴走状態終了。

 俺は自身の性能を大幅に低下させた。


 だが一度覚えた魔法だ。

 総合魔力の底上げも連日の訓練で上がって行っている。

 さすが神の住む土地。

 修行も捗るぜ。


 目指すは最奥部。


「うーん。移動距離が伸びてきたな」


 快適さを求めるのが人間の情。

 野ざらしで暮らしてきたがこうして快適な我が家ができてしまえば野宿するより家の暖かいふかふかのベッドで寝たくなる。


 森の入口より少し進んだところに作ったマイホームである。

 連日の悪魔の森攻略でその行進距離はどんどん増えてきてより森の深くまできている。


「うーん。しょうがないな野宿だ」


 攻略の方が楽しいといえば楽しい。

 快適さも必要だけど人生には刺激も必要なのよね。


 進んでいくと超えられそうにない崖にぶつかった。

 迂回しようとしたがその崖はどこまでも続いていた。


「んん~??」


 おかしい。

 こちらは中心部に向かうのを迂回しているがいつまで立ってもこの崖の向こうに繋がる道がない。


「なんたることだ……」


 思わず口調がおかしくなってしまう。


 やがてちょろちょろと崖と崖に挟まれた谷のような地形が見受けられた。


 なんだか地底湖とかに繋がっていそうな崖下の洞窟が目の前にあった。


「うげぇー……」


 これ入んなきゃ行けないの?


 入口は狭く、中は真っ暗だ。さらに水の存在。もし中で挟まったらどうしようなどという懸念で体がゾクゾクする。


 と、


「ん?」


 近づいていくとそこには馬が八頭繋がれていた。

 誰かがここに来たのだ。

 そしてその誰かはこの洞窟に入っていった……?


 うーん。まさか俺の追っ手か?


 馬には上等な布が掛けられている。

 見るものに分かりやすいマークがそこにあった。

 白魔法教会のものだ。


 ドクンと心臓が高鳴る。

 因縁の相手、といったところか。


 洞窟内はやはりというか湿り気が多く、蝙蝠(こうもり)型のモンスターが多数蠢いており、バサバサーっと自分が通ると一気に逃げて行った。


 だが一際大きな蝙蝠(こうもり)が俺の膨大な魔力を狙ったのか俺に向かって突っ込んできた。


 炎魔法でそいつを叩き落とす。


「だが変だな? もはやこの蝙蝠と俺の力の差はもう分かるはずだろう」


 蝙蝠には魔力感知の特性がある。

 一定の力の差があるということは分かるはずなのに俺を襲ってきた。


 蝙蝠の様子を見ると恐慌状態に陥っていた。

 もしかすると先に入ったやつらから痛い目を合わされたのかもしれない。


 そうなるといかに弱肉強食とはいえ少し悪い気がしてくる。まぁモンスターは人間を見たら即座に襲ってくるやつが大半なんだが。


「お、おいっ! そこのお前! 助けろ! こっちちだ! 俺を助けろ!」


 男の声が洞窟内に響く。

 若い男の声だ。


「おい。大きな声を出すな。モンスターを呼び寄せたいのか?」


「うっ」


 男は息を呑んだ。


「お前? 救助の者か? さっさと俺を連れてけよ! ぐちぐち言うな!」


 なんだこいつと思ったところでその顔に覚えがあることに気がつく。


「ジャンか。こんなところで何をしているんだ?」


「あ、お前……」


 かつての同級生のジャンがそこにはいた。


「……奴隷か。よしっ。俺を運びだせ! 早く」


 ジャンはおそらく咎人の烙印を押された俺が奴隷になってると思い込んでいる。

 その勘違いを訂正するかどうか迷った。


「おいお前、回復魔法を使えよ!」


 見ればジャンは傷だらけでイケメンの顔が台無しになっている。上等な服もぼろぼろだ。

 第四階位魔法の最上位治癒術師の使う回復魔法まで使えるが自分の実力を見せるのは躊躇われた。

 下手に実力を見せると自分の指名手配度を上げるからだ。


「……いいや。回復魔法は俺は使えない」


「はぁー! お前みたいなゴミに期待した俺が馬鹿だったよ! こんな落ちこぼれと同じ学校にいたと思うと今すぐお前を殺してやりたいわ」


 罵倒と嘲笑をジャンはカムイに向ける。


 さっきからお前お前と連呼するところを見るに彼はカムイの名前すら覚えてないのだろう。

 うーん。さすがは格差社会。


「ポーション寄越せ! この偉大な白魔術師になる俺を死なせてみろ。お前はすぐにでも処刑だぞ。誰がお前の持ち主か分からんが俺の家が一言言うだけでお前はすぐに処刑台送りだ。はははは!」


「ポーションは持ってない」


 自分の回復魔法で補えるしな。


「はぁ? 使えないゴミがっ!」


 ジャンは大声を出して俺に殴りかかってきた。


 激昂して魔法もなにも使わないただのパンチなどカムイにとっては遅すぎる。


 うーん。こいつ自身はどうとでもなるけどやはりこいつは貴族だしな……なにかすると騎士団も白魔法教会も俺への警戒度上げるしな。


 はぁ~~まったくこんなやつ見つけなければよかった。


 俺は殴られた。


 流石に痛かったので俺は軽く煽ってやることにした。


「偉大なる白魔術師様はご自身の回復魔法で治療なされればいいのでは?」


 ピク、とジャンの端正な顔が冷徹に歪む。

 偉大なる白魔術師様を出会い頭に魔力探知したところによるともう魔力は枯渇していた。


 魔力無しのこいつなんて1分で100回は殺せそうだった。


 さっきまで怒りで顔を歪めていたがジャンはニヤァと愉悦の表情を浮かべた。


「お前……楽に死ねると思うなよ。ならずものどもにお前を犯させて拷問の果てにお前が殺してくれと懇願するようになるまでいたぶってやる」


 草。


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