人界から離れて魔物と闘い強くなります
魔力暴走状態の俺は体から不吉な黒い蒸気のようなものが吹き出ている。
この状態ならば一番魔力消費が少ない魔法を一日200回は使えるが、あまり長くこの状態で居続けると暴走状態が終了した時にものすごい弱体化が予想される。
「早めに魔力量を増やさないとやばいな」
次の魔物はクローリクレオパルドの成体だ。
一匹でうろついているので絶好のチャンスだ。
カンガルーのような足に犬型の頭部。赤い目が神経質そうに周囲を見ている。
「《ダークエッジ》」
黒い刃をクローリクレオパルドに向かって放つ。
「ギャオッ!!」
が、しかし獲物はその独特な足で俊敏な動きで跳ねるようにして黒い刃を避けた。
「ガルルルルルルルゥ!!」
明確な威嚇行動。
俺はクローリクレオパルドと対峙する。
自分の体の三倍はデカい。
「《ランクアップ》」
まともにやれば一気に距離を詰められ、遠距離魔法を使うことも出来ず死亡だろう。
現にクローリクレオパルドは俺に対して一気に距離を詰めた。
重量感のある足音を立て俺に迫る。
そして俺の肩を俺を吹っ飛ばす勢いで噛み付いた。
だが、俺が倒れることはなかった。
事前に使っておいた《ランクアップ》は身体能力を10倍に上げる魔法なのだ。
俺の命を奪い去ろうとするクローリクレオパルドのあぎとを両腕で止める。
「《手が足りない?──猫の手でも借りたい──》」
発動するのは第三階位黒魔法。
呪文を詠唱し、地面から黒い腕が何本も生えた。その腕で巨体を貫く。
「だいぶ魔力を使っちまったな……お前の魔力をもらうぜ」
ここからは魔法を使う→魔物を倒して魔力総量を増やす→魔法を使う。をループして魔法の実地訓練しつつ自分自身を強くしていく。
時間が無いのでせっかく倒した魔物の魔石やら牙や爪を初めとする希少部位はそこに放置していくしかない。余裕が出てきたらそれらを回収しよう。
今のところは魔力暴走無しで使える魔法のレベルを上げていくことが短期目標だ。