《天罰術式》解呪
アイセア院長からもらった呪い返しのネックレスがどす黒く染まり、砕け散った。
俺とルミナは解呪に入る。
メトが俺を見守っている。
ルミナというプロの解呪師が的確に治療してくれる。
ルミナもガチガチに対呪いアイテムを装備してきた。
「行くよ。何としても治してみせる。カムイが、いや誰だって人から嫌われ続ける呪いなんてかけられて良いはずがないんだ」
杖を俺の方に向け、左手も俺にかざすルミナ。
呪文を唱えている。
呪文の詠唱は戦闘でもないのですごくゆっくり、丁寧、確実なものだ。
白魔法は呪文の詠唱を聞くと白さを感じる。
黒魔法は詠唱を聞けば黒いと感じる。
音に色が付随して感じると言う人がいるが、そういう特殊な人じゃなくても全ての人が魔法の詠唱には色を想起させる何かがある。
前世の知識がある俺には不思議なことだが、この世界の人にとっては当たり前のことなので疑問も抱いていない。
彼女に取り憑いている女神がルミナの解呪の能力を大幅に底上げしてくれているはずだ。
「す、すごく速く解呪が進んでる!? なんで!?ボクの腕前じゃこんな事ありえないのに!?」
「どうでしょうか? どれくらいで解呪できますか?」
メトがルミナに聞く。
「これなら多分……三週間で完全解呪……!」
女神が言った通りの期間だ。
「スゴい!! スゴいよ!! 本当に良かった!! この《悪い呪い》はずいぶんとタチが悪いもの」
ルミナは泣いて喜んだ。
「ありがとうございますルミナ様!! また一つ事を成されましたねご主人様!!」
「ありがとうルミナ。メトもさんきゅ」
「完全解呪の後もボクが経過を診るよ。完全解呪さえできてしまえば見習いが一人観るだけで大丈夫だから」
三週間後俺にかかっていた天罰術式はほぼ完全に解呪された。
これで意味もなく人に嫌われ憎まれることはなくなった。
俺を苦しめてきた呪いが解かれたのだ。




