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酒盛り

 

 あたりはすっかり夜の(とばり)が下りている。

 作戦会議が終わり、各々はテントで休みをとっている。


 俺は500mぐらい離れたところで沈黙し続ける黒色の飛龍を見ていた。


「だめだ……眠れねぇ。見ろよ。あの強そうな姿。今は大人しくしているけどよ。一度暴れだしたら誰も手が付けられなかった」


 明日の戦いの俺の護衛の青年戦士たちが俺に話しかけてくる。

 戦士たちはすごく怯えていた。

 後方のEランク魔術師の護衛だから彼らの実力派高くない。


「もう十分ポジションと状況別の行動について話したけどもう一度……」


 戦士は不安そうでもう十分詰めた明日の戦いについて話したいみたいだ。


「のうお主ら」

「ア、アルファンデル様!」


 いつの間にか近づいてきていたアルファンデルが俺たちに話しかける。

 戦士たちは、ははーっ、守り神様。とかしづく。


「お主ら酒に付き合ってくれんかの」


「あ、明日は大事な戦いです。それに今にもあの結界を破って襲ってくるかもしれないのにお酒なんか飲めないですから、その時酔って前後不覚のまま死にたくないです……」


 青年戦士は断る。だがその言葉は全て建前で本音はアルファンデルが怖いらしい。


「戦いで死ぬかもしれんのだ。これが酒を飲まずしてやってられんわい。な~に。ちょっとくらい平気だ」


 語るアルファンデルはどこかヤケクソだ。


「すいません。無理です」

「お主は?」

「無理です。休みたいので……」

「じゃあお主は?」

「勘弁してください」


 戦士たちはみんな断った。


「そこをなんとかのう」


 アルファンデルはしつこく食い下がる。

 いやいやな空気を読み取れないアルハラ上司やんけ。


「メイナードもナーディもオーガストもみんな断りおった。お主等もか」


 しょんぼり幼女。なんか泣きそうになってる。

 俺たちは泣きそうな幼女を前に顔を見合わせた。

 さりとて全員圧倒的強さを誇るアルファンデルを化け物と認識しているようで、頑なに断っている。

 しょうがない。


「はぁ……俺付き合いますよ」

「い、いいのか? おおっそうかっ。やはりお主は優しいなっわーい」


 両手を万歳して喜ぶ幼女。


「悪いなお前だけ……」

「ありがとな」

「ありがとう……き、機嫌を損ねて殺されないようにな。気をつけろよ」

 戦士たちは三者三葉に俺にそう言って逃げていく。


 腰を落ち着けて俺とアルファンデルは酒をあおり始めた。


 北欧の人間みたいな見た目の美少女がお酒飲んでる。

 絵面が犯罪的だ。日本人の感覚だなこれは。


「死にとうない! 死にとうないいいい!!」


 しかし、飲み方は酷い。明日絶対に自分が死ぬ魔法を使う可能性が高いという現実から逃避するように酒を飲んでいる。

 いやぁ~親近感湧くなぁ。


「そこにいるのは神と呼ばれる気高い魔物の頂点の存在ではなく、自らの命を慈しみ惜しむ一匹の生き物の姿であった」


「ばかばかばかばかぁっ!! なんでそんな酷いこと言うんじゃ! 」


 ぽかぽかと叩かれる。


「いてて。すいませんすいません」


 ロリの涙目ごちそうさまです。お手手の感触がやわっこくて心地よい。

 俺は魔法で炭酸を注入した甲類焼酎。つまりチューハイの瓶を取り出した。


「ふんっ。もうお主のことなんか知らないっ」

「もーおこりんぼなんだから。お詫びにこれあげます。まだ試作段階ですが美味しいはずです」

「お酒か? ありがとうな」


 ストロン〇ゼロを差し出す。

 アルファンデルは迷いなくごきゅごきゅと飲む。そしてぶふぅっと吹きこぼす。

 ごほごほ咳き込んでいる。


「初めて炭酸飲むとそうなるんだなぁ~」


「な、なんだこれはっ。ん……?しかし、これはなかなかどうして……しゅわしゅわじゃ! 美味しい。このしゅわしゅわいいのう」


 炭酸を始めて飲んでちゅーっと少しづつ飲むアルファンデル。


「どんどん進むっ。すいすい飲めるっ。……幸せだ~」


 アルファンデルの明日の恐怖を和らげられたようだ。

 顔が弛緩(しかん)している。

 ちっちゃな口は半開き。宝石のような瞳は焦点を結んでいない。


「そうでしょう。美味いでしょう」


 異世界の酒は穀物臭い。それと違い俺特製ストロング〇ロは味にクリアさがある。


 俺も飲む。

 強炭酸が美味い。


 たき火の揺らめきがロリを下から照らす。

 赤髪が火に照らされて黒髪に見える。


 お尻をついて無防備に足を開いているせいでパンツが見えてしまっている。

 水色と白のストライプ柄のものだ。


「お主って酒に付き合ってくれるし美味しい酒もくれるしいいやつだなっ」


 パアアと顔を綻ばせて、酔いで頬を染め、アルファンデルは俺を見つめて言う。


 さらに俺が気に入ったのか、今度は俺のすぐ側、隣に座った。

 着物が膨らんで、素肌が見える。

 未発達な可愛らしい胸まで見えてしまっている。


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