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元奴隷少女と戦利品

 

 翌日。気持ちの良い朝。二日酔いで痛い頭。

 朝起きると俺は手に柔らかい感触を感じた。


 それは豊かに膨らんだ双丘だった。

 推定F。


 どうでもいいけど胸のカップ数って異世界にありがちなアルファベットの階級っぽくてなんかかっこいいよね。


「G級が解放される日も近い……か」


 キークエストはどれだろう。

 成長したその先を思いつつ揉み揉みとその部位を堪能し続ける。この子ブラしてない。


「んん………」


 色っぽさ半分可愛さ半分の少女の寝息が漏れる。

 眉毛も薄く白い。

 前髪を触ってみた。


 額には魔族の証である角があった。

 それ以外は普通の人間となんら変わりがないのに、今までそれだけで大変な差別を受けてきたのだろう。


「おはようございますご主人様。うう……頭いたい……ご主人様は平気ですか?」


 前髪を触っているとメトが覚醒した。


「ああ、おはようメト」


 そう言うとメトは何故かとても嬉しそうに猫がはにかむみたいに目を細めて口元を緩めた。誰かにおはようと言ってもらうだけで嬉しいらしい。


「ご主人様は今朝もとても凛々しいですね」


 うっ……目頭がっ。


「おはようございます。ラタトスク様」


 魔獣の中でもかなりの強さを誇るラタトスクは小娘が。程度にしか思っていないだろう。

 今も挨拶を無視した。


「ラタトスク。彼女とも仲良くしてやってくれよ」


 俺がそう言うとラタトスクは主である俺の言うことを聞き、


「グア」


 とメトの方を見て挨拶するように鳴いた。

 しかし判断基準が強さでしかないラタトスクはメトをまだ格上としては見ないだろう。

 メトはとても恐縮していた。


 昨日の宴会の料理を二人で片付けようとしたら、メトが


「このくらいお任せ下さい! ちょちょいのちょいですよ!」


 とものすごく素早く片付けをしてくれた。メイドの極意の何たるかを知ってそう。

 その上朝食の準備とラタトスク用の朝食も用意してくれた。

 できるメイドはそのすばやさのあまり三人いるかと錯覚するとかなんとか。イギリスの執事とかそうらしい。


「ありがとうメト」


 終わったメトにそう言って頭を撫でると


「光栄です。ご主人様!」


 と嬉しそうに微笑んだ。


「さてこれからだが」


 朝食を取りながら、これからの予定について話す。

 メトは真剣に話を聞いている。

 傾聴って感じだ。


「その前に、メト。お前はせっかく自由になったんだ。家族に会いたくはないのか?」


「母は既に他界してます。父はメトが誘拐された時に誘拐した人と金銭のやりとりをしていたんだと今は思います。家族には会いたくありません。ご主人様に恩返しがしたいと考えています。ご主人様のやりたいことを優先していただければ」


「そうか……」


 酷すぎ魔閃光。朝日が綺麗だ。


「うーん。迷いどこなんだよな。悪魔の森を最後まで攻略したいが、天罰術式を解除もしたい。あとは少しづつ悠人教の連中の情報も集めたい」


 俺は地図を広げる。


「エルファ領っていうアーレム王国国境沿いの領土があるだろ? ここの解呪の里って治癒術師が集まる里があるんだよ。

 ここで天罰術式を解除してもらおうと思ってる」


「なるほど。それでは一旦悪魔の森攻略は後回しに?」


「ああ。とは言っても解呪の里は悪魔の森に隣接している。

 今回は悪魔の森に東から入ったが、次は東からの一からの攻略になるけど1回やった分ある程度は分かってきた。天罰術式の解除は最短で1ヶ月はかかりそうだから、森攻略も同時に行う」


 森を出る前にここら辺で手に入る希少な物を集めて行くことにした。

 解呪の里での治療費稼ぎと生活費稼ぎだ。


 俺の頭に各素材の高価買取リストは入っていた。

 今日から三日間ほどは強い相手ではなく、高価な素材を入手できる魔物を選んで狩っていくことにした。


 メトは戦力的に今回は拠点待機だ。


「暇だったら俺が持ってきた黒魔法の本でも読んでおくといいよ。

 メトは見た感じけっこう黒魔法の才能があるっぽかったが、それは解呪の里までの旅路で教えることにするよ」


「メトに黒魔法の才能が……ふふ。ありがとうございますご主人様」


「多分お世辞だと思ってる? でもけっこう良い線行ってるんだぜ」


「そうなんですか??……ところでご主人様、昼食は何がいいですか?」


「作ってくれんの? んーじゃあ肉料理大丈夫?」


「はいメトが作れる最高の料理を作りたいと思います! ご主人様のことですから心配などかえって失礼かもしれませんがお気をつけて行ってらっしゃいませ!」


 何このメイド感。いや、一番近い表現するなら舎弟って感じだ。

 アニキ! パン買ってきました! みたいな。


 森の中を駆けつつ俺はポケットからある物を取り出した。

 虹色の宝石がついたブレスレット。

 これは充魔石(じゅうませき)と呼ばれるもので、魔力を蓄えておけるアイテムだ。


 先の戦いでキュナイカが使った物だがなんとやつは落としていったのだ。


 とても便利なものでカムイは今朝、自分の魔力が完全回復したのでさっそく魔力をこの宝石に貯めていっている。


 この充魔石(じゅうませき)はかなり質の高いものでカムイ1人分の魔力を貯めておけるぐらいの容量だった。


 これで魔力が足りなくて使えなかった魔法が使える。

 戦闘時の魔力補給にもなる。


 これは換金するつもりはないが相当に値が張るものだ。

 いかに高給取りの白魔法学院教員だろうと何十年ものローンを組むレベルに高い。

 キュナイカがこの先この充魔石(じゅうませき)のためにローンを払い続けると思うと最高の気分だった。

 昼ご飯を食べに戻ったあとはもう一度採集に戻った。


 夕方に家に戻る。

 魔物避けの結界という手もあったがやはりそれよりもラタトスクに守らせておいた方より安全だった。

 ここら辺の魔物結界とかけっこう簡単に破れるやついるし。


「ご主人様~~!」


 メトは風呂と夕飯を用意していた。


 数々の収集品を倉庫に一緒にしまった後、風呂に入った。


 その後食べた料理は美味しかった。メトが料理上手なこともあるし、誰かと一緒に食卓を囲むということに幸せを感じられた。

 談笑しながら一緒に食べるご飯最高。


「ご主人様が備蓄してた食材全部高級食材ばかりですね。とても料理のしがいがありましたよ」


 その日は心地よい疲労感とともにすやすやと眠りに落ちた。

 翌日起きるとすごい久々にぐっすりと寝たようで寝覚めがものすごく気持ち良かった。

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