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【天罰魔法】

「有り得ねぇ有り得ねぇ有り得ねぇ!」


 顔をくしゃくしゃにして取り乱すジャン。


「お前にはそんな魔力はなかったはずだ!」


 すげー地団駄踏んでる……。


 プライドをかなぐり捨ててジャンが叫ぶほど驚いたようだった。


「てめぇの魔力量は前はそんなになかったはずだ。お前ごときにそこまでの魔力があるわけがねぇんだよ!」


「ん……まぁ運が良かったってところかな」


「でたらめだ! 俺を煙にまこうとするな! 舐めてんのか? おおっ!? てめぇごときが俺に嘘をつくのか? ああ? 落ちこぼれの奴隷がよ? やっぱり両腕を切り落とされて烙印を押されたぐらいじゃすまねぇようだな。お前の家族がどうなるかわかってるか?」


 家族か……俺家族にも見捨てられてるんだよね……。

 まぁ? この国から犯罪者の烙印を押されてるし?

 あー……なんか悲しくなってきた。


「そうか……お前ムカつくしぶっ殺していいか?」


「ああ!? やれるもんならやって───」


 ジャンが最後まで言い終えることは無かった。


 俺の魔法の黒い腕が恐ろしい速さで地面から伸び、ジャンの顎をアッパーで撃ち抜いた。

 ジャンは人間が殴られて吹っ飛ぶ常識の範囲を大きく超えた距離を舞った。

 それほどの威力だった。

ジャンの端正な顔がグチャグチャになり、上の歯と下の歯がほとんど抜けるまで殴った。


「……ふー」


 顎が外れ鼻血を出して気絶するジャンを見下ろして俺は自分を落ち着かせるように息を吐いた。


 俺はジャンの無様な様子をやや眺めて思案した。それから少々長い呪文を唱えた。

第四階位魔法の催眠魔法。

俺に会ったことだけを忘れてもらう。魔物にやられたとでも思わせる。俺の家族に危害を加えかねなかったしな。


 そして黒魔法第三階位魔法を唱える。

 地面から湧き出てくるのは一体の使い魔だ。

 膝下ぐらいの全長の立つヒトデのような使い魔だ。二足歩行をしている。

 五角形の頭の部分にハチマキを巻いた使い魔はカムイの命令を待っていた。


「よし。彼を洞窟の入口の馬がいるところまで運んでくれ。ここに放置しておいたら魔物に食われちまうだろうからな。そうした方が確実なんだが」


殺しを実行できない弱さが俺にはあった。


『ふぁふぁふぁふぁ!』


 片手? を上げて忠実な兵士のように返事をした使い魔はジャンの背中を持ち上げとてとてとてとて!! と勢いよく引きずって行った。


「……使い魔はかわいいなぁ。それに比べてなんと人間の醜いことよ」


 俺は嘆くよ。


  ◇


 カムイは現在白魔法教会から【天罰魔法】というものをかけられている。

 それを彼は知らない。

 それは会う人全てに嫌悪感を抱かれ、嫌悪感は徐々に徐々に強くなっていきやがて殺意に代わるというものだ。

 


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