1/21
【プロローグ】
「国王様! 無事生まれた様です!」
静かな王宮の廊下に声が響く。
「何?! 男か?」
「いえ……女子で御座います」
「所詮は奴の子、やはり呪われておったか……」
「国王……様…? 今、何と……」
「子供は牢獄にでも閉じ込めておけ。――いいな?」
そうして生まれたのがわたしだった。暗い部屋、差し込むのは一筋の光だけ。
流石悪魔信仰の国の王、愛情は疎か、わたしが生きていては迷惑だ、とでも言うのかしら。
未だに親の顔も見た事はない。
――こんな暗闇はもう沢山。
お願い、誰かわたしを攫って、まだ見た事の無い外の景色を見せて……。