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魔王アマーリエのことを、皆に知ってもらいます

 集まったメンバーから一斉に視線を向けられて、ちょっと対応に困った様子のマーレさんがこちらを向く。


「ライ様。あのー、一体これはどういう状況なのでしょうか?」

「ここにいる人達は、そこの……ええ、彼です。リヒャルトが罪を犯したということで、断罪しているメンバーなのです」

「そちらの男性、ですか」


 マーレさんがリヒャルトの方を向く。リヒャルトは……目が合うとすぐにこちらを向いた。


「お、おい、ライ、今魔王って……」

「ああ、その魔王だ。僕が呼んできてもらった。これからリヒャルトがやったことを話すから、リヒャルトの運命は魔王様次第だ。覚悟しておけよ」


 ちょっと脅かす。ちょっと……じゃなかったかな。リヒャルトは露骨に震え上がっていた。こういうリヒャルトを見るのは始めてだから新鮮だ、不謹慎と思いつつも溜飲が下がる。

 集まった令嬢たちもかなり恐怖している……っていうか、特にシモンヌら辺りは魔人族が人類悪であるということを訂正していないんだった。

 そんな中で、突然レノヴァ城の監視を突き抜けて魔王が出現したのだ。震え上がってしまうのも無理はない。


「……リンデのいないうち……」


 ぼそりと何か呟き声が聞こえたと思うと、クラーラさんが僕の隣にいた。


「えっと、クラーラさん?」

「……おきになさらず……」

「はあ……。っとそうだ、マーレさんを連れてきてくれてありがとうございました」

「……どういたしまして……。……急いで来た……間に合った……?」

「はい、ここまで早いとは思わず助かりました」


 本当に、早かった。リンデさんとレオンをセットにした上で村まで走ってもらったけど、そのままレオンに強化魔法を使ってもらったクラーラさんが、マーレさんを掴んでやってくるというところまでは予想していた。

 予想していたけど……馬車で一日揺られて辿り着くはずなのだ。多分、リンデさんの走った時間も短いけど、クラーラさんはそれこそ一瞬で飛んできたんだろう。


 クラーラさんは僕の発言を受けて、満足そうに「……んふ……」と自慢げな顔をすると、軽く腕を組む要領で僕にくっついた。

 ……なんだか、クラーラさん距離が近いですね?

 どうにも居たたまれなくて目を彷徨わせると、姉貴と目が合った。姉貴は……何ともいえない三白眼でこちらを見ている……。


「……あの子も落としたわけ?」


 今、何か喋ったか? よく聞こえなかったけど……まずはこの状況を整理しなければ。

 マーレさんに向き直る。……クラーラさんにしがみつかれて、ちょっと不格好だけど。


「突然のお呼び出しをして申し訳ありません。彼を断罪するにあたって、マーレさんと認識の擦り合わせが必ず必要だと思いましたから」

「……ふむ……。ライ様が、私の助けを必要としているとリンデから聞いていましたが、つまるところそれは『魔人族の代表として、魔人王国女王として』の判断を仰ぎたいと」

「理解が早くて助かります」


 マーレさんは……少し厳しい顔でリヒャルトを見て、姉貴を見て……そして再び僕に向き直った。


「分かりました。先に集まった他の方の説明をいただいてもよろしいですか?」

「はい。まずそちらにいらっしゃるのが、マクシミリアン・レノヴァ様。ここレノヴァ公国の主となる人ですね」


 マーレさんは目を見開いて驚くと、マクシミリアン様に振り向いた。そこで姉貴が口を挟む。


「あー、マクシおじさまは良い人よ。ビスマルク十二世とかいうデブとは違って、ちゃんと尊敬に値する人だとあたしは思うわ」

「そ、そうなんだ。分かった、ミアがそう言うなら信じるよ。……初めまして、マクシミリアン・レノヴァ様。魔人王国の女王を務めさせていただいております、アマーリエと申します。公爵様にはご機嫌麗しく……」


 マクシミリアン様を見ながらスカートを摘んで貴族の礼をして、軽く頭を下げた。堂に入ったというか、青い以外は人間のお姫様そのものともいえるマーレさんの礼を見て、マクシミリアン様は目を見開いた。

 令嬢達も皆、目を見合わせている。


「……ご、ご挨拶ありがとうございます、儂がマクシミリアン・レノヴァです。アマーリエ様、この地へ遠路遙々(えんろはるばる)ようこそおいでいただきました」

「はい、ありがとうございます。それでは早速ですが……どういった判断が必要なのでしょうか。解説はどなたがしてくれるのですか?」


 マクシミリアン様は、僕を見て「お願いできますかな」と言った。

 そう……だな、マーレさんを知らずにいきなり会話するのは難しいだろうし、状況を最初から通して知っているのは僕たちだ。

 姉貴にもアイコンタクトを取って、僕はマーレさんに話し始めた。


 まず、ここレノヴァ公国でも最近魔人族というものがデーモンとは違うという話が一旦流れたこと。

 そして次に……魔人族も含めて、肌の青い魔族が人類と敵対関係にあると言いふらされていたことを伝えた。

 クラーラさんは隣で「……む……」と小さく呟いたけど、マーレさんは淡々と頷くのみ。これは少し意外だった。


「……あまり、嫌そうな顔をしないですね?」

「まさか、嫌ですよ。でもそれって、今までの魔人族の扱いと大して変わりませんよね? むしろ教会の教えを守るという意味では真面目な方だと思うのですが。人間のために彼がそういう判断をしたというのなら、批難するほどではないのでは?」

「それはそうなんですが……いいんですか?」

「いいか悪いかで言ったら悪いですが、別にいいかと言われると、それを理由に人間を責めたりはしないですよ」


 その回答に僕を含めた一同が驚き、何か言おうとする前に……マーレさんが腕を組んで、珍しく眉間に皺を寄せて僕の方を見た。


「まさかと思いますが、ライ様ともあろう方が、そこの男性を断罪する理由が『私の機嫌を損ねそうだったから』なんて言わないですよね?」

「ええっと、そのつもりです」

「……魔人族のために気を揉んでくれるのは嬉しいですが、魔人族のために人間の命を左右するような罪を着せるなどあってはならないです。ライ様が本気でそのつもりなら、リンデをそばに置くことを考え直さなくてはいけません」


 僕はマーレさんのハッキリとした回答を受けて、目を閉じた。

 ……そう、だよな。そうだよなやっぱり。マーレさんは、こういう人だ。

 自分の心の中にあった黒いものが、少しずつ消されていく。僕は、マーレさんの後ろにいる姉貴が、露骨に安心した表情をしているのを視界に納めて、ふっと笑った。


「……ライ様?」

「ありがとうございます、マーレさん。やっぱりあなたはとても素晴らしく、それでいて(君主として)魅力的な方です。(リンデさんや他の魔人族の)誰もが好きになるのも分かりますね」

「え、ええっ!?」


 急に素っ頓狂な声を上げて、おっかなびっくり固まるマーレさん。そんなに驚く発言じゃなかったと思うけど……あと姉貴は眉間を指で押さえて溜息をついている。ころころ反応変わってるな姉貴。

 それよりも先に、もう一方で驚いている二人へと伝えることがある。


「聞いての通りです、マクシミリアン様、ヴィクトル様。僕個人としてもリヒャルトを断罪しなければならないと思っていましたが、魔王自ら魔族のために人間を捌いては駄目だと言われてしまいました。そういうわけですから、リヒャルトを断罪できません。僕もリンデさんと離れたくないですから」


 僕は、リンデさんとさすがにお互いのことを意識している自覚はある。だけど、魔王であるマーレさんから強い口調で離れるように言われたとすると……僕の所に残ってくれる確率は五分五分か、それ以下というところだ。

 マーレさん自身もさっきのは本気で言ったとは思えないけど、それでもちょっと、心臓が締め付けられるような痛みを感じるぐらいにはきつい。

 もう二度とこの賭けはしないと決めた。


 僕が一旦言うべき事を言い終えると、今度はマクシミリアン様がマーレさんと会話を続けた。


「い、いいのですか!? 彼は魔人王国のことを悪く言いふらす活動をしていたのですぞ」

「はあ。そういう活動をされるのは悲しいことですが……。それでその活動をした彼に、あなたたちレノヴァ公国の人間は何の問題があるのですか?」

「……あ、あの、アマーリエ様。我々のレノヴァ公国が魔人王国の者に敵対感情を持つと、レノヴァ公国に対して危険が及ぶのではないかという認識が……」

「ですから、どうしてレノヴァ公国の者が危険になるのですか?」


 マーレさんは、心底不思議そうに首を傾げる。


「……ですから、魔人族が、その……レノヴァ公国のものと敵対関係になると、戦いで怪我をする者も」

「勇者が相手ならともかく、普通の人間に魔人族が後れを取ることはそうそうないと思います。それに、レノヴァ公国のものが魔人族を嫌っていても、魔人族が人間を襲うことはないですよ」

「あなたは、女王としてそれでいいのですか……!? 自分たちの国民を、危険に晒すと――――」

「――――構いません!」


 ハッキリと。

 マクシミリアン様の発言を切るようにハッキリと、マーレさんは言った。


「私は、人間と魔人族の友好関係をずっと願ってきました。今ようやくここまで来られたのです、その友好にヒビが入るようなことをこちらから行うようなことは絶対に避けたい、私はそう思います」

「あ、あなたは随分と、自分の国の国民に負担を強いるのですな……」

「マクシミリアン様。貴方も貴族なら、『ノブリス・オブリージュ』という言葉をご存じですよね」


 急にそのことを振られて、マクシミリアン様は驚きつつも頷く。

 ――――ノブレス・オブリージュ。ここレノヴァ公国で生まれた言葉で、『高貴さは強制する』という意味だ。権力あるもの、その立場の者は、それを持たない者に対してそれに見合った振る舞いをする義務があるという意味だ。

 しかし、何故今この話を……?


「身分の高い者は、ある程度の贅沢を許されますし、平民に対して傲慢に振る舞っても許される部分があります。しかし、優雅たるものとしてそのような振る舞い、自制をしなければいけませんね」

「ええ……」

「……それでも最終的に、ものを言うのは力である場合が多いです。あなたが公国の頂点であったとしても、知らない者にとっては平民と変わらない。その場合に命運を分けるのは力です」

「…………」

「それらを全て考慮すると、ふと思ったのです。最初から力を持って生まれた我々魔人族は、それに相応しい振る舞いをしなければならないのではないかと」


 マーレさんの言っていることが、僕はすぐに分かった。それが、途方もなく高潔な考えであるということに。

 リンデさんに対して言っていたことも、恐らくこのマーレさんの考えを基準としている部分が大きいのだろう。

 マクシミリアン様も、ヴィクトル様も、すぐに理解している様子だった。


「力を持つ全ての魔人族は、人間に対してその種族の力を振る舞ってはいけない……私はそう教えています。自分たちの種族に負担を強いることになりますが、私の人間との友好関係を示す上で、皆に理解してもらって……そして全員に賛同してもらっている理念です。私はそんな素晴らしい国民に慕われた、恵まれた女王としての振る舞いを心がけているのです」

「……なるほど……あなたのノブレス・オブリージュは、二つあるのですね」

「はい」


 すぐに理解してもらえたことに対して、嬉しそうに微笑むマーレさん。

 その寛大な処置には後ろで話を聞いていた政務担当ヴィクトル様も、もちろん悪人だと思い込んでいた令嬢たちも驚いていた。


「……ということは、儂が思うに、あなたたちはレノヴァ公国が全員魔人族に対して攻撃をしたとしても、魔人族は反撃してくることはないと、そう言いたいのですな」

「はい、そういうことです」

「し、しかし! もし友好関係だったら助けてもらえるような場面にあったとしても、敵対感情があれば協力を得られる場面で協力してもらえないこともあるのではないですかな!?」

「……ん? 助けてもらえないって……何故そうなるのですか?」


 マーレさんは、再び首を傾げた。その発言は意外だったようで、マクシミリアン様は今の疑問を呈した発言を理解していないようだった。

 でも……魔人王国の女王アマーリエを知っている僕には、マーレさんの考えが分かる。今度は姉貴も、分かっているようだった。口角を上げてマーレの方を見ている。そんな姉貴の方をマーレさんが振り向いて、聞いた。


「ミアはさ、レノヴァ公国がピンチになったら助けに行くでしょ?」

「あったりまえっしょ。でっかい魔物とか全部ミアちゃんの臨時収入にするわ」

「だったら私も部下に手伝わせるよ。広い範囲を護るのって一人じゃ大変だろうし」

「おっ、分かってるわね! そーなのよ守護任務ってめんどっちくてねー」


 その会話を聞いて、真っ先に驚いたのはヴィクトル様だ。


「今の話の流れで、レノヴァ公国を護るために魔人族の戦力を出すのですか?」

「当然です。もしも、どうしても戦いの経験を兵士に積ませたいということなら危険な場面でも下がらせますが……」

「友好関係にある国以外から支援など、普通は有り得ないでしょう。ましてや明確に敵意があるような国では……」

「……そう、ですね。でも私はします」


 そしてマーレさんは、最後にはっきりと宣言をした。


「あなたたちが我々を攻撃しても、我々はあなたたちを攻撃しません。

 あなたたちが我々を助けなくても、我々はあなたたちを助けます。

 あなたたちが我々を嫌っていようとも、我々はあなたたちを助けます。

 何度でも、助けます。

 いつまでも、助けます。

 魔人族が生き残り続けている限り、人間を助け続けるつもりです。

 それが……私個人の我が侭でもありますが、私が人間の友好関係のために考えている方針です。これは私が女王である限り、取り下げるつもりはありません。もしも私の方針に反対する者がいた場合はクーデターが起こるでしょうが、その時は迷いなく退陣するつもりです。ですが……この方針に反対する魔人族はいないと、私は信じております」


 ……僕は、マーレさんを信頼していた。

 信頼していたから、呼んできてもらった。

 確かに信頼していたけど……ここまでハッキリと言ってくれるとは思わなかった。


 ――――やっぱりこの方は、すごい。


 マクシミリアン様は、すっかり力が抜けた様子で椅子にずるずるともたれかかった。ヴィクトル様がその様子を見て、少し自嘲気味に笑う。


「完全に、負けましたね」

「……ヴィクトル?」

「マクシミリアン様。私はあなたの部下ではありますが、不遜を承知で申し上げると……この女王様相手では、王としての器が違います。マクシミリアン様に限らず、これほどの器に敵うものなど人類側にはいないでしょう」


 ヴィクトル様の思い切った発言にマクシミリアン様は目を見開くと、やがて肩を揺らして笑い出した。


「ははは……ああそうだな! 全く、勝てるわけないではないか。種族としての能力はもちろん、トップがここまでの器では議論を重ねることすら無駄だ。これでは魔人族を警戒すればするほど我々が道化になってしまう、自らの器の小ささを晒すだけになろうものよ」


 マクシミリアン様は天井を仰ぐ。執務室の天井には控えめであるが簡単な壁画が描かれていた。

 羽を生やした女性……女神ハイリアルマの簡素なシルエットだ。魔人族を悪と断じた、人類の味方であろうはずの女神。

 その姿を視界に納めた後、目を閉じると振り払うように首を振った。


「……まったく、これが魔王か。ここまで王としての器が違いすぎると、自分が嫌になるな……」

「あ、あの、マクシミリアン様……」

「おおっ、すまぬすまぬ、別にアマーリエ様を責めているわけではないですよ」


 少し不安そうな顔をしていたマーレさんを見て、マクシミリアン様が慌てて手を振って立ち上がる。

 立ち上がったマクシミリアン様は、マーレさんへと歩いていく。近づいてくる公国のトップに、マーレさんも少し緊張気味に姿勢を正した。


「今回の件、大目に見ていただけるというのなら……儂自らの願いとして、どうかレノヴァ公国と友好関係を結んでくださらないか」

「……! よ、よろしいのですか!」

「おや、あれだけ話しておいていざこちらから歩み寄ると、そこまで及び腰になってしまうものなのですかな? まったく……こんな控えめな女性が魔王とはね」


 マクシミリアン様は片手を出す。


「……儂はミア様を信頼していてね、そのミア様が信頼しているであろうあなたを信頼しないなど、有り得ないことなのですよ」

「あ、ありがとうございます……! 我ら魔人王国の者にも、マクシミリアン様のこととレノヴァ公国のこと、必ずお伝えいたします!」


 その手を見てマーレさんが立ち上がり、二人はしっかりと手を握った。

 マーレさんは、マクシミリアン様の顔を見た後に自身の握られている手を見て、大切なものを見るような目で優しく微笑んだ。




 ……よし、うまくいった。

 僕は今回、リヒャルトに随分としてやられた。リンデさんは悪意に晒され、姉貴と一緒に僕自身が必死に走り回ることで沈静化を図った。

 それでも疑惑は、必ずどこかに残る。

 ユーリアと直接二人で向かった時は、明確に魔人族を悪役にするという意思を感じたし、同時に対抗しなければ周りの者に影響を与えていただろうと思う。

 魔人族を知らなかったとはいえ、あまりにも危険で短絡的な行動。正直、最初はリヒャルトを断罪することを前提に動いていた。


 だけど……それならば。むしろリヒャルトのやったことを利用してやろうと思ったのだ。

 マーレさんは……魔人王国女王アマーリエは、僕も姉貴も認める本物の名君だ。マクシミリアン様ほどの御方なら、そのギャップから大きめの好印象をもたらすことが出来るのではないかと思ったのだ。

 つまり、僕はリヒャルトの悪事ごと利用したのだ。


 結果は、目の前にある光景が証明している。

 ――――本当の意味で、僕の完全勝利だ。

 レノヴァ公国と魔人王国は、明確に友好関係を結んだ。


 後は、マクシミリアン様の一声があれば、このレノヴァ公国は変わる。街に出た時の様子から、街の人がマクシミリアン様を信頼していることは容易に想像がつく。

 今度こそ疑惑は完全に晴れて、僕とリンデさんは大手を振るって街の中を歩くことができるだろう。リンデさん以外の魔人族も、この街を歩くことができるようになる。

 更にリヒャルトが集めた令嬢が、この魔王様のことを自らの体験として伝えるはずだ。そうすれば間違いなく、レノヴァ公国だけと友好関係を結ぶより大きな影響を与えることができるだろう。

 集まったのはバリエ伯爵令嬢、パラディール商会令嬢、そして……。




 ……僕がそう考えている途中で、マーレさんがふと声を上げた。


「そういえば、討伐といえばそろそろスタンピードがあったかしら」

「マーレってほんと色々詳しいわねー。それ四年前にあたしも参加したわよ」

「ミアも活躍したんだね。大体四年置きだから、時期的にはもう終わったぐらいかな?」

「え?」


 そこから始まる話は、更に今の状況を大きく変えるものだった。


 僕は、まだまだマーレさんのことを侮っていた。

 この魔王様はすごい。改めてそのことを認識させられたのだ。

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