二度目の甘いものは強力すぎました
数話ぶりのライ編
リンデさんとの生活にも慣れたとある日。
そういえば最近はやってなかったけど、きっと食べると喜んでくれるかなと思って、甘いもの第二弾を考えていた。
……完全に、リンデさん視点で食生活を考えているけど。でもね、あの笑顔を見るのが今一番の娯楽というか楽しみというか、まあその、幸せになっているので、そのために全てのことを考えちゃうのは仕方のないことだと思うんです。
いや、自分に弁解してもしょうがない。
今日作るのは……まずは小麦粉、砂糖、バター、卵黄に……特殊な魔法を加える。これは細かくした泡立ち魔法みたいなもので、生地を膨らませることができる。
誰が作り出したんだったか忘れたけど……その人も、料理に魔法を使えればと思ったに違いない。きっと野菜なんかも魔法で切っちゃうんだろう。僕はそこまでの能力はまだなかった。
……よし、土台が出来た。これを器に入れて、生地を敷き詰めて……。後は、氷魔法で器を囲んで、下の方にでも置いておく。
次は、この甘いものの甘い部分となるものだ。姉貴の買ってきた白チーズ、バター、砂糖を入れて、多少暖めながら混ぜていく。でも溶けたらダメ。
ささっと済ませてしまおう。
次は、卵の白い部分をゆっくり泡立てる。生地を寝かせる時間にもなるから、そこまで慌てる必要はない。
……それにしても、自分一人だと菓子作りなんて、自分のために作って、まあ食べるのは好きだったけど……面倒って思いが強かったからなあ……。
そうか……甘いもの、女の子好きだもんな……本当は、リリーにも食べさせたりすれば、また未来は違ったのかもしれない。
でも、ザックスさんとリリーの結婚生活は幸せそうだ。ザックスさんは僕みたいな姉貴との幼なじみの付き合いで年上のリリーお姉ちゃんと仲良くなってるんってんじゃなくて、ずっとリリーに惚れてたんだ。
二人が一緒になって、ザックスさんの僕に対する親愛と警戒心みたいなあの顔がなくなって、みんな仲良くなった。これで良かったと思う。
それに、家にリリーが住み着いていたら、絶対リンデさんとの……その……匂いを嗅ぎ合う、とか、許さないだろう。追い出していたかもしれない。
何がどう転ぶか、わからない。ただ、僕はリンデさんとの同棲生活を引き当てた。姉貴との関係を改善してもらえた。
一番幸せな選択を引き当てたと、胸を張って言える。
リンデさんにとっても、一番幸せな生活だと胸を張っていって欲しい。
…………リンデさんが、胸を張って…………っ! い、いけない! な、なななにを考えていたんだ……もう僕はリンデさんと出会ってから頭の中は完全に桃色一色になってしまった……。女っ気ゼロだったのにリンデさんと暮らした途端にこれなんだから、そりゃリリーも姉貴も呆れるよな……。
…………っと、考え事してるうちにできたよ、ははは……。
よし、ここに細かい砂糖を入れてと。ちょっと白が濁るけど、さすがにここはどうしようもない。
生地もできあがったかな。今日は……泡とチーズを混ぜて、それを流し込もう。
あとはじっくり焼いて……。
………………。
………………。
……よし、できあがり……ではない。
この上に、たくさんの……どうしようかな、アイテムボックスに保管している姉貴のお土産は、桃、林檎、蜜柑……あと、そうだ。ベリーだ。
赤と青のベリーの実をふんだんに乗せて。
最後は……じゃあミントも乗せてしまおう。
今日のはいい見た目だ。姉貴の持ってきたベリーが新鮮でよかった。
-
リンデさんが、その日の巡回を終えて帰ってきた。
「久々にオーガロードのお肉の追加です! まだ前の分もありますけど、なくなっちゃう前に追加がきてよかったです!」
「えっと、追加ですか?」
「はい!」
僕はニコニコしているリンデさんを見て笑顔で返したけど、頭の中では別のことを考えていた。
オーガロード。そうそう出てくる相手ではないはずだ。
先日のものはデーモンがこちらに放っていた個体だったのは記憶に新しい。
「一体だけですか?」
「はい、そうですね」
一体だけなら、偶然もあるかもしれない。両親も出会ってしまったぐらいだし。それを討伐してくれたなら、きっと未然に誰かを助けたことに繋がってるかもしれない。
「そうですか……わかりました。じゃあそんな働き者のリンデさんに、今日は甘いもの作っているんで、ゆっくりしますか」
「あ、甘いもの! 甘いものって、あの、林檎パイですか!」
「今日はなんと別の種類です!」
「や、やったやったーーーっ!」
リンデさんは体全体で喜びを表現した後、正面から僕に抱きついた。……最近スキンシップの遠慮がなくなってきたけど、それでも僕は、全く慣れない! それに、今日は前からだ。……だって、リンデさんは、僕と同じ背丈で、そしてリンデさんには、その、正面に二つ……。
ぎゅうぎゅうとそれを正面からおしつけられ、リンデさんは正面から、僕の耳の後ろを嗅ぐように深く抱きついてきた。ちょっと足も絡みついてきてない?
……ま、前からは! 前からはダメだ!
「あ、あの! リンデさん! 用意するから離れてください!」
「あっ! そ、そうですね、すみません我慢できずについ! こんな、ライさんが許してくれるからやってるけど迷惑ですよね!」
「迷惑ではないです! ないですけど、その、正面は……僕がその、耐えられないので、遠慮していただけると……!」
「……あっ……」
リンデさんは、顔を染めて「し、失礼しましたぁ……あうあう……」と、椅子に座って小さくなってもじもじ恥じらいながら下を向いた。
……だ、大胆なのかウブなのか、一緒に暮らしてそこそこの長さになるけど、未だに全く分からないっ……!
ああでも、でも……この二つの面がセットになって、明るさも、力の強さも、全部合わさって、リンデさんの魅力になっているんだ。僕は、そんなリンデさんのこと、やっぱりすっごく気に入っている。どんな女の子よりも可愛いって思う。
破壊力最大級の、天然小悪魔だ。悪魔っていうか魔族だけど。
「今日はこれです!」
僕は、見た目の派手なそれを持ってきた。
「わ、わ、わあああああ! きれい! もう見た目から色とかきらきらしていて! すごいですうぅっ!」
「ふふっ、これはチーズケーキです!」
「ちーずけーき! って、あのチーズですか?」
「合ってますけど違います。今日のは、ちょっと酸っぱい、また別の種類のチーズを使ったものです。チーズも、上に乗った果物も、姉貴の買ってきたものです」
「ミアさんありがとう!」
僕からもありがとう、食べる前からリンデさんの笑顔いただきました。
「それじゃ、切り分けていきますか」
「はいっ!」
僕は、出来上がりたてのベリーチーズケーキを、三角形に切っていく。
作って置いたコーヒーを横に置いて、と。
「いただきます!」
「い、いただきますっ……!」
まずは一口。
うん、文句なしにおいしい。材料が揃っているから、何一つ外れを引いてない味付けだ。酸味のあるチーズが甘みのある本体となり、また土台のしっかりした食感との対比もいい。ベリーの皮を潰す感覚、ミントの鼻を抜ける感覚も、いい。
さて、リンデさんはどうかな?
リンデさん、緊張と共に一口。一口入れた瞬間、目を見開いて、そして口元が横に広がっていった。自然に笑顔になっていく様子が見える。
「お……おいしい、おいしい! すごい、何なんですかこれ! チーズ!? あのチーズさんなんですか!?」
「あれよりも、酸っぱいといったらいいか、さわやかなチーズですね」
「余計にわかりませんっ! ど、どうして!? こんなに甘くてこってりとしてまったりとして、口の中が、口の中が、すごいチーズケーキさんの味が貼り付いちゃって、すごいんです!」
「牛の乳のあぶらと、あとは甘くする砂糖を混ぜています」
「もう……もう好きすぎてどうしよう……!」
リンデさんは、笑顔のまま体を抱くようにくねらせていた。その……色っぽい動きで、やっぱりいつ見てもどきどきする。
なんとか冷静にと自分に言い聞かせながら答えた。
「でも、そのこってりした部分、この果物がさっぱりしてくれるんです!」
「姉貴が取ってくれたベリー、どれも新鮮で綺麗ですよね。こってりとあっさりで緩和し合いつつも甘いので、コーヒーと合わせてどうぞ」
「はい! もう、これ、完璧すぎて……! 100点ですね!」
「ええ、僕も今日は100点近くまで上げてもいい気がします」
「ま、まだ言い切らないんですか!?」
まだ、100点ではない。
最後の一手、その前の一手。僕はそこで迷っていた。
「今日はさっぱり系ベリーとミントで決めてますけど、これに甘い桃を段にした、もっともっと甘い系とか、いろいろ考えてました」
「こ、これ以上に甘さを追求したもの……!?」
「他には、このベリーの上に、まるで粉雪のような白い砂糖で彩るっている方法も聞いたことがあるんですが、僕自身信じられないんですよね。王国には手に入らないし話すら聞かない、限界まで白くて細かくてしかも甘い、粉砂糖を作る丸い島。良い食材の大多数があるという眉唾物レベルの島があるそうです」
「そ、そ、そんなとんでもない場所が……!」
「砂糖自体がかなり黒いですから。卵を泡立てたメレンゲの色も一切濁らない、細かい砂糖、いずれ手に入れたいです。姉貴とも仲良くなったし、僕から頼んでみようかな」
「ぜひ! ミアさんならきっと、手に入れてくれますよ!」
手に入ったらまたリンデさんに、出来上がった甘いものを見て食べてもらおう。その時のことを期待して、また楽しみになった。
……本当に、僕の頭の中はすっかりリンデさん一色だ。姉貴が買ってきてくれたのなら、まずは姉貴にも見せて食べさせないとな。
そうだ。姉貴にも、もっと甘いものを食べてもらおう。今日のチーズケーキも、まだまだあるから保存しておこう。
姉貴、早く帰ってこいよ。
-
僕とリンデさんは、食べ終えて再びソファでゆっくりしていた。
「しあわせですぅ〜……えへへ……」
「僕も、おいしく食べてもらえてうれしいです」
「……もぉっ……」
横に座ったリンデさんが、僕の肩に頭を乗せて、やっぱり匂いを嗅いできた。
「でも、今日は急に甘いものをどうして?」
「特に理由はないです」
「えっと、理由もないのに、今日は甘いもの作ってくれたんですか?」
「はい」
僕は、食後の幸福感で油断していたのか、ぽろっとこぼしてしまった。
「リンデさんが喜んでくれるかなと思って」
「え」
「リンデさんが林檎パイを食べて嬉しそうだったのを思い出して、もう一度甘いものを食べて喜んで欲しかったので作りました」
「……」
「……リンデさん?」
「……えへ……えへへへ……へへへ……」
リンデさんは、朝のように僕に抱きついてきた。
やめてと言ったのに、正面から抱きついた。
しかし……しかし! 今はソファに座っている! リンデさんはソファというより、僕の太股に乗っていた!
「あ、あの、リンデさん、これは……!」
「えへへ……すんすん……ライさんの匂い、しあわせ……」
「リンデさーん!?」
リンデさん、完全にトリップしてしまっている。
でも、この格好は……この格好は、本格的にまずい!
リンデさんと同じ身長差なら。
リンデさんが僕の太股に乗った分、当然ちょっと上になるわけで。
リンデさんは今、僕の前髪から匂いを嗅いでいるわけで。
首、が……その、埋まっていた。
「リンデさん!? あの、離れて!」
「しあわせ……しあわせ……」
「ああもう……や、やりすぎた……! ど、どうしよう……!」
首と後頭部を手で持つように固められて、抱きしめられている。目の前に、リンデさんの青い首元がある。そして……体から。それはもう胸元と服の隙間から。リンデさんの匂いが溢れ出してきていた。
リンデさんとの生活で、今の状態、間違いなく一番距離が近い。
逃げようにも、リンデさんの怪力で頭は全く動かず、腰も太股で挟まれている。苦しくないのに、全く動かない。地下牢の鉄柵を素手で曲げるぐらい無理だ、能力差がありすぎる。ここから逃げ出すのはきっと姉貴でも不可能だ。もちろん僕は、抵抗すること自体不可能だ。
そして、僕はなんとなく予想していた。
こういうパターンになると、必ず。
必ず来るんだ。
「ライーーーーーーーっ!」
ほらーーーーっ!?
「………………」
「………………」
「………………」
僕は、首から上をなんとか必死に出したすごく情けない格好で、リリーのほうを見た。
「……できたら報告してねーごゆっくりー……」
「何が!?」
「何って……」
「いや答えなくていいからね!」
僕は必死に突っ込んだ。リンデさんは完全に固まっていた。
「ねえライ、いっつもこうなの!? あんたあんだけ村の女にはまるで手を出さない、女なんて一切興味ありませんみたいな硬派な職人だったのに、この1ヶ月ぐらいでどうしちゃったの!?」
「言い訳はしないよ! ただ料理を提供してたらここまで転がり落ちちゃったんだと思う!」
「じゃあ今日は何やったの!?」
「チーズケーキ! 姉貴が材料まるまる持ってきてくれたから!」
チーズケーキ、という単語を聞いた瞬間。
リリーが窓に足をかけてのぼってきた。
美人のリリーがスカート姿で足掛けて下着がまる見えだけど、ハッキリ言って色気もなにもあったもんじゃない。
「ミアの材料で作ったんなら、あたしにもくわせろーーーっ!」
「なんで!?」
「ミアの食材はあたしのもの、あたしの酒はミアのものだ!」
「初めて聞いたよ!」
「今作ったルールだからね!」
なんというか、このリリーという女、さすが姉貴の友達をやってきただけあるなーって思うことが時々ある。
「ところで」
「……なに?」
「リンデちゃんは、それ、続ける?」
「あっ」
リンデさんは、ようやく自分に話を振られて、放心状態というか、固まってる状態から動き出した。リンデさんが離れて、だんだんと心の平穏が戻ってくる。
リリーがリンデさんに近づいてきた。そして……服の胸を引っ張りながら、首元の匂いをかいだ。
「ッ!」
「え、あの、リリーさん!?」
「結構リンデちゃんって臭うわよね……?」
「え、えええ!?」
リンデさんが、涙目になっている。
僕は……あまりに一方的なやりとりに、頭に血が上った。
「おいリリー、いくら何でも失礼だろ!」
「……ライはリンデちゃんのためなら怒れるのよね」
「なんだよその反応は」
「いや、なんでもないわ。うん、そうね、リンデちゃんごめん。匂いを嗅ぎに行って臭いとか同じ女として失礼にもほどがあった。親しくなったからって調子に乗っちゃって……怒らないでね、ゴメンなさい」
リリーは、リンデさんに素直に腰を折って謝った。そんなリリーの姿を見てリンデさんは慌てて返事をした。
「あ、あの! 怒ってるとかないですから!」
「うん、信じてた。ありがと」
「……その、私、臭いんですか……?」
「前もちょっと控えめに言ったけどね。本当はライもリンデちゃんも、至近距離まで来ないと何も臭わないけど、肌が触れるぐらいの距離になった瞬間、あたしは苦手な匂いがするのよ」
「そうなんですか……」
「だから、あなたたち二人が不思議でね。ま、個人差やつなんだろうね」
リリーの感想は、ちょっと変わったものだった。
匂いの、好みか……。
「ライは、リンデちゃんの体、臭くないのよね」
「ああ、全く臭いと感じたことはない」
「そんなに匂いたがるんだし、感想とか、聞いてもいい?」
「え、感想? なんだろ、甘い感じかな」
「……むせるような、汗の生乾きの匂いとかは」
「そういうのとは全く違うよな、リンデさん」
「…………」
リリーは、考え込んでしまった。
「……ま、いいわ」
そして、台所に行って、無言でチーズケーキを切り分けて、無言で食べ出した。
「…………」
「な、なんだよ……」
「……ライってさ」
「おう」
「あたしにこういうの、食べさせてくれたこと、なかったわよね」
……それは、作っている間ちょうど考えていたことだった。
「そう、だな……」
「理由を聞いても?」
「理由はないよ」
「リンデちゃんに作ってあげた理由は?」
「その理由も、ないよ。強いて上げるなら……全ての料理を大げさなぐらい喜んでくれたから、かな。姉貴は褒めなかったから。最初に林檎パイを作ったのも、どういう反応するのか、見てみたかったから」
「……そう……そうだったんだね……」
リリーは少し遠い目をしながら、
「コーヒーも、お願いして、いいかな」
そう言って椅子に座って、再び無言で食べ出した。
僕は、リリーの普段とはちょっと違うアンニュイな雰囲気に何か言い返すことが出来ず、黙ってコーヒーを淹れ始めた。
リンデさんは、なんだかおろおろしていた。リリーはそんなリンデさんを見て、くすりと笑って招き寄せた。
途中から、チーズケーキを二人で食べ出して、笑って会話していた。……仲は、いいんだよな。そこは安心していた。
僕がコーヒーを用意し終えると、その瞬間ドアが大きく叩かれた。
「えっ、急になんだ!?」
「あ、やっべ」
リリーが、ばつが悪そうに舌を出した。
僕はリリーの反応が気になったけど、ドアのところまで走っていった。
「はい!」
「な、何をやってるんだリリー君は!」
ドアの前にいたのはマックスさんだった。
「え、マックスさん?」
「リリー君に呼びに行ってもらったのに、なかなかやってこないから結局来てしまったよ!」
「おいリリー!」
リリーはコーヒー片手に頭を掻きながら出てきた。
「ごめんマックスさん」
「どうしてそんなに優雅にしているのか聞きたいんだが!」
「マックスさん弁明させて。ソファに座ったライの上にリンデちゃんが乗って抱きついていて考えてたこと全部ふっとんだの」
「は?———————」
り、リリーッ! おまえーっ!
マックスさん完全に凍り付いちゃってる!
「……な、仲が、いいんだな、本当に……」
「ちょっとしたスキンシップです! 服とか! 着てますから!」
「う、ううむ、そ、そうか!?」
「そうです! 普通です! 日常です!」
「に、日常なのか!?」
「よくあることですしそんなことより何の用事ですか!」
自分で泥沼に突っ込んでる気がしたので、あわてて軌道修正した。
「ええっと、ええとああそうだ! いかんな確かに私も完全に忘れていた! こんなことをしている場合ではないのだ!」
な、なんだマックスさん、かなり慌てている。
「リンデ殿! いるか!」
「は、はいっ! ここにいますっ!」
リンデさんが僕たちの声を聞いて、玄関までやってきていた。マックスさんはリンデさんの両肩に手を乗せた。
急な行動に僕もリンデさんも驚いていると、マックスさんが、そんな行動も吹き飛ぶぐらい、衝撃的なことを言った。
「遠い地で灰色の筋肉質な魔族らしきものに襲われたという報告が冒険者パーティから報告に抜けて来た者からあった、私と急ぎ王都に向かってくれ!」
灰色の筋肉質な魔族。
それは、間違いなくデーモンのことだった。