「366日花言葉140字小説 2月・後期」
2月16日【月桂樹/名誉】
彼は誉れ高き武人だった。彼の剣は多くの敵を倒し兵を救い、彼の言葉は多くの民を正義に導いた。しかし彼に備わった力も知恵も悪魔との契約によって得たものだったのだ。彼は知っていた。彼の剣によって多くの悲しみが生まれた事を。彼の正義が絶対ではない事を。
2月17日【野の草/自然のなつかしさ】
「人の叡智は書物によって受け継がれる。しかし神の真理は野に宿る。人を導くのは人ではなく神なんだ」そう言って貴方は旅に出た。貴方から届く手紙で一冊の本が出来た頃、それを携え私達の子供も旅に出ました。人は皆そうやって野に還るのですか?
2月18日【きんぽうげ/子供らしさ】
あなたの真っ直ぐな眼差しが好き。子供の様に自分の夢や理想を追い続ける姿が眩しく愛しい。でも人生は勝負じゃないのよ。あなたはいつも誰かと戦い、世の中と戦い、そして自分と戦っている。戦って得られるものだけで幸せになれるのは子供のうちだけ。
2月19日【かしわ/愛想のよさ】
彼女は誰にも優しく笑顔の絶えない人でした。彼女と言葉を交わせば誰もが彼女を好きになり、多くの男性そして女性までもが彼女に恋をしました。しかし彼女は短い生涯で誰とも恋には落ちませんでした。何故なら彼女が望んだのは恋ではなく愛だったからです。
2月20日【カルミア/大きな希望】
愛の始まりは恋から。「声が聴きたい」「逢いたい」「抱きしめたい」勇気を出して想いを伝えて。勇気の積み重ねが愛に変わるから。愛の積み重ねが二人の希望になるから。それは約束された将来。約束された幸せ。どんな大きな愛も小さな勇気から始まるの。
2月21日【ネモフィラ/愛国心】
彼女は生まれ故郷を愛していました。だから戦ったのです。彼女の愛するものを守るために。彼女の剣は飽きることなく血を求め勝利を導き、彼女は救世主と呼ばれました。しかし彼女の心は訪れた平和と共に壊れてしまいます。彼女は心の居場所を失ったのです。
2月22日【むくげ/デリケートな美】
彼女の笑顔は魔法。彼女の言葉は呪文。彼女の舞は誰をも魅了し彼女の虜とさせる。彼女はお世辞にも美人とは言えない。彼女の言葉は幼子の様に拙い。なのに彼女を知れば誰しもが彼女を愛さずにはいられない。何故なら彼女は舞台の神に愛されているから。
2月23日【あんずの花/乙女のはにかみ】
娼婦の様に微笑む処女の彼女
処女の様に微笑む娼婦の彼女
初恋を謳歌する恋人の様な妻である彼女
妻の様に初恋を謳歌する恋人である彼女
人生最期の瞬間の様に笑顔で愛を交わす彼女
人生最期の瞬間に笑顔で接吻する彼女
その全てが乙女だと云う
2月24日【つるにちにち草/楽しい思い出】
彼の心の闇には星が輝いていました。彼の進むべき道を照らすには頼りない光。それでも宝石の様に煌めくその輝きは傷ついた彼の心を癒すのでした。それは彼の思い出の宝石箱。辛く悲しい記憶は闇へと消え歓びに満ちた思い出だけが光り輝くのです。
2月25日【じゃこうばら/気まぐれな愛】
彼女の心には誰も知らない傷痕がある。それを癒すため彼女は恋を重ね愛を求め続ける。彼女の美しい瞳は哀しく透き通った紫水晶。何故ならこの世界に求める愛は存在しないと彼女自身が判っているから。それでも彼女は愛を求め浮気な恋に身を焦がす。
2月26日【福寿草/思い出】
私の中の思い出が結晶となり心の中で宝石となりました。辛い思い出、悲しい思い出、悔しい思い出、その全てが糧となったのです。私の中の宝石を見出したのは貴方です。私は貴方と出逢い貴方に磨かれ輝きました。私は貴方の傍らでこれからも永遠に輝き続けたい。
2月27日【おおあまな/純粋】
それは何ものにも染まらない孤高の白。彼女の心は空っぽなのではなく、ただただ雪の様に白い。誰からも理解されず、疎まれ、忌み嫌われる彼女。そんな彼女の心にもいつか春の陽が訪れるでしょう。純白の心が桜色に染まり、彼女は永久の歓びに包まれるのです。
2月28日【わら/一致協力】
案山子は森の賢者。真理を語たり愛を説く。森の民は案山子に自分達の王になって欲しいと頼んだ。案山子は王の務めを忠実に果たす。しかし民を一つにまとめることは出来ない。やがて森は滅び案山子は亡国の王となる。悲嘆に暮れる案山子の胸に初めて心が宿った。
2月29日【はまかんざし/心づかい】
彼女は森の民。彼女は森の誰よりも賢く優しかった。やがて彼女は聖母として崇められる。でも彼女は自分の願いと他人の願いをいつも天秤にかけ、僅かな差で自分の願いより他人の願いを優先していただけ。そんな彼女は神様より森の魔女に愛されていた。




