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第一扉 「扉の向こうへ」

月夜に照らされた丘の上

大きな大きな扉がポツンとありました

そしてその扉の前に女の子が独り静かにたたずんでいます

女の子には判っていました

その扉を開けば

あの寂しそうなお月様は花に囲まれ

この寂しそうな夜空は煌く星々に埋め尽くされることを

そして彼女自身の心も温かい世界に包まれ

きっと体も心も救われるだろうことを


それでも女の子には扉を開けることができませんでした

なぜなら扉を開けるには勇気が必要だからです

扉の向こうは新しい世界です

扉を開ければ彼女は自分自身ではなくなってしまいます

彼女には扉を開ける勇気がありませんでした

勇気には愛が必要です

新しい世界を信じる愛

新しい自分を受け入れる愛

自分を変え世界を変える愛

愛が無ければ本当の勇気は湧いてこないのです


女の子に勇気がないのは

彼女が決して臆病で怠け者だからではありません

彼女は愛を知らなかったのです

彼女は愛を知らずに育ってしまったのです


女の子は想像することができました

扉の向こうの夜空が星で満たされ

夜空に浮かぶ月が花で覆われ

彼女自身が温かな世界で平穏に暮らすことを


それでも女の子は寂しい丘の上の扉の前で

身動きせずに立っています

彼女の足元には

「不安」「恐怖」「不信」「自己嫌悪」

あらゆる心の闇が存在し

彼女の心と体を縛るのでした


それでも彼女は信じています

いつか自分の心にも愛が宿ることを

いつか自分も愛を感じることができるようになることを

そして彼女は優しく微笑んだのでした



これは詩集「宛名のない恋文」の挿絵を絵師さんに依頼する時に、絵のイメージを絵師さんにお伝えするために書いた物語です。

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