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第五章 あなたはいま何処にいますか?(3) まとめ編

第五章 あなたはいま何処にいますか?(3) まとめ編



(要点をまとめましょう)

太「……って、ちょっと待って下さい。まだ経度を測ってません!」

伝「あっ、やっぱり気になる? あたし的にはもう説明したかなと思ったんだけど、確かに判りにくいかも知れないわね。

ただ、この方法は磁軸がどこにあるか知らないといけないから、とりあえず判ったという設定で話しましょう」

太「ホントにやっとここまで来ましたね。予想外に長かったです」

伝「『球面三角法』の概要については大体説明したわね。その道具がこの地球儀である事も説明したわね。問題はその三つの要素はどれかね。

要素の一つは、現在地の緯度。これで縦の長さが判明する。そして、二つの要素として真北に対して方位磁石が指した角度の誤差が三角形のもう一つの要素。

最後に磁軸の場所。二つ目の要素である角度を真っ直ぐに進めて、行きつく先がそこに来るように地球儀を動かすと、あら不思議。現在地が判りますね」

太「これで理解してくれないと困りますよね。文字だけでの解説は本当に難しい」

伝「教育ビデオというよりは、ラジオだよね」

――――――――

伝「さて、今回総まとめをしようと思ったのは、今回は予想外に長くなったので簡潔にした方が読者は分かりやすいかなと思ったからです」

太「それじゃあ質問です、異世界で持って来た方が良いアイテムはなんですか?」

伝「一つは勿論、方位磁石でしょうね。あとは時計。デジタルではなくアナログの方が壊れにくいし、壊れても修理できる確率が高いからおススメ。電池切れが恐いならゼンマイ式を持って行きましょう。あまり知られてないけど、大航海時代も時計は必須アイテムだったのよ」

太「へえ~~~。どうしてですか?」

伝「経度を測るにはどうしても太陽を観測して真南を知る必要があるんだけど、移動する舟の上では無理でしょ。だから簡易方法として基準値(地球ではイギリスのグリニッチ天文台)の時間を時計に刻んで、陽が昇るのが基準値より一時間早かったら、東に15度進んだのが分かるという寸法よ」

太「時を知る事だけが、時計の力じゃないんですね」

伝「もっとも、この方法は季節によって日の入りや日の出の時間がズレるから、基準値の一年分の記録を持っていく必要があるのと、緯度が変わってもズレるから、太平洋を渡る時、GPSなどが無い時代は、例え遠回りだと知っていても、同じ緯度の上を航海したそうよ」

太「同じ緯度の上を走ると、遠回りになるんですか?」

伝「緯度と経度を垂直にしたメルカトル図法だとそう見えるよね。あれは赤道付近では誤差は少ないけど、緯度が高くなると凄い誤差になるのよね」

太「つまりあれですか、赤道付近の測量は容易くなる(太陽の動きが年中一緒だから)けど、距離が長くなる。緯度を高くすると距離は短くなるけど、メルカトル図法との距離の誤差は大きくなると」

伝「おおっ、生徒が優秀だと話が早く進むね。

つまりだ、異世界に行ったらとりあえず現在地の時間を測って時計に刻む。色々な場所で何時間ズレたか計測すれば、距離を測れるという寸法よ」

太「一度方位を観測した場所だと、その太陽の傾きだけで時間も測れるそうですね。ここでもやっぱり『15度=一時間』」

伝「あとやっぱり欲しいのは、文房具一式。分度器や三角定規、コンパスにえんぴつに紙が揃えば、大抵の事は何とかなるんだから」

太「どれも普通に手に入りますね。学校帰りで鞄を持って異世界に飛んだ人なら持っていそうですね。フィルムや電気を供給出来る環境なら、あと写真機も欲しいですね」

――――――――

(ここからは前回の復習のまとめ)

伝「方位磁石を使う用途は?」

太「自分が北か南半球か判別する。あとは磁軸のズレを計測する」

伝「正確な方位を知る方法は?」

太「太陽の日の入りと日の出を測って、その中間点を見つける。そして、そこを12時にする」

伝「緯度を測るには?」

太「星空を観測して、回転軸を見つけてその角度を測る」

伝「経度を測るには?」

太「先程説明したので、はしょります」

伝「よし、これで今回は終了する。おつかれさまでした」

太「………おつかれって、先生役の人は、これからが本番だと気合い入れてますよ」

伝「次回はあたし休むから。まだ登場していないあいつを呼びましょう」

太「まだ呼んでない人って、『東風』さんですか? あの人って面倒臭がりですからね。大丈夫でしょうか」

伝「大丈夫よ。断ったらメシ抜きだと言ったから」

太「……台所を預かる人って、どうしても強くなるよね」



前回、どうして星空の回転軸がズレるのか?

これを説明するには太陽の角度が変わるのかも一緒に説明した方が良いでしょう。

まず北極点の真上には北極星がありますね。これは北極点のほぼ真上にあって真北を指す事から、昔から船乗りたちが目印にしていた事でも有名ですね。

当たり前ですが、北極星は南半球では角度的に地表が邪魔をして見えませんね。それじゃあ、赤道付近ではどうでしょうか? ギリギリ辛うじて地平線辺りに見えます。

もし理解しにくい人はもっと小さな世界で想像してみましょう。


家ぐらいの大きさの丸い物体にしがみついて、てっぺん(北)を見上げてください。

どの位置にいた時が一番首の角度が球の表面と平行ですか? 球の表面=地平線だと思って。

ちなみに、てっぺんの上に星を糸でぶら下げてくださいね。


これと同じ原理が太陽でも起こりますね。太陽は赤道付近の上を通過するので、北、南極点では地平線ギリギリを漂い、赤道付近ではほぼ真上に位置します。

『天文学』と言うのは、とにかく『相対的』にモノをみる学問なんですよね。



――――次回は、異世界人がたまに訊いてくる地球が丸い証拠と、天動説と地動説について説明します。


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