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第三章 あなたはいま何処にいますか?(1) 昼間編


私が小学生ぐらいの頃でしょうか、西へ西へと二十四時間かけて地球を回ると、太陽の角度が変わらない、つまり、ずっと夜になったり、昼になったりするという現象が起きると言われ、首を傾げてから、地球は東周りに自転をしているんだと知りました。

地球が公転をする事によって、季節が変わると知ったのは果たして何時だったかな?

公転もまた、北から見れば東周りをしていると知ったのは何時だったか?



第三章 あなたはいま何処にいますか?(1) 昼間編


太「何ですか、それ? この地球儀に三本の輪っかが付いたモノは?」

伝「んっ、これの事? これは巫女ちゃんから借りたんだけど、今日の講義に使うから借りた」

太「講義にですか。確か今日は測量について学ぶんでしたっけ?」

伝「そっ、周りの人はよく異世界に来たばかりの頃は、自分が何処にいるのか判らずに右往左往する事が多いけど、天体観測とこの地球儀があれば自分が何処にいるのか判るの」

太「へえ~、その地球儀を巫女さんが持っているって事は彼女も測量をやるんですか?」

伝「昔はよくやってたって言ってたよ。最近はする理由が無くなったってやらなくなったけど」

太「へえ~~~知りませんでした。それにしても、演技力は付いたんですか?」

伝「今日は台本が無いからね。自由にやってほしいって。

ほら、無駄な時間を掛けてないで、講義に移るわよ」



(あなたは今、どこかの世界に飛ばされました)

(方位磁石を使って、北半球か南半球にいるか判断しよう。そして経度も測ろう)

伝「さて、自分が何処にいるのか、それを知りたかったら星空と太陽を計測しなさい」

太「星空って、星座を見て場所を判断するんですか?」

伝「それは地球で天体図を暗記してればそれでいいけど、今回は異世界

に辿り着いたばかりを仮定しているから、星空も違う筈だから、それは無理ね」

太「なるほど、つまり地球でも異世界でも絶対に変わらない現象だけを頼りに現在地を特定するんですね」

伝「そういう事。まず登場させるのがこの百円で買った安物の方位磁石」

太「方位磁石ですか? それで方角でも測るんですか?」

伝「それが出来れば簡単なんだけどね。これで測るのは自分が北半球か南半球にいるかを調べて、ついでに東経を測るのに使うの」

太「?? 方位磁石は北を指さないんですか?」

伝「あたしも昔はそう思っていたんだけどね。指さないんだな、これが。理由は今一つ不明だけど、地球の回転軸は北極点と南極点になるのだけど、磁軸は北緯 南緯70度前後をグルグルと何十年に一度弱?回転しているらしいわ。ちなみに、現在の日本の場合は場所によって3~9度西にずれてるみたいね。一番ズレが大きいのは緯度の高い北海道」

太「そうなんですか。緯度が高い方がズレは少なく見えますけど、………よく考えれば、直角三角形の底辺を小さくするんだから、ズレが大きくなるか」

伝「そうそう、そして問題の北半球か南半球なんだけど、これを水平に持って横から見れば判る」

太「横から見れば良いんですか? あれっ、針がN極の方が下に傾いてますね。水平に持っているのに」

伝「だとしたら、ここは北半球ね。何故こんな現象が起こるかというと、動画で砂鉄の集まりの上に、磁石を置いた所を見た事ない?」

太「砂鉄と磁石ですか? 確かぐるりと砂鉄が円を描いてましたね」

伝「そう、その模様を磁界と言ってね。この方位磁針はその磁界に捉まって向きを変えるんだけど、その円の中心以外は若干の曲線を描くでしょ? その曲線のままに針も傾きを変えるの」

太「だから、磁石を持って来たんだ。成程ね。水平だった場合は赤道付近になるんだ。」

伝「ちなみにお高めの奴は、S極に重りをつけて水平にさせるから自分の家で実験をするのなら安物にしなさい。もっとも、その針の傾きを正確に測る機材があれば緯度も測れると思うんだけど、一般的ではないから今回はやりません」

伝「へえ、ボクもやってみよ、つまり、後は正確な方角と緯度を測れば完了だ」

―――――――

(測量とは別のちょっとした疑問)

太「そもそも、どうして地球は磁力を持ったんですか?」

伝「ああ、それは磁石の作り方を調べるとよく分かるわ。磁石は鉄などを火で炙って熱してから、急速に冷ます事によって出来るの」

太「熱してから、冷ますんですか? もしかして、地表の下にあるマグマが噴火して地表に流れて急速に冷まされる事によって磁力が生まれるんですか?」

伝「おお、今日は本当に鋭いね。そうだね。この星はそんな磁力を帯びた岩を何度も合体させながら大きくなったと思うんだけどね」

太「思うだけですか?」

伝「誰も見た事が無いからね。ただ磁力を帯びた岩は千度を超える前に、磁力が消滅するからこの力で重力が生まれるとは思いにくいんだよね。地表の下を流れるマントルは何千度もあるし」

太「結局、判らないんですか?」

伝「色々調べたんだけどね。どれも確証がないみたい。あたしが一番面白かったのは電気コイルのように回転する事により電気が発生して磁力を帯びるという説かな」

―――――――

(もう一つ質問)

太「もう一つ質問、どうして地球は丸く形成されたんですか?」

伝「何故かと云えば、球体が一番無理なく安定した形だから。磁界の形も丸を形成するし、丸は色々と合理的なんでしょ。ちなみに余談だけど、実は地球は綺麗な丸い曲線では無く、多少赤道辺りが太陽の磁力に引っ張られたのか出っ張ってます」

―――――――

(正確な方角を知ろう)

太「あれっ? また地面に棒を立てて影を見ていますね。太陽の観測ですか?」

伝「んん……観測と言うよりも、日時計で方角を測ろうと思って」

太「日時計で方角が測れるんですか?」

伝「簡単だよ。日の出と日の入りの影の角度を計測して、その中間が12時であり、真南を指すからね。ちなみに、南半球の場合は真北を指すから、間違えない様に」

太「南では北を指すんですか。確かに太陽は赤道辺りを通過しますから、当たり前と言えば当たり前か」

伝「補足として、木の年輪でも同じ現象が起こったりするから。幅が狭い方が太陽を指すから、北半球では南、赤道辺りでは中心、南半球では北を指すから」

太「一言でまとめると、木の年輪も太陽の方角も、自分が北か南にいるか判別しないと役に立たないという事ですか。本当に方位磁石って便利ですね」

伝「いや、夜になれば方位磁石が無くても判る方法があるんだけどね」

太「そうなんですか、―――あっ、陽が落ちましたね」

伝「ふむ、方角の計測は終了か。思ったより陽が落ちるのが遅かったな。これはかなり緯度が高いかも知れない」



日時計を使って真南を調べよう。と思い立ったが、周りの山や家々が邪魔で綺麗な地平線が見えなくて悔しい思いをした事ってありませんか?

私は文系なのでそんな面倒臭い事はしません。実践するのは疲れるので、理論だけ勉強してると満足してしまいますね。

ただ、実際に測ってみると時計の十二時と真南は一致する事はまず無いと思いますが。

何故なら日本の標準時間は東経135度に設定してあるので、そこ以外の場所では一時間前後ずれてしまいます。逆に真南を指した時の時計を見れば、そのズレで東経の誤差を測る事が出来ます(15度=一時間です)


最後に『伝記者』は陽が落ちるのが長かったと説明しましたね。あれは体感的なモノですが、日中の時間が長いと感じたんですね。これは緯度によって日中の時間が違うのです。

緯度が高い場合は、夏場の日中の時間が長くなり、北極点あたりでは夏は完全な白夜で陽が落ちなくなり、冬でも3~4時間ほどしか夜がありません。

ヨーロッパも北の方では夏場、夜の九時以降でないと陽が落ちない事も珍しくありません。逆に冬になると四時ぐらいに陽が沈みます。

赤道付近では、年中六時過ぎになると陽が沈み、変化は殆どありません。

これは地球が太陽に対して若干の傾きをしているのが原因なのですが。それについてはまた違う機会でお伝えします。


何故このような事を説明したかと言うと、要は、自分が住んでいる街や村を設定する時には、どれぐらいの緯度にしようかなと設定していたのならば、それに近い国の日の入りと日の出の年間グラフをネットなどで調べないと矛盾が生じてしまいますので、注意してください。

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